「うちはそんな対応はしていないのに、事実と違うことを書かれた」。Googleマップの口コミを開いて、身に覚えのない内容を見つけたときの驚きと悔しさは、店を預かる方なら誰でも経験しうるものです。
すぐに反論の返信を書きたくなる気持ちは自然ですが、感情のまま書いた返信は、書いた本人よりも、その返信を読む「これから来店を考えている人」に強く影響します。
この記事では、事実と違う口コミが付いたときに、まず何を確認し、何を依頼でき、どう返信すればよいのかを順番に整理します。反論ではなく「事実を落ち着いて伝える」ための考え方と、そのまま使える返信の型もお伝えします。
執筆は、全日本SEO協会認定のSEOコンサルタントとして、中小企業のWeb制作やSEO・MEO支援に携わってきた三田健司です。口コミ返信の基本はGoogle口コミへの返信のコツと例文で解説しているため、こちらは「事実と違う」という特有の場面に絞ってお伝えします。
事実と違う口コミを見つけたら、最初にやること

返信は書かず、まず時間を置く
事実と違う口コミを見つけた直後は、冷静な判断が難しい状態です。その場で返信を書き始めるのは避け、いったん画面を閉じて、数時間から翌日まで時間を置くのが安全です。
Googleのヘルプによると、返信は投稿後にGoogleの審査を経て公開され、承認されると、お店の名前で口コミの下に表示されます。公開された返信は、誰でも読める店の公式な発言になるため、急いで書く必要はありません。
本当に事実と違うのかを、社内で検証する
次に確認したいのは、その口コミが本当に事実と違うのかという点です。お客様の側の受け止め方が異なるだけで、店側にも思い当たる点がある、というケースは珍しくありません。
日時や担当者、注文内容など、口コミから読み取れる手がかりをもとに、予約記録、レジの履歴、シフト表、防犯カメラなどを確認します。店側の記録で確かめられた事実と、確かめられなかった点を、分けてメモしておいてください。
「事実と違う」を3つに分けて考える
事実と違う口コミは、大きく3つに分けると整理しやすくなります。1つ目は、日時や金額、サービス内容などの客観的な事実が違うもの、2つ目は、店側にも一部の落ち度があり、受け止め方に差があるもの、3つ目は、そもそも来店していない人や別の店への投稿が疑われるものです。
対応の方向性は、この3つで大きく変わります。1つ目は事実を丁寧に伝える返信が中心になり、2つ目はお詫びと改善の姿勢を示し、3つ目はGoogleへの報告を検討します。
証拠は消えないうちに保存しておく
口コミの画面は、投稿者によって後から編集されたり、削除されたりすることがあります。Googleのヘルプにも、お客様は返信を読んだ後でも口コミを変更でき、変更すると口コミの日付も更新されると案内されています。
そのため、気づいた時点で口コミのスクリーンショットを日付入りで保存しておくと安心です。後でGoogleへ報告するときや、専門家へ相談するときにも、状況を正確に説明する材料になります。
スタッフへの聞き取りは、責める形にしない
当日の状況を確認するために、スタッフへ聞き取りをする場面もあります。このときに「誰がやったのか」を追及する聞き方をすると、事実が隠れてしまい、かえって正確な情報が集まらなくなります。
「当日の流れを教えてほしい」という聞き方で、経緯を時系列に確認しましょう。低評価の口コミを店の改善につなげる考え方は、低評価が続く時に見直す店舗改善サイクルでも整理しています。
削除できる口コミと、できない口コミの見分け方

「事実と違う」だけでは削除の理由にならない
Googleのビジネスプロフィールのヘルプでは、口コミの削除対象は、Googleの投稿コンテンツのポリシーに違反するものと位置づけられています。事実と異なるというだけで、削除が認められると案内されているわけではありません。
そのため、事実と違うからといって、必ず削除されるとは限らないという前提で動くことが大切です。削除を待ち続けるのではなく、削除されない場合でも対応できるよう、返信の準備も並行して進めましょう。
ポリシー違反として報告できる代表的なケース
Googleのコンテンツポリシーでは、実体験に基づかないコンテンツや、対象の場所を正確に表現していないコンテンツは「虚偽の関与」として禁止されています。たとえば、来店していない人の投稿や、別の店と取り違えた投稿などは、報告を検討する対象になりえます。
そのほかにも、冒とく的な表現、個人への嫌がらせや晒し行為、個人情報の掲載、その場所と関係のない個人的な不満や論評などが禁止事項として挙げられています。実際に違反と判断されるかどうかはGoogleの審査次第であり、報告すれば必ず削除されるものではない点は、あらかじめ理解しておきましょう。
口コミの報告方法と、その後の流れ
報告は、ビジネスプロフィールの口コミ画面から、対象の口コミ横の報告アイコンを選び、理由を選んで送信します。複数の口コミをまとめて管理する場合は、Googleが提供している口コミ管理ツールから、削除をリクエストする方法もあります。
管理ツールでは、「判定待ち」「審査完了(ポリシー違反なし)」「エスカレーション済み」といった状態が確認できます。具体的な手順は、別の記事でも画面の流れに沿って解説しているので、あわせてご覧ください。
報告の出し方の詳細は、不当な口コミ・スパムへの対処法|Google削除依頼の出し方と手順にまとめています。
ポリシー違反なしと判定された場合の再審査
審査の結果が「ポリシー違反なし」だった場合でも、あきらめる必要はありません。Googleのヘルプでは、削除の対象外と判定された口コミについて、1回限りの再審査を請求できると案内されています。
再審査のときは、感情的な説明を書くのではなく、どの禁止事項に当たると考えるのかを、客観的に整理して伝えることが大切です。ただし、再審査でも削除されないことは十分ありえるため、その場合の返信方針も決めておくと安心です。
報告した後も、返信は先延ばしにしない
削除の審査は、結果が出るまで時間がかかることがあります。審査中だからといって返信を放置すると、その間にも口コミは新規のお客様の目に触れ続けます。
報告と返信は、どちらか一方ではなく並行して進めるのが基本です。
個人情報が書かれている場合は別の手順がある
口コミに従業員の実名や、他のお客様の情報などが書かれている場合は、事実の誤りとは別に、プライバシーの観点から報告を検討する必要があります。この場合は、事実関係の訂正よりも先に、掲載内容そのものの削除依頼を考えましょう。
個人情報が絡む口コミの対応は、Google口コミに実名・個人情報が書かれた時の対応手順で扱っています。
反論せず、事実を伝える返信の書き方

返信を読む相手は、投稿者だけではない
事実と違う口コミへの返信は、投稿した本人に向けて書いているつもりでも、実際には、これから来店を検討する大勢の人が読んでいます。誰が正しいかを決着させる場ではなく、「この店は誠実に対応する店か」を見られている場だと考えてください。
返信の目的は、勝つことではなく、読んだ人に安心してもらうことです。この視点に立つと、強い言葉や皮肉は自然と不要になります。
事実を伝える返信の基本の4ステップ
事実と違う口コミへの返信は、次の順番で組み立てると、感情的にならずに伝えられます。1つ目は、来店と投稿への感謝、2つ目は、不快な思いをさせたことへのお詫びや気遣い、3つ目は、店側で確認できた事実の簡潔な説明、4つ目は、詳細を確認するための連絡先の案内です。
この順番のポイントは、事実の説明よりも先に、相手の気持ちに寄り添う一言を置くことです。いきなり事実を並べると、どれほど正確でも、言い訳をしているように読まれてしまいます。
例文:日時や内容が事実と異なる場合
「このたびはご来店いただき、また貴重なご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。ご不快な思いをされたとのこと、申し訳ございません。」
「当店で確認いたしましたところ、ご記載の日時には、通常どおりの営業を行っておりました。お手数ですが、詳しい状況を確認させていただきたく、お電話にてご連絡いただけますと幸いです。」
例文:店側にも一部の落ち度が考えられる場合
「ご来店いただき、ありがとうございました。ご案内が行き届かず、お待たせしてしまったことについては、お詫び申し上げます。」
「一方で、料金につきましては、店内に掲示しております表示のとおりでございました。いただいたご意見をもとに、お客様へのご説明の仕方を見直してまいります。」
例文:来店の事実が確認できない場合
「ご投稿ありがとうございます。誠に恐れ入りますが、当店の記録では、ご記載の内容に該当するご利用が確認できておりません。」
「お店をお間違いの可能性もございますため、お手数ですが、ご利用日などをお知らせいただけましたら幸いです。」
書いてはいけない「確証のない断定」
来店の記録が見つからないからといって、「嘘の投稿です」「うちの客ではありません」と断定する書き方は避けましょう。記録の漏れや、別名での来店など、店側が把握しきれていない可能性が残るためです。
断定ではなく「当店の記録では確認できておりません」という、事実の範囲にとどめた表現を使います。確認できたことと、確認できていないことを分けて書くと、読む人にも誠実さが伝わります。
返信の長さと、具体性のバランス
返信は、長ければ丁寧というものではありません。目安として、数行から十数行の範囲で、伝えたい事実を2点程度に絞ると、読みやすく、内容も伝わります。
テンプレートをそのまま貼り付けるのではなく、口コミの内容に合わせて言葉を調整することも大切です。
返信後に、投稿者が口コミを変更することもある
返信を読んだ投稿者が、誤解に気づいて口コミを編集したり、評価を見直したりすることもあります。Googleのヘルプでも、返信後に口コミを変更できる旨が案内されています。
ただし、口コミの変更を期待して返信を書いてはいけません。あくまで、すべての読者に向けて、事実を誠実に伝えるための返信であるという姿勢を保ちましょう。
やってはいけない対応と、再発を防ぐ運用

避けたい返信のパターン
避けたいのは、投稿者を責める、嘘つき扱いする、相手の人格を否定するといった書き方です。たとえ内容が事実と違っていても、攻撃的な返信は、読んだ人に「トラブルになりやすい店」という印象を残してしまいます。
また、お客様の氏名や来店の詳細など、個人が特定できる情報を返信に書くことも避けてください。事実を説明したいあまり、プライバシーを侵害してしまう失敗は意外に多く見られます。
投稿者に直接連絡して取り下げを求めない
口コミの投稿者を特定して、直接連絡し、取り下げを求める行為は、お客様との新たなトラブルにつながりかねません。取り下げの見返りに特典や返金を申し出ることは、口コミに対する金銭的なインセンティブの提供として、Googleのポリシーで禁止されている行為に当たるおそれもあります。
規約や法律に関わる場面でもあるため、判断に迷うときは専門家にご相談ください。
自作自演の高評価で埋めようとしない
悪い口コミを目立たなくするために、従業員や知人に高評価の口コミを書かせる行為は、実体験に基づかない投稿として禁止の対象です。短期的には評価が上がっても、削除やプロフィールへの影響というリスクのほうが大きくなります。
口コミを増やすなら、来店したお客様に自然な形でお願いすることが基本です。
悪質な場合は、専門家への相談も選択肢に
明らかな誹謗中傷や、営業を妨げるほど悪質な投稿については、弁護士などの専門家に相談するという選択肢もあります。法的な手段として、投稿者の情報の開示を求める手続きなどが取られることもありますが、時間も費用もかかり、結果もケースによって異なります。
私は法律の専門家ではありませんので、法的な判断が必要な場面では、必ず弁護士へご相談ください。事前に口コミの画面保存や社内の確認記録を揃えておくと、相談がスムーズに進みます。
再発を減らす店舗側の工夫
事実と違う口コミの多くは、お客様の誤解から生まれます。料金、キャンセル規定、混雑時の待ち時間、提供できないサービスなどを、Googleビジネスプロフィールの説明や店頭で事前に伝えておくと、誤解が起きにくくなります。
口コミの誤解を防ぐ最も確実な方法は、事前に分かりやすく伝えておくことです。あわせて、口コミに返信するときの社内ルールを決めておくと、担当者が変わっても対応がぶれません。
対応の記録を残し、月に一度振り返る
どの口コミに、誰が、いつ、どのように対応したのかを、簡単な表で記録しておきましょう。後から同じ種類の口コミが来たときに、過去の対応を参考にでき、判断の時間も短くなります。
月に一度は記録を見返し、誤解が生まれやすい場面がないかを確認します。口コミへの対応を、店の案内や接客の改善につなげる循環が作れると、同じ種類の口コミが減っていきます。
よくある質問

Q1. 事実と違う口コミは、依頼すればGoogleが削除してくれますか?
必ず削除されるわけではありません。Googleのヘルプでは、削除の対象はポリシー違反の口コミとされており、事実と異なるという理由だけで削除されるとは案内されていないためです。
ポリシー違反に当たる可能性があれば報告し、そうでない場合は返信で事実を伝える、という二本立ての対応が現実的です。
Q2. 来店していない人の口コミらしい場合は、どうすればよいですか?
来店の記録が確認できない場合でも、「来店していない」と断定した返信は避けてください。返信では「当店の記録では確認できておりません」と事実の範囲を伝え、ポリシー上の問題が疑われる点があればGoogleへ報告します。
報告の際は、どの点が実体験に基づかないと考えられるのかを、客観的に整理して伝えることが大切です。
Q3. 返信した後に、投稿者が口コミを変更したらどうなりますか?
Googleのヘルプによると、投稿者は返信を読んだ後でも口コミを変更でき、変更した場合は口コミの日付が更新されます。返信の内容と口コミの内容が食い違って見えるようになったときは、必要に応じて返信を見直しましょう。
理由が書かれていない低評価の対応については、理由が書かれていない星1の口コミ|削除できる?返信すべき?も参考になります。
Q4. 返信の内容は、弁護士に確認してもらったほうがよいですか?
通常の事実確認や、お詫びを含んだ返信であれば、社内の確認で足りることがほとんどです。ただし、名誉毀損や営業妨害が疑われる悪質な投稿への返信や、損害賠償の話が絡む場合は、返信の前に専門家へ相談することをおすすめします。
法的な判断はケースごとに異なるため、個別の案件については弁護士などの専門家にご相談ください。
Q5. 口コミ対応に、どのくらい時間をかければよいですか?
一つの口コミにかける時間よりも、確認と返信までのルールを決めておくことのほうが重要です。たとえば、「確認は当日中、返信は翌営業日までに」のような基準を、社内で共有しておくと、慌てずに動けます。
店舗の規模や体制によって適した運用は変わるため、迷う場合は専門家にご相談ください。
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口コミへの対応を考える前に、自店がGoogleマップ上でどのように表示されているのかを、客観的に把握しておくことが大切です。access-meoでは、あなたのお店のGoogleマップ順位を無料でチェックできます。
現状を確認したうえで、口コミ対応を含めた店舗情報の整え方を、一緒に見直していきましょう。
