「ホームページをリニューアルしたら、Googleマップからの問い合わせが減った気がする」。制作会社に任せて見た目はきれいになったのに、集客の数字だけが下がってしまう、という相談は珍しくありません。
原因の多くは、デザインではなく「URLが変わったのに、古いURLから新しいURLへの案内が用意されていなかった」といった、目に見えにくい部分にあります。
この記事では、店舗のホームページをリニューアルしたり、ドメインやURLを変更したりするときに、MEO(Googleマップでの集客)を落とさないための確認事項を、公開前・公開当日・公開後の順に整理します。
執筆は、全日本SEO協会認定のSEOコンサルタントで、中小企業のWeb制作やSEO・MEO支援に携わってきた三田健司です。サイトとMEOの関係の全体像はホームページとMEOを連携させて店舗集客を最大化する方法で扱っているため、こちらは「移行の瞬間」に絞って解説します。
リニューアルでMEOの数字が揺れるのはなぜか

URLが変わると、Googleの側で何が起きるのか
Googleは、ページごとのURLを単位にして情報を覚えています。URLが変わると、Googleにとっては「新しいページが現れて、古いページが消えた」ように見えます。
古いURLに集まっていた評価やリンクを新しいURLへ引き継ぐには、「このページは引っ越しました」という合図が必要です。その合図が、後述する恒久的なリダイレクトです。
サイトの情報は、地図の評価材料の一つになっている
Googleは、ローカル検索の順位を主に「関連性」「距離」「知名度」の3つで決めると説明しています。知名度には、ウェブ上の情報、つまり店のホームページや外部サイトでの言及なども関係するとされています。
つまり、ホームページはGoogleマップとは別世界のものではなく、地図での評価を支える土台の一つです。順位の仕組みはGoogleマップの表示順位はどう決まる?3つの要素で整理しています。
一時的な揺れは想定内、放置は禁物
Googleの公式ドキュメントでは、サイト移転の際には検索順位が一時的に変動することがあると明記されています。中規模のサイトでは、新しいURLが検索結果に置き換わるまで、数週間以上かかる場合もあるとされています。
少し揺れること自体は異常ではありません。問題は、揺れの原因が設定ミスなのか、移行に伴う自然な変動なのかを、見分けないまま放置してしまうことです。
店舗サイトで落ちやすい5つの典型パターン
私が支援の現場で見てきた中で、リニューアル後に数字が落ちやすい典型は次の5つです。1つ目は、旧URLから新URLへの転送がなく、古いURLを開くとエラーになってしまうことです。
2つ目は、すべての旧URLがトップページへ一括で飛ばされていること。3つ目は、テスト環境用の「検索結果に出さない設定」が本番に残ってしまうことです。
4つ目は、Googleビジネスプロフィールのウェブサイト欄が古いURLのままであること。5つ目は、電話番号や予約ボタンなど、来店につながる導線が新サイトで消えてしまうことです。
いずれも、公開前に確認しておけばほぼ防げるものばかりです。以降のセクションで、順番に確認していきましょう。
公開前に済ませる:URLの棚卸しと転送の設計

まず「今あるURL」をすべて書き出す
リニューアル作業で最初にやるべきは、現在のサイトにあるURLの一覧づくりです。ページ数が数十程度の店舗サイトであれば、サイトマップや管理画面の一覧から書き出すだけで、半日もかからずに終わります。
トップ、メニューや料金、スタッフ紹介、アクセス、お知らせ、ブログ記事のように、ページごとにURLをメモしておきます。特に、Google検索やGoogleマップから実際に訪問が多いページは、印を付けておくと優先順位がつけやすくなります。
新旧の対応表をつくる
次に、旧URLと新URLを1対1で結んだ対応表を作ります。たとえば「旧:/menu.html」→「新:/menu/」のように、1行ずつ書いていく形です。
対応表は、制作会社に渡す最も大切な資料です。この表があるかどうかで、公開後の数字の戻りが大きく変わります。
転送は「サーバー側の恒久的な転送(301または308)」で行う
Googleのドキュメントでは、可能な限りサーバー側の恒久的なリダイレクト(301または308)を使うことが推奨されています。画面上で数秒後に切り替わるような設定や、JavaScriptによる転送は、確実性が下がるため最後の手段とされています。
また、転送を何段階も重ねる「チェーン」は避けるよう案内されています。Googleは最大10回までの転送を追跡するとされていますが、ドキュメントでは3回以内に収めることが望ましいとされています。
関係のないページへの一括転送は避ける
「旧サイトのすべてのURLを、新サイトのトップページへ転送すればよい」と考える制作会社もありますが、これは避けたほうが安全です。Googleのドキュメントでも、無関係なページへ複数のURLをまとめて転送すると「ソフト404」と扱われるおそれがあるとされています。
内容が対応するページへ個別に転送するのが原則です。メニューのページは新しいメニューのページへ、アクセスのページは新しいアクセスのページへ、という具合に、中身が合う先を選びます。
なくなるページ・統合するページはどうするか
リニューアルを機に、古いお知らせやブログ記事を整理したくなることもあります。ただし、検索やGoogleマップ経由で今も読まれているページを、確認せずに削除するのは避けてください。
統合する場合は、内容が近い新しいページへ転送します。内容が完全に失われて転送先がない場合は、エラーページ(404)として扱い、利用者向けに別のページへの案内を表示しておくと親切です。
canonicalと内部リンクも新しいURLに合わせる
新しいページには、自分自身のURLを指す「canonical」の指定を入れておくことが、Googleのドキュメントで案内されています。サイト内のリンクも、旧URLのまま残さず、新しいURLに書き換えておきます。
旧URLへのリンクが残っていても転送でたどり着けますが、サイト内の案内は最初から新しいURLに揃えておくほうが、読み込みも速く、Googleにも伝わりやすくなります。
Googleビジネスプロフィールまわりのリンク先を直す

「ウェブサイト」欄のURLを新しいものに更新する
リニューアルで最も忘れられやすいのが、Googleビジネスプロフィールのウェブサイト欄です。転送が設定されていれば古いURLでも新しいページにたどり着けますが、プロフィール側も新しいURLに直しておくのが基本です。
Googleのガイドラインでは、個々の店舗を表すウェブサイトを案内するよう示されています。複数店舗の場合は、店舗ごとのページを指定しているか、あわせて確認してください。
予約・注文・メニューなどのリンクも見直す
プロフィールには、予約リンクや注文リンク、メニューのリンクなど、複数のリンクを設定している店舗も多いはずです。これらが旧サイトのページを指している場合は、転送の対象に入っているかを必ず確認します。
特に予約ページは、旧URLが新サイトで消えると、そのまま機会損失につながります。設定の基本はGoogleビジネスプロフィールの予約リンク設定をご覧ください。
UTMパラメータ付きURLは、計測が途切れないように作り直す
プロフィール経由の流入を測るために、URLにUTMパラメータを付けている場合は、新しいURLで作り直す必要があります。古いパラメータ付きのURLを残したままだと、リニューアルを境に計測が途切れて、効果の比較ができなくなります。
リニューアルの前後で数字を比べるには、同じ条件で計測を続けることが大切です。作り方はGBPのUTMパラメータ設定で詳しくまとめています。
SNS・他サイト・紙媒体のリンクもリストにして直す
InstagramやXのプロフィール、ポータルサイトの掲載ページ、名刺やチラシのQRコードなど、店のURLが載っている場所は意外と多いものです。公開前に洗い出して、新しいURLに更新する担当者と期限を決めておきましょう。
SNSからのリンク設定はGoogleビジネスプロフィールにSNSリンクを設定する方法にも書いています。紙媒体のQRコードは、旧URLからの転送が効いていれば当面は使えますが、次の増刷のタイミングで新URLに切り替えるのが安全です。
構造化データ・地図の埋め込み・NAP表記を点検する
サイトに店舗情報の構造化データ(LocalBusiness)を入れている場合は、その中のURLも新しいものに更新します。ホームページへの地図の埋め込みや、店名・住所・電話番号の表記が、新サイトで崩れていないかも確認します。
それぞれLocalBusiness構造化データの設定手順、Googleマップをホームページに埋め込む方法、NAP統一の考え方で解説しています。リニューアルで書き換わりやすい部分なので、公開前の確認リストに入れておきましょう。
公開当日から72時間のチェックリスト

「検索結果に出さない設定」が残っていないか
リニューアルの失敗で最も大きな被害が出やすいのが、テスト環境用の設定が本番にそのまま残ってしまうケースです。noindexの指定や、robots.txtによる巡回の制限が残ったままだと、新しいページがGoogleに登録されません。
Googleのドキュメントでも、移転後に検索結果へ出さない設定が残っていないかを確認するよう注意が示されています。公開当日に、トップページと主要ページのソースやrobots.txtを、制作会社と一緒に確認してください。
robots.txtは「検索結果から隠す仕組み」ではない
補足として、robots.txtは巡回の量や範囲を管理するためのもので、ページを検索結果から確実に除外する仕組みではないと、Googleのドキュメントに明記されています。ほかのサイトからリンクされていれば、巡回を拒否していてもURLだけが表示されることがあります。
検索結果に出したくないページがある場合は、noindexの指定を使うのが正しい方法です。逆に、出したいページにnoindexが残っていないかの確認も、あわせてお願いします。
旧URLを実際に開いて、転送を確かめる
対応表に載せた旧URLを、いくつか実際に開いてみます。新しい対応ページに転送され、画面が正しく表示されるかを、パソコンとスマートフォンの両方で確認します。
特に、これまでアクセスが多かったページ、プロフィールのウェブサイト欄から飛ぶページ、予約や注文のページは、必ず確認しておきたい箇所です。件数が多い場合は、制作会社にURLの一括チェックを依頼するのもよい方法です。
サイトマップの再送信とURL検査
新しいURLを載せたサイトマップを用意し、Search Consoleから送信します。Googleのドキュメントでも、新しいURLを含むサイトマップを送ることが案内されています。
あわせて、トップページや主要ページをURL検査ツールで確認すると、Googleが新しいページを問題なく読み取れているかが分かります。公開直後の数日は、サーバーの負荷が高まる場合もあるため、表示が重くなっていないかも見ておきましょう。
電話・問い合わせ・予約の導線が動くか、実際に試す
見た目の確認だけで安心せず、実際に電話ボタンを押す、問い合わせフォームを送る、予約ページまで進むといった操作を一通り試します。MEOで増えた来店意欲を、受け止められる状態かを確認するためです。
フォームの通知メールが届いているか、予約システムが新サイトと連携しているかといった点も、公開当日のうちに確認してください。来店につながる導線が途切れていないかは、順位以上に売上へ影響する部分です。
公開後3か月の見守り方と、数字が動いた時の考え方

見るべき数字を3つに絞る
公開後は、Search Consoleの表示回数とクリック数、Googleビジネスプロフィールのパフォーマンス(ウェブサイトのクリック数や通話数)、そしてサイトの問い合わせ件数の3つを中心に見ます。数字を増やしすぎると、見る時間が負担になって続きません。
GBPのパフォーマンスの読み方はGoogleビジネスプロフィールのインサイトの見方で、サイト側の計測と組み合わせる方法はGBPパフォーマンスとGA4を組み合わせた効果測定で扱っています。
回復までの目安と、動かない時の疑い方
リニューアル後の順位の戻りは、サイトの規模や設定の精度によって変わります。業界の解説記事では、公開後1〜3か月ほどで回復傾向が見られるケースが多いとされていますが、これはあくまで目安です。
1か月たっても数字が大きく落ちたままの場合は、「検索結果に出さない設定の残り」「転送の漏れ」「サイトマップの未送信」の順で、見直してみてください。
数字が落ちた時に、まず切り分けること
表示回数が落ちたとき、原因がサイトにあるのか、Googleマップ側の変動なのかを切り分けることが大切です。リニューアルの前後だけでなく、同じ時期に検索全体の変動がなかったかも確認します。
表示回数の異常を見つけたときの見方はGoogleマップの表示回数が減った時にまず見る3つの数字で、外部の変動への向き合い方はアップデートと順位変動への向き合い方で整理しています。
転送は最低でも1年は残す
Googleのドキュメントでは、リダイレクトは少なくとも1年は維持することが望ましいとされています。評価を新しいURLへ引き継ぐ期間を確保し、外部のサイトが古いリンクを更新するための時間を残すためです。
制作会社の保守契約が終わった時に、転送設定まで外れてしまわないかは、意外と見落とされます。契約の更新や、サーバーの変更時にも、転送が残るように確認しておきましょう。
ドメインそのものを変える場合の追加作業
「example.com」から別のドメインへ変えるような場合は、Search Consoleの「アドレス変更ツール」が使えます。Googleのヘルプによると、旧サイトと新サイトの両方のオーナー権限が必要で、転送は少なくとも180日間は維持するよう案内されています。
一方、HTTPからHTTPSへの変更や、wwwの有無の切り替え、同じドメイン内でのURL変更では、このツールは使いません。自分のケースがどちらにあたるかを、公開前に制作会社と確認しておきましょう。
制作会社に発注する時に確認しておきたいこと

見積に「URL移行作業」が入っているか
リニューアルの見積書には、デザインや構築費用は書かれていても、旧URLの棚卸しや転送設定、公開後の監視が含まれていないことがあります。契約前に、これらが作業範囲に入っているかを確認してください。
「SEOは別料金です」と言われた場合でも、転送設定と「検索結果に出さない設定」の解除は、最低限の作業として依頼しておくのが安全です。
旧URLの一覧と対応表を、納品物として受け取る
対応表は、制作会社の頭の中にだけある状態にしないほうがよい資料です。公開後に数字が落ちたとき、どのURLがどこへ転送されているのかを確認できなくなってしまうからです。
対応表を納品物として受け取っておけば、制作会社を変更する場合にも、次の担当者へ引き継げます。契約終了時に取り戻すべき資料については、MEO業者の解約で必ず取り戻すものも参考になります。
公開日は、繁忙期を避けて決める
サイトの公開直後は、数字が一時的に揺れる可能性があります。繁忙期や大型連休の直前に公開すると、揺れの影響が売上に直接響いてしまいます。
繁忙期と閑散期でMEOの打ち手を変える考え方を踏まえ、比較的落ち着いた時期に、余裕をもって公開日を設定するのがおすすめです。
公開後の確認と、窓口を決めておく
公開後の1〜2週間は、不具合が見つかりやすい時期です。誰が確認し、誰に連絡し、いつまでに直すのかを、あらかじめ決めておきましょう。
小さなお店ほど、担当者が1人で抱え込みがちです。確認する項目をチェックリストにして、制作会社と共有しておくと、見落としが減ります。
そもそも、今のサイトを変える必要があるのか
リニューアルを検討するとき、「デザインを一新したい」という理由だけでURLまで変えてしまうケースがあります。しかし、URLの構造を変えずに、見た目や文章だけを更新すれば、移行のリスクはぐっと小さくなります。
店舗サイトの役割そのものを見直したい場合は、MEO時代に店舗ホームページは必要かもあわせてお読みください。変えるものと変えないものを分けることが、安全な更新の第一歩です。
よくある質問

Q1. リニューアルしてすぐに、Googleマップの順位は下がりますか?
必ず下がるわけではありませんが、一時的に揺れる可能性はあります。Googleのドキュメントでも、サイト移転時には一時的な順位の変動が起きうるとされています。
ただし、Googleマップの順位は、サイトだけでなく口コミや距離など複数の要素で決まります。数字が動いた場合は、原因を切り分けて確認することが大切です。
Q2. URLを変えずにリニューアルすれば、安全ですか?
URLの構造を変えない場合は、転送の手間は大きく減ります。ただし、ページの内容を大きく変えたり、「検索結果に出さない設定」が残ったりすると、同じように影響が出ることがあります。
URLを変えない場合でも、公開当日のチェックリストの項目は、一通り確認してください。
Q3. 古いURLからの転送は、いつまで残せばよいですか?
Googleのドキュメントでは、少なくとも1年は維持することが望ましいとされています。ドメインを変更する場合は、アドレス変更ツールの案内にあわせて、少なくとも180日は維持が必要です。
実務上は、余裕をもって長く残しておくほうが安全です。サーバーの変更や契約の更新があっても外れないよう、設定を記録しておきましょう。
Q4. プロフィールのウェブサイト欄は、すぐに新しいURLへ変えるべきですか?
転送が正しく設定されていれば、旧URLでも新しいページにたどり着けます。それでも、公開のタイミングに合わせて新しいURLへ更新しておくのが基本です。
更新後は、プロフィールの変更がGoogleに反映されるまで少し時間がかかることがあります。反映状況は、数日おきに確認してください。
Q5. 制作会社に任せっぱなしにしても大丈夫ですか?
任せること自体は問題ありませんが、公開前後の確認項目は、店舗側でも把握しておくことをおすすめします。対応表の納品、「検索結果に出さない設定」の解除確認、導線の動作確認は、オーナー自身でも確認できる項目です。
状況によって最適な進め方は変わります。不安な点があれば、専門家にご相談ください。
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公開前に現状を把握しておけば、リニューアル後の変化を客観的に確認できます。移行の確認から、その後の運用まで、一緒に整えていきましょう。
