「口コミには毎回返信しているけれど、読んだあとに何かを変えたことはない」。店舗のオーナーからよく聞く声です。
返信は大切な仕事ですが、口コミの価値はそれだけではありません。
自店の口コミは、お客様が無料で書いてくれた「お店の通信簿」です。まとめて読み、傾向をつかめば、メニューや接客、店内環境など、どこから手をつければよいかがはっきりします。
この記事では、Googleの口コミを自店の改善に生かすための分析方法を、口コミの集め方からテーマ分け、優先順位の決め方、ツールの選び方まで順番に解説します。競合店の口コミではなく、自店の口コミに絞った内容です。
執筆は、全日本SEO協会認定SEOコンサルタントとして中小企業のWeb制作やSEO・MEOの支援に携わり、Googleマップの順位を測るツール「access-meo」を開発・運営している三田健司です。2026年10月時点のGoogle公式情報をもとにお伝えします。
自店の口コミを「分析」すると何が分かるのか

口コミを1件ずつ読むだけでは、そのときの印象で終わってしまいがちです。複数の口コミを並べて見ることで、はじめて「何度も出てくる声」が見えてきます。
返信だけで終わらせるのはもったいない
返信は目の前のお客様への対応ですが、分析はこれから来るお客様のための作業です。同じ不満が3件、5件と続いているなら、それは個人の好みではなく、お店の仕組みに原因がある可能性が高いといえます。
反対に、何度もほめられている点は、お店の強みとして打ち出せる材料です。口コミは「対応するもの」であると同時に「経営の判断材料」でもあります。
星の平均だけでは原因が分からない
星の平均が4.2から4.0に下がったとしても、数字だけでは何が原因かは分かりません。料理の味なのか、待ち時間なのか、スタッフの対応なのかは、口コミの本文を読まないと判断できないからです。
分析の目的は、星の数字を上げることそのものではなく、星を動かしている「理由」を見つけることです。理由が分かれば、打つべき手も具体的になります。
関連記事:口コミの星評価は集客にどれだけ影響する?基準と改善のコツ
分析で見えてくる3つのこと
自店の口コミを分析すると、大きく3つのことが分かります。1つ目はお客様が評価している強み、2つ目は繰り返し指摘されている弱み、3つ目は時期や曜日による変化です。
- 強み:何度もほめられている料理・サービス・スタッフ(説明文や投稿で打ち出す材料になる)
- 弱み:複数の人が指摘している不満(改善の優先候補になる)
- 変化:スタッフの入れ替えや繁忙期など、特定の時期に増えた声(原因を絞り込む手がかりになる)
分析の準備:口コミを集めて一覧にする

分析を始める前に、まず口コミを見やすい形に並べます。件数が少ないうちは手作業でも十分です。
Googleビジネスプロフィールで口コミを読む
オーナー確認を済ませたお店なら、Googleビジネスプロフィールの管理画面から「クチコミを読む」を選ぶと、自店の口コミを一覧で確認できます(クチコミを管理する(Googleビジネスプロフィール ヘルプ))。返信もこの画面から行えます。
まだオーナー確認をしていない場合は、先に確認を済ませておきましょう。口コミへの返信にもオーナー確認が必要です。
Googleマップの並べ替えを使い分ける
Googleマップでお店の口コミを開くと、関連性の高い順のほか、新しい順や評価の高い順・低い順に並べ替えられます(表示される名称はアプリの版などによって異なる場合があります)。分析では、まず「新しい順」で直近の傾向を見て、次に「評価の低い順」で不満の中身を確かめるのがおすすめです。
お店によっては、口コミによく出てくる言葉が絞り込み用のボタンとして表示されることもあります。どんな言葉が並んでいるかを見るだけでも、お客様の関心がどこにあるかの手がかりになります。
関連記事:口コミの並び順は変えられる?関連性順・新しい順の運用の考え方
表計算ソフトに書き写して一覧にする
口コミが数十件程度なら、Excelやスプレッドシートに書き写すのが一番確実です。列は「投稿日」「星の数」「本文の要点」「テーマ」「良い点か不満か」「返信済みか」の6つあれば十分です。
本文を全部写す必要はありません。要点を一言で書き、テーマの列を空けておくと、あとの分類が楽になります。
| 投稿日 | 星 | 本文の要点 | テーマ | 良い/不満 |
|---|---|---|---|---|
| 2026/9/28 | 5 | ランチの量が多く満足 | 料理 | 良い |
| 2026/10/3 | 3 | 料理はおいしいが提供が遅い | 料理/待ち時間 | 良い+不満 |
| 2026/10/12 | 2 | 席の案内まで15分待った | 待ち時間 | 不満 |
上の表はイメージです。1件の口コミに複数のテーマが含まれる場合は、テーマを2つ書いておきます。
件数が多いならAPIやツールで取り出す
口コミが数百件ある場合や複数店舗を運営している場合は、手作業では追いつきません。Googleは、オーナー確認済みで管理しているお店の口コミを一覧で取得したり返信したりできるBusiness Profile APIを公開しています(クチコミデータの操作(Google Business Profile API))。
APIを直接使うには開発の知識が必要なため、多くのお店は、APIなどを使って口コミを自動で集めてくれる管理ツールを利用しています。ツールの選び方は後半で解説します。
口コミ分析の基本手順5ステップ

一覧ができたら、次の5つの手順で分析します。初めての方は、直近3か月から半年分の口コミで試してみてください。
ステップ1:期間を決めて口コミを集める
まず「いつからいつまでの口コミを見るか」を決めます。何年も前の口コミには、すでに改善済みの内容や、今はないメニューへの感想が混ざるためです。
目安は、口コミが月に数件のお店なら直近1年、月に20件以上あるお店なら直近3か月です。期間を決めておくと、次回の分析と比べやすくなります。
ステップ2:1件ずつテーマを付ける
口コミを読みながら、「料理」「接客」「待ち時間」「価格」「清潔さ」「雰囲気」「予約・駐車場」などのテーマを付けていきます。テーマは10個以内に絞ると、集計しやすくなります。
星だけでコメントのない口コミは、テーマを付けずに件数だけ数えておきます。コメントがない口コミにも、星の分布という情報は含まれています。
ステップ3:良い声と不満の声に分ける
同じ「料理」というテーマでも、「おいしい」という声と「冷めていた」という声では意味が正反対です。テーマごとに、良い声と不満の声を分けて数えます。
星5の口コミの中に小さな不満が書かれていることもあれば、星2の口コミの中にほめ言葉が入っていることもあります。星の数ではなく、文章の中身で良い・不満を判断するのがポイントです。
ステップ4:件数を数えて多い順に並べる
テーマごと、良い・不満ごとに件数を数え、多い順に並べます。ここで初めて、お店の強みと弱みが数字で見えるようになります。
件数が少ない場合は、割合よりも「同じ指摘が何件あるか」を重視しましょう。20件中3件でも、同じ内容が続いていれば見過ごせないサインです。
ステップ5:時期による変化を確かめる
最後に、不満の声が増えた時期がないかを確認します。スタッフが入れ替わった月、新メニューを始めた月、繁忙期などと重ねると、原因の見当がつきやすくなります。
3か月ごとに同じ手順で分析し、前回と比べるのがおすすめです。改善策を実行したあとに不満の件数が減っていれば、手を打った効果が出ていると判断できます。
星の数より「言葉」を読む:テーマ分けのコツ

分析の質を左右するのが、テーマの付け方です。業種によって、お客様が気にするポイントは大きく変わります。
業種別のテーマの例
自店の業種に合わせて、最初にテーマの候補を決めておくと迷いません。下の表は、よく使われるテーマの例です。
| 業種 | テーマの例 |
|---|---|
| 飲食店 | 料理の味・量、提供スピード、接客、価格、店内の清潔さ、雰囲気、予約・駐車場 |
| 美容室・サロン | 仕上がり、カウンセリング、技術の説明、施術時間、価格の分かりやすさ、予約の取りやすさ |
| クリニック・歯科 | 説明の分かりやすさ、待ち時間、受付の対応、院内の清潔さ、予約・アクセス |
| 工務店・住宅 | 提案力、連絡の早さ、担当者の対応、仕上がり、アフター対応 |
医療機関の場合、口コミの内容を広告や説明文に使うときは医療広告ガイドラインの制限があります。判断に迷うときは、専門家にご相談ください。
「詳細な評価」タグも分析の材料になる
業種によっては、口コミを書くときに「食事」「サービス」「雰囲気」などの項目別に星を付けたり、価格帯を選んだりできる場合があります。本文が短い口コミでも、こうした項目の評価からお客様の受け止め方が分かります。
本文のテーマ分けと合わせて見ると、「本文では料理をほめているが、サービスの評価は低い」といった、より細かな傾向をつかめます。
関連記事:Google口コミの「詳細な評価」タグとは?集客への活かし方
同じ言葉でも意味が違うことに注意する
「量が多い」は、ランチを求めるお客様にはほめ言葉ですが、少しずつ楽しみたいお客様には不満になることがあります。言葉だけで機械的に分けず、前後の文脈を読んで判断しましょう。
迷った口コミは「保留」のテーマを作って入れておき、あとでスタッフと一緒に読み直すと、思い込みによる分類のずれを防げます。
少数意見の扱い方
1件しかない指摘でも、「トイレが汚れていた」「アレルギーの質問に答えてもらえなかった」など、安全や衛生に関わる内容はすぐに確認すべきです。件数よりも、影響の大きさを優先してください。
一方で、好みが分かれる内容(味の濃さ、BGMの音量など)は、1件だけで方針を変える必要はありません。同じ声が続くかどうかを見守りましょう。
分析結果を改善につなげる方法

分析は、改善につなげて初めて意味があります。ここでは、結果を行動に変えるための進め方を紹介します。
「件数」と「直しやすさ」で優先順位を決める
不満のテーマが複数見つかったら、「指摘の件数」と「直すのにかかる手間や費用」の2つで優先順位を付けます。件数が多く、すぐに直せるものから取りかかるのが基本です。
たとえば「入口が分かりにくい」という声は、看板や案内の追加で比較的早く手を打てます。
一方で「店内が狭い」は改装が必要なため、すぐには直せません。すぐ直せる不満から先に片付けると、改善の手応えを早く感じられます。
| すぐ直せる | 時間や費用がかかる | |
|---|---|---|
| 指摘が多い | 最優先で取りかかる(例:提供時間の案内、席の案内手順) | 計画を立てて進める(例:席数、設備の入れ替え) |
| 指摘が少ない | 手が空いたときに対応(例:メニュー表の文字の大きさ) | 様子を見る(例:内装の好み) |
スタッフと結果を共有する
分析の結果は、オーナーだけで抱えずにスタッフと共有しましょう。不満の声だけを伝えると責められているように感じやすいので、ほめられている点も必ず一緒に伝えるのがコツです。
月に1回、10分ほどの打ち合わせで「今月多かった声」と「次の1か月で変えること」を1つずつ決めるだけでも、改善は着実に進みます。
強みはプロフィールや投稿で発信する
何度もほめられている点は、Googleビジネスプロフィールの説明文や最新情報(投稿)、写真で積極的に伝えましょう。お客様の言葉で評価されている強みは、これから来店を考える人にも響きやすい内容です。
ただし、口コミの文章をそのまま広告に使う場合は、投稿者の権利や景品表示法などへの配慮が必要です。引用する場合は出どころを明らかにし、内容を書き換えないようにしてください。
改善したことは口コミへの返信でも伝える
不満の口コミに返信するときに、「ご指摘を受けて、ご案内の手順を見直しました」と改善の内容を伝えると、読んだ人にお店の誠実さが伝わります。ただし、まだ実行していないことを約束するのは避けましょう。
改善した内容は、時間がたってから同じテーマの口コミがどう変わったかで確かめます。不満の件数が減っていれば、改善が届いているサインです。
口コミ分析ツールの選び方と、手作業との使い分け

口コミが増えてくると、手作業での分析は負担になります。ここでは、ツールを使うべきタイミングと選び方を整理します。
手作業で十分なお店・ツールが向いているお店
口コミが月に数件程度で1店舗だけなら、表計算ソフトでの手作業で十分です。読みながら考える時間そのものが、お店を見直すきっかけになります。
一方で、口コミが月に数十件以上ある、複数店舗を運営している、返信まで手が回っていないといったお店は、ツールの導入を検討する価値があります。
ツールを選ぶときに確認したいこと
口コミの分析に使えるツールを選ぶときは、次の点を確認しましょう。高機能なものほど費用も上がるため、自店に必要な機能に絞ることが大切です。
- 自店のGoogle口コミを自動で取り込めるか(取り込みの頻度も確認)
- テーマ別・星別・期間別に絞り込んだり集計したりできるか
- 新しい口コミの通知や、返信の管理まで一緒にできるか
- 複数店舗をまとめて見られるか(多店舗の場合)
- 料金と、無料で試せる期間があるか
関連記事:Google口コミ管理ツールでできること|通知・返信・分析の選び方
AIでの要約は「たたき台」として使う
最近は、たまった口コミをAIがテーマごとに要約してくれるツールも増えています。大量の口コミの傾向を短時間でつかむには便利な方法です。
ただし、AIの要約には読み違いや言い過ぎが含まれることがあります。要約を読んだら、元の口コミも何件か必ず確認するようにしてください。
改善策を決めるのは、あくまでお店の人です。
自店の分析のあとに競合店と比べる
自店の口コミの分析に慣れてきたら、近くの競合店の口コミと比べてみると、地域のお客様が何を重視しているかが見えてきます。順番としては、まず自店、次に競合店です。
競合店の口コミの読み方は別の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:競合店の口コミから自店の改善点を引き出す読み方|MEO
口コミ分析で気をつけたいこと

口コミの分析は、使い方を誤るとお客様の信頼を損ねたり、Googleのポリシーに反したりするおそれがあります。最後に、注意点を確認しておきましょう。
分析結果をもとに口コミの内容を誘導しない
分析で「料理の口コミが少ない」と分かっても、お客様に「料理のことを書いてください」とお願いするのは避けましょう。Googleのポリシーでは、口コミに特定の内容を含めるよう依頼することや、良い口コミだけを選んで集めることが禁止されています(マップのユーザー投稿コンテンツに関するポリシー(Google))。
特典と引き換えに、口コミの投稿や低評価の口コミの修正・削除を求めることも同じく禁止されています。口コミのお願いは、内容に触れずに「よろしければご感想をお聞かせください」と伝えるのが基本です。
お客様の個人情報の扱いに注意する
口コミを表計算ソフトに書き写すときは、投稿者の名前を記録する必要はありません。社内で共有する資料には、口コミの要点とテーマだけを残すようにしましょう。
口コミの内容をAIツールに入力する場合も、来店記録や予約情報など、口コミに書かれていない個人情報を一緒に入力しないよう注意してください。
口コミだけで判断しない
口コミを書いてくれるのは、来店したお客様の一部です。口コミに出てこない不満を抱えたまま、二度と来店しないお客様もいます。
口コミの分析に加えて、レジでの一言や、アンケート、スタッフの気づきなど、ほかの声とも照らし合わせると、より確かな判断ができます。
Google口コミの分析でよくある質問(FAQ)

Q1. 口コミが10件しかありませんが、分析する意味はありますか?
あります。件数が少なくても、同じ内容の声が2件、3件あれば、改善のヒントになります。
件数が少ないうちは、1件ずつ丁寧に読み、気づいたことをメモしておくだけでも十分です。
Q2. どのくらいの頻度で分析すればよいですか?
口コミの件数にもよりますが、3か月に1回を目安にするのがおすすめです。
毎回同じテーマと同じ手順で集計すると、前回との違いが分かりやすくなります。
Q3. 星1の口コミばかり気になってしまいます。
低評価の口コミは目立ちますが、分析では星5や星4の口コミも同じように読むことが大切です。
強みを知ることは、弱みを直すことと同じくらい集客に役立ちます。
Q4. 事実と違う口コミも分析に含めるべきですか?
明らかに事実と違う内容や、ポリシーに反する口コミは、集計から外しておきましょう。
そのうえで、なぜ誤解が生まれたのか(案内が分かりにくかったのか等)を考えると、改善につながることがあります。
Q5. 口コミを分析すると、Googleマップの順位は上がりますか?
分析そのものが順位を直接上げるわけではありません。分析をもとにお店を改善し、お客様の満足が高まることで、良い口コミが増え、結果として集客につながっていくと考えるのが自然です。
口コミ分析と合わせて、Googleマップでの見え方も確かめましょう
自店の口コミを分析すると、お客様が評価している強みと、繰り返し指摘されている弱みが見えてきます。期間を決めて集め、テーマを付けて数え、件数と直しやすさで優先順位を決めることが、改善につなげる近道です。
改善の取り組みを続けるのと同時に、お店がGoogleマップでどう表示されているかを、実際の数字で確かめておくことも大切です。
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