「店の写真に位置情報(ジオタグ)を付けてからGoogleビジネスプロフィールに投稿すると、Googleマップで上位に出やすくなる」。SNSや動画、あるいはMEO業者の営業資料で、こうした話を見かけたことのある方は多いと思います。
費用はかからず、作業も難しくありません。効くのであれば試さない理由はない、と感じるのは自然なことです。
ただ、この手法については国内外で何度も検証が行われてきました。そして結論は、ほぼ一つのところに落ち着いています。
この記事では、ジオタグとは何かという基本から、順位に効かないと言える根拠、そして「では写真で何をすればいいのか」までを順番に整理します。あわせて、順位とはまったく別の理由で位置情報に注意しておきたい場面にも触れます。
筆者は全日本SEO協会認定SEOコンサルタントとして、10年以上にわたり中小企業・店舗のWebサイト制作とSEO/MEO支援に携わってきました。現場でも「ジオタグはやったほうがいいですか」という質問は本当によく受けるため、その都度お伝えしている内容を、根拠とセットでまとめています。
写真の「ジオタグ(位置情報)」とは何か

スマホの写真には撮影場所が自動で記録されている
スマートフォンで撮った写真には、写真そのもの以外にさまざまな情報が一緒に保存されています。この付帯情報をEXIF(エグジフ)と呼び、そのうち緯度・経度にあたる部分を一般にジオタグ(位置情報)と言います。
位置情報サービスをオンにしたまま撮影すると、多くの機種では自動的にジオタグが書き込まれます。写真アプリで「撮影場所」が地図付きで表示されるのは、この情報が入っているからです。
つまり、特別な操作をしなくても、店内で撮った写真には店の座標が記録されている場合が多いということになります。まずはこの前提を押さえておいてください。
EXIFに入っているのは位置情報だけではない
EXIFには、撮影日時、カメラやスマホの機種名、シャッタースピードや絞りといった撮影設定なども記録されています。写真1枚に、かなり細かい記録がくっついて回っているとイメージしてください。
これらはもともと、写真を整理したり現像・編集したりするための情報です。検索エンジンに何かを伝えるために設計されたものではない、という点は理解しておきたいところです。
また、EXIFは専用ソフトや無料のオンラインツールで簡単に書き換えられます。この「誰でも自由に書き換えられる」という性質が、後ほど触れる話の重要なポイントになります。
「座標を書き換えれば狙ったエリアで上位に出る」という説
ジオタグ説の中身はシンプルです。写真のEXIFに任意の座標、たとえば集客を伸ばしたい隣町の中心地の緯度・経度を書き込んでからビジネスプロフィールに投稿すると、Googleがその座標を読み取り、そのエリアでの表示順位が上がる、というものです。
一見すると筋が通って聞こえます。店の場所を示す情報を渡すのだから、地図の検索に使われてもおかしくない、という理屈です。
問題は「Googleが実際にその座標を順位計算に使っているのかどうか」という一点に尽きます。ここが長年、検証され続けてきました。
結論:ジオタグはGoogleマップの順位には効きません

アップロードされた写真からEXIFは取り除かれている
まず事実として、Googleビジネスプロフィールに投稿された写真は、公開された時点でEXIFが削除されています。海外のローカルSEO企業Whitesparkは、プロフィール上の写真をダウンロードして中身を見れば、メタデータが完全に取り除かれていることを誰でも確認できると指摘しています。
これはプライバシー保護の観点からも自然な処理です。利用者が撮影した写真の座標がそのまま公開され続ければ、自宅の住所などが意図せず漏れてしまう恐れがあるためです。
なお、この挙動をGoogleが公式文書で明言しているわけではありません。ただし複数の第三者が独立に同じ結果を確認しているため、実務上は削除されている前提で考えて差し支えないでしょう。
ここで必ず出てくる反論が「削除する前に読み取って、内部的に使っているのではないか」という見方です。その可能性を確かめるために、実際に順位が動くかどうかを測る検証がいくつも行われてきました。
海外の検証では「影響なし」が繰り返し確認されている
ローカルSEOの専門家であるJoy Hawkins氏(Sterling Sky)が2024年1月に公開した検証では、5つのビジネスプロフィールを対象にジオタグが試されました。数週間にわたって観察したものの、測定できるような順位の上昇は確認されなかったと報告されています。
その翌月には、コンサルタントのTim Kahlert氏(Hypetrix)が別途1拠点を対象に検証を行っています。規模も手法も異なりますが、ビジネスプロフィールの写真については「現時点でこの手法はローカル検索の順位に影響しない」という同じ結論でした。
さらにWhitesparkが毎年公開しているローカル検索のランキング要因調査では、ジオタグが「ローカルSEOの誤解」の第1位に挙げられています。業界内では、すでに決着のついた話として扱われているということです。
10週間・27拠点で行われた大規模な検証
より規模の大きい検証も公開されています。Evergrow Marketing社が27の店舗アカウントを対象に10週間かけて行ったテストで、結果はSearch Engine Landに2025年3月25日付で掲載されました。
この検証では、まず5週間のコントロール期間を設け、EXIFを完全に削除した写真を同じペースで投稿して基準値を取っています。その後、投稿ペースは変えずに、狙ったエリアの座標だけを写真に書き込むという条件で比較しました。
結果は、観測した7つの指標のうち6つで「影響なし」。さらにそのうち4つでは、ジオタグを付けた期間のほうが順位が下がっていました。
ただし、この「下がった」という差は統計的に有意な水準には達していません。検証者が統計的に意味のある動きと判断したのは、次に述べる上昇のほうだけです。
唯一プラスが出たのは、座標を書き込んだエリアでの「近くの◯◯」型の検索でした。ただし同じ期間に、地名を含む検索では順位が下がっており、検証を行った会社自身が「割に合わない」として顧客への適用を見送っています。
なお、この検証の対象は米国の芝生管理業に絞られています。単一の業種・単一の地域から得られたデータである以上、そのまま日本の他業種に当てはめられるわけではない点は押さえておいてください。
Google側の見解と、公式に示されている順位要素
Googleの検索担当であるJohn Mueller氏は、2023年にRedditで「SEOのために画像へジオタグを付ける必要はない」と回答しています。ビジネスプロフィール側の詳しい挙動まで同氏が把握しているわけではない点は割り引く必要がありますが、少なくともGoogleが推奨している手法ではありません。
Googleが公開しているローカル検索のヘルプでは、順位を決める要素として関連性・距離・知名度(そのビジネスがどれだけ広く知られているか)の3つが挙げられています。写真のEXIFについては、順位要素としてどこにも記載がありません。
順位が決まる仕組みそのものについては、Googleマップの表示順位はどう決まる?3つの要素をやさしく解説で詳しく整理しています。あわせてご覧ください。
なお、Googleのアルゴリズムは公開されていないため、「絶対に一切使われていない」と断言できる人はいません。ただ、複数の独立した検証で効果が確認できていない以上、限られた時間をここに使う理由は乏しい、というのが現実的な判断になります。
それでも「効いた」という話が絶えない理由

地図の順位は、そもそも検索した場所によって変わる
Googleマップの検索結果は、検索した人がどこにいるかで大きく変わります。店の前で調べれば上位に出るのに、2km離れた場所で調べると圏外、ということは珍しくありません。
つまり順位は「1つの数字」ではなく、エリアごとに違う面のデータです。たまたま別の場所や別の端末で検索して上がって見えただけ、という現象が、施策の成果として語られてしまうケースはかなりあります。
この点は同じ店でもエリアで順位が違う|地図の順位は「面」で見るで詳しく解説しています。測り方そのものに不安がある方は、Googleマップ順位の正しい測り方|検索場所で変わる理由もあわせて確認してみてください。
「写真を増やしたこと」の効果と混同されている
ジオタグを付ける作業は、たいてい「写真を投稿する」という行動とセットで行われます。そして写真を定期的に増やすこと自体には、プロフィールの充実度やユーザーの反応という面で意味があります。
その結果、順位や来店が改善したとしても、それが座標のおかげなのか、単に写真が増えたおかげなのかは、条件を分けて測らないと判別できません。先ほどの10週間の検証がわざわざコントロール期間を設けていたのは、まさにこの切り分けのためです。
個人の店舗で、条件を厳密に分けた比較を行うのは現実的ではありません。だからこそ、第三者が規模を確保して行った検証の結果を参照する価値があります。
手軽に効きそうな話ほど広まりやすい
「無料」「作業が簡単」「すぐできる」の3拍子がそろった手法は、内容の正しさとは関係なく拡散します。一方で、カテゴリの見直しや口コミ運用のような地味な施策は、話題としては伸びにくいものです。
結果として、検証済みで効果が否定された手法のほうが、SNS上では長く生き残ってしまいます。実際、ジオタグ説を支持する側からは、まとまったデータや検証結果がほとんど公開されていません。
情報の出どころと、実際のデータが示されているかどうかを確認する習慣は、遠回りに見えて一番の近道です。これはMEOに限らず、集客の情報全般に言えることだと感じています。
ジオタグより先に手を付けたい、写真まわりの5つのこと

ジオタグに使う時間があるなら、同じ時間をこちらに回したほうが成果につながります。どれも特別な道具は要りません。
① 来店前に見られる写真から順にそろえる
初めて行く店を調べるとき、人が確認したいことはだいたい決まっています。外観、入口、店内の雰囲気、席の様子、商品やメニュー、駐車場、この6つです。
このうち1枚でも欠けていると、そこが不安要素として残ります。枚数を稼ぐより、抜けている種類を埋めるほうが先だと考えてください。
特に見落とされやすいのが「入口の写真」です。ビルの中の店やテナントの2階などは、入口が分からないというだけで来店をあきらめられてしまいます。
写真の役割ごとの整理については、Googleビジネスプロフィールの写真で集客を伸ばす実践ガイドにまとめています。
② 明るさと構図だけ整える
高価なカメラは必要ありません。スマホでも、明るさと水平だけ気をつければ印象は大きく変わります。
屋内は思っているより暗く写るため、昼間の窓際や照明を全部つけた状態で撮るのが基本です。傾きは撮影後にトリミングで直せるので、後から整えても構いません。
撮り方の具体的なコツは、スマホでできる店舗写真の撮り方|明るさ・構図・枚数のコツで手順つきに解説しています。
③ 一度に大量投稿せず、少しずつ足す
写真を一気に30枚上げて、そのまま半年放置というパターンをよく見かけます。しかしプロフィールを見る人にとって重要なのは、情報が「今の状態」を表しているかどうかです。
季節メニューが変わった、内装を変えた、新しいスタッフが入った。こうしたタイミングで数枚ずつ足していくほうが、結果として手間も少なくて済みます。
適切な枚数と更新ペースの考え方は、Googleビジネスプロフィールの写真は何枚必要?更新頻度の目安で整理しています。
④ 写真以外の基本項目を先に埋める
写真の前に、カテゴリ・営業時間・電話番号・サービス内容・説明文がきちんと埋まっているかを確認してください。これらはGoogleが公式に「関連性」の材料として挙げている情報そのものです。
特にメインカテゴリの選択は、どの検索語句で表示されるかに直結します。ここがずれていると、写真をどれだけ足しても出るべき検索に出てきません。
「やることは全部やったのに変化がない」という場合は、順番が逆になっていることが少なくありません。MEOの効果が出ない7つの原因|順位が上がらない時の診断手順で、ありがちな詰まりどころを確認できます。
⑤ 写真と口コミをセットで考える
写真は「どんな店か」を伝え、口コミは「行った人がどう感じたか」を伝えます。この2つがそろって初めて、来店の判断材料になります。
また、口コミの数と評価はGoogleが公式に知名度の材料として挙げている要素でもあります。順位を動かしたいなら、写真より口コミのほうが直接的だと言えます。
写真の見栄えを磨くことに時間を使いすぎて、口コミの依頼が後回しになっている店は多い印象です。どちらか迷ったときは、口コミを優先してみてください。
位置情報で本当に気をつけたいのは、順位ではなく安全面

ジオタグは順位には効きませんが、まったく無視してよいものでもありません。順位とは別の角度で、注意しておきたい場面があります。
自宅兼店舗・自宅で撮った写真は注意が必要
サロンや教室、工務店など、自宅の一部を仕事に使っている業態では特に気をつけたいところです。自宅で撮った商品写真やスタッフの写真には、自宅の座標が記録されている可能性があります。
Googleビジネスプロフィールに上げた分についてはEXIFが削除されるため、そこから漏れる心配はほぼありません。問題になるのは、自社サイトやメール添付、チラシ入稿データなど、EXIFがそのまま残る経路です。
住所を公開していない出張型・訪問型の事業では、これが実害につながることもあります。「店舗の住所を非公開にしているのに、写真から場所が分かってしまう」という状態は避けたいところです。
SNSや自社サイトに載せる画像でも同じ
SNSの多くは投稿時にEXIFを削除しますが、すべてのサービス・すべての投稿方法で必ず削除されるとは限りません。仕様は変わることもあるため、削除されている前提で運用するのは避けたほうが安全です。
自社サイトにアップロードする画像は、基本的にEXIFがそのまま残ります。WordPressも標準では位置情報を取り除きません。
スタッフの自宅で撮った写真や、取引先の敷地で撮った写真を掲載するケースもあります。自分以外の場所が写り込む可能性も考えて、公開前に一度確認する運用にしておくと安心です。
位置情報を消す手順は難しくない
もっとも簡単なのは、そもそも記録させない方法です。スマホのカメラアプリに対する位置情報の利用許可をオフにしておけば、以降に撮る写真にはジオタグが入りません。
すでに撮ってしまった写真については、WindowsならファイルのプロパティからEXIFを削除できます。スマホの写真アプリにも、共有時に位置情報を外す設定が用意されている機種があります。
なお、画像編集ソフトで書き出し直したり、スクリーンショットを撮り直したりするとEXIFは基本的に失われます。難しく考えず、公開前に一手間かけると覚えておけば十分です。
よくある質問(FAQ)

Q. すでにジオタグを付けて投稿した写真は、削除したほうがいいですか?
削除する必要はありません。Googleビジネスプロフィール側でEXIFは取り除かれているため、座標が残り続けることはないからです。
写真そのものの内容がよければ、そのまま残しておいて問題ありません。順位のために消す・付け直すといった作業は不要です。
Q. 写真のファイル名やaltテキストはMEOに効きますか?
ビジネスプロフィールに投稿する写真については、ファイル名を工夫しても順位への効果は期待できません。プロフィール上では、投稿時のファイル名はそのまま扱われないためです。
一方、自社サイトに掲載する画像のファイル名やaltテキストは、画像検索やアクセシビリティの観点で意味があります。店舗サイト側の画像には、内容がわかる日本語のaltを付けておくとよいでしょう。
Q. 自社サイトに載せる店舗写真にはジオタグを付けたほうがいいですか?
付ける必要はありません。Googleの検索担当者も、SEO目的で画像にジオタグを付ける必要はないと明言しています。
サイト側で店舗の所在地を機械に伝えたい場合は、構造化データを使うのが正攻法です。手順はLocalBusiness構造化データとは?店舗サイトの設定手順にまとめています。
なお、検証者の中には「自社サイトの画像についてはごく小さな効果がある可能性がある」と述べている人もいます。ただし効果は小さいとされており、優先して取り組むほどのものではありません。
Q. ジオタグを付けるとペナルティを受けますか?
ジオタグを付けたこと自体でプロフィールが停止された、という報告は確認されていません。過度に心配する必要はないでしょう。
ただし、座標を稼ぐためだけに内容の薄い写真を大量投稿すると、プロフィールを見る人にとっての質が下がります。順位より先に、見た人の印象を損なうほうが実害は大きいと考えてください。
Q. では、写真は順位に一切関係ないのでしょうか?
写真が「位置情報を通じて」順位に効くことはない、というのが本記事の趣旨です。写真そのものが無意味という意味ではありません。
Googleは公式ヘルプで、ローカル検索結果のランキングを改善するヒントの一つとして「写真や動画を追加する」ことを挙げています。写真を見た人がプロフィールを詳しく見たり、ルート検索や電話をしたりといった行動も、結果的に店舗の見つけられやすさにつながっていきます。
つまり、力を入れる先が「座標」ではなく「写真の中身」だというだけの話です。ここを取り違えないようにしたいところです。
写真とMEOのことでお困りなら、お気軽にご相談ください
「何から手を付ければいいか分からない」「業者に勧められた施策が本当に必要なのか判断できない」。そうしたご相談を、これまで数多くいただいてきました。
株式会社アクセス・リンクでは、Googleビジネスプロフィールの初期設定から、口コミ運用、店舗サイトとの連携まで一貫してご支援しています。まずは現状を見てみたいという段階でも構いませんので、access-meoの無料チェックからお試しください。
なお、口コミへの対応で法的な判断が必要になる場面や、医療・健康に関わる表現を扱う場面では、弁護士や該当分野の専門家にご相談ください。本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。
