「うちの子(犬)、連れて入れますか」「ベビーカーのまま入れますか」。お店に、こういう電話がかかってくることはありませんか。
その電話をかけてきた方は、まだ良いお客様です。実際には、同じことを疑問に思いながら、電話もせずに別の店を選んでいる人のほうがはるかに多いからです。
Googleマップで店を探している人は、味やサービスを比べる前に、まず「そもそも自分は入れるのか」を確認しています。ペットを連れている、小さな子どもがいる、車椅子や杖を使っている。そうした事情がある人にとって、入店できるかどうかは好みの問題ではなく、その店を候補に残せるかどうかの前提条件です。
この記事では、その「入れるかどうか」でお客様を迷わせないために、Googleビジネスプロフィールのどこに何を書けばよいのか、属性で表せない条件はどう補えばよいのかを、具体的な手順に落として解説します。
「入れるかどうか」がわからない店は、静かに候補から外れる

迷った人は、あなたに聞かずに次の店へ行く
条件がわからないとき、多くの人は問い合わせません。スマートフォンの画面には、同じエリアの候補が他にもいくつも並んでいるからです。
わざわざ電話をして「すみません、犬は無理なんです」と言われる気まずさを避けたい、という心理も働きます。確認の手間とリスクを負うくらいなら、最初から条件が明記されている店を選ぶほうが早い、という判断です。
つまり、条件情報の不足による取りこぼしは、店側からはほとんど見えません。断った記憶も、問い合わせの記録も残らないまま、静かに候補から外れているだけだからです。
条件情報は、集客の前段にある「足切りライン」
写真を増やす、口コミを集める、投稿を続ける。こうした施策はすべて「候補に残った後」で効いてくるものです。
条件がわからずに候補から外れてしまえば、どんなに良い写真も口コミも読まれません。条件情報の整備は、集客施策の中でもいちばん手前にある土台です。
しかも、この作業はほとんどお金がかかりません。設定画面を10分ほど触り、写真を数枚足すだけで終わるものが大半です。
よく聞かれる質問は、そのまま「情報が足りない箇所」のリスト
何を書けばいいかわからない、という場合は、スタッフに「よく聞かれる質問」を挙げてもらうのがいちばん早い方法です。
電話やメールで繰り返し聞かれる内容は、裏を返せば「Googleマップやホームページを見てもわからなかった」ことの証拠です。同じ質問が月に何度も来るなら、それは掲載情報の穴だと考えてよいでしょう。
私が店舗のご相談を受けるときも、最初に伺うのはこの質問リストです。ここに挙がった項目を潰していくだけで、問い合わせ対応の手間が減り、来店前の不安も同時に解消できます。
Googleビジネスプロフィールの「属性」で入店条件を示す

属性の設定手順は5ステップ
入店条件を伝える基本の場所が、Googleビジネスプロフィールの「属性」です。テラス席の有無やWi-Fiの有無といった情報を、あらかじめ用意された項目から選んで登録できます。
手順は次のとおりです。ビジネスプロフィールを開き、[プロフィールを編集]から[その他]を選び、変更したい属性カテゴリの横にある編集アイコンを押し、各項目で[はい]か[いいえ]を選んで[保存]します。
Googleは公式ヘルプで、特定の属性を追加すると「その属性を有する場所が検索された際に、お客様のビジネスが検索結果に表示される可能性があります」と説明しています。入店条件を伝えるだけでなく、見つけてもらう入口としても機能する項目があるということです(すべての属性が対象というわけではありません)。属性そのものの全体像は、属性の設定ガイドの記事で詳しく整理しています。
「いいえ」を選ぶことにも意味がある
属性というと「あるものを増やす」設定だと思われがちですが、条件情報の観点では「ない」ことを明示するのも同じくらい大切です。
たとえばペット同伴が不可なら、曖昧なままにするより、はっきり伝わる形にしておいたほうがお互いに無駄がありません。来店してから断るほうが、お客様にとっても店にとっても負担が大きいからです。
ただし、属性によっては[いいえ]を選ぶとプロフィールに表示されなくなるものもあります。表示されない項目については、後述する説明文や写真で補う必要があります。
反映までの時間と、業種による違い
編集した属性がすぐに反映されないことがありますが、これは異常ではありません。Googleは公式ヘルプで、編集内容の審査にかかる時間は通常10分ほど、場合によっては最大30日かかるとしています。
また、一部の属性は特定の地域・国・業種でしか変更できません。飲食店では選べる項目が、士業やクリニックでは表示されない、といったことが起こります。
属性名そのものも、ユーザーの検索語句に合わせて変更されることがあるとGoogleは説明しています。半年に一度は設定画面を開き、新しく増えた項目がないかを見ておくとよいでしょう。反映されない状態が長引く場合の対処は、編集が反映されない・保留中のままの時の記事で扱っています。
ペット同伴の条件は「可・不可」だけでは伝わらない

「どこまで入れるか」を分けて書く
ペット同伴の情報でいちばん多い失敗が、「ペット可」の3文字で終わらせてしまうことです。
飼い主が知りたいのは可か不可かではなく、「どこまで入れるか」です。テラス席だけなのか、店内も大丈夫なのか。この違いで来店できるかどうかが変わります。
Googleビジネスプロフィールでも、業種や地域によっては犬の同伴に関する項目が表示され、屋外と屋内を分けて設定できることがあります。ただしペット関連の属性はGoogleの公式ヘルプに一覧が載っておらず、選択肢が出るかどうかは業種や地域によって変わります。まずは自店の設定画面を開いて、どの項目が選べるかを確認してみてください。
サイズ・カート・頭数など、店側のルールを言葉にする
実際の運用では、もっと細かい条件があるはずです。中型犬までなのか、抱っこかカートに入れていれば店内も可なのか、1組あたり何頭までか、といった内容です。
こうした条件は属性の選択肢にはありません。だからこそ、説明文や写真、自社サイトで補う価値があります。
書き方のコツは、禁止事項の羅列にしないことです。「ケージまたはカートに入れていただければ、店内のお席もご利用いただけます」のように、条件を満たせば利用できるという形にすると、歓迎されている印象が伝わります。
補助犬は「ペット」とは別に扱う
ここは必ず押さえておきたい点です。身体障害者補助犬法では、盲導犬・介助犬・聴導犬を補助犬と定め、不特定かつ多数の者が利用する施設の管理者は、原則としてその同伴を拒んではならないと定めています。
つまり、店として「ペット不可」であっても、補助犬はペットとは別のものとして考える必要があります。プロフィールや店頭の掲示を「ペット不可」だけで終わらせると、補助犬ユーザーにも入れないと受け取られてしまう可能性があります。
「ペットの同伴はご遠慮いただいておりますが、補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)はご同伴いただけます」と一文添えておくだけで、誤解を防げます。なお、同法にはやむを得ない場合の例外や、使用者側の表示・書類提示に関する定めもあります。個別の対応や法令の解釈で判断に迷う場合は、自治体の障害福祉窓口や専門家にご相談ください。
子連れ・ファミリー利用で確認されている条件

最初の関門は「ベビーカーのまま入れるか」
小さなお子さん連れの方が最初に気にするのは、料理の内容でもメニューの価格でもありません。ベビーカーを押したまま入店できるかどうかです。
入口に段差があるのか、通路を通れる幅があるのか、店内にベビーカーを置くスペースがあるのか。この3点がわからないと、来店の計画そのものが立てられません。
段差がある場合でも、それを隠す必要はありません。「入口に2段の段差がありますが、スタッフがお手伝いします」「ベビーカーは入口横でお預かりします」と書いてあれば、それだけで来店のハードルは下がります。駐車場から入口までの案内をどう整えるかは、アクセス情報の整え方の記事もあわせてご覧ください。
子ども向けの設備は「ある・ない」を書き切る
子ども用のいす、おむつ替えシート、キッズスペース、離乳食の持ち込み可否、お子様メニューの有無。このあたりは、属性で設定できるものとできないものが混在します。
属性で選べる項目は、まず埋めてください。そのうえで、選べないものは説明文や写真で補います。
ここでも「ない」ことを書くのを恐れないでください。おむつ替えシートがないなら、「店内にはございませんが、同じフロアの共用トイレにございます」と書くほうが、何も書かないよりずっと親切です。
年齢制限や利用ルールがあるなら、はっきり書く
逆に、落ち着いた空間を売りにしていて、小さなお子さんの入店をお断りしている店もあります。これも隠すべきことではありません。
条件を明示しないまま来店され、入口でお断りすることになれば、双方にとって後味の悪い体験になります。低い評価の口コミにつながることも珍しくありません。
「静かにお過ごしいただくため、小学生以上のお子様からご利用いただけます」のように理由を添えて書くと、拒絶ではなくコンセプトの説明として伝わります。条件を先に出すことは、合わないお客様を減らすと同時に、合うお客様を引き寄せる働きもします。
バリアフリー・支払い方法など、見落とされやすい入店条件

車椅子対応はGoogleが具体的な基準を示している
バリアフリー関連の属性は、Googleが公式ヘルプで判断の目安を明記している点が特徴です。感覚で選ばず、この目安に照らして設定してください。なおこれはGoogleが属性を選ぶための目安として示しているもので、日本のバリアフリー法などの法令基準とは別のものです。
たとえば「車椅子対応の入り口」は、入り口の幅が1メートル以上あり、段差や階段がない場合に[はい]を選びます。階段が1段以上ある場合は、常設または取り外し可能なスロープがあることが条件で、回転ドアしかない場合は[いいえ]とされています。
「車椅子対応のトイレ」も同様に、入り口の幅が1メートル以上で段差がないこと、車椅子で入る個室の入り口も1メートル以上あることが目安とされています。ほかに「車椅子対応の座席」「車椅子対応の駐車場」「車椅子対応のエレベーター」といった項目があり、補聴器の貸し出しやヒアリングループの有無も設定できます。
「できない」ことを書くのは、誠実さとして伝わる
古い建物で、どうしても段差が解消できない店もあります。それを書くと客が減るのではないかと心配される方は多いのですが、実際は逆に働くことのほうが多いと感じています。
条件を正直に書いている店は、書かれていない部分についても信用されます。逆に、良いことしか書いていない店は、行ってみないとわからない店として警戒されます。
「入口に3段の階段があります。事前にお電話いただければ、スタッフが対応いたします」。この一文があるだけで、諦めていた人が相談してくれる可能性が生まれます。
支払い方法や予約要否も「入れるかどうか」の一部
入店条件というと設備の話に偏りがちですが、お客様の側から見れば「現金しか使えないのか」「予約なしで入れるのか」も同じカテゴリの疑問です。
キャッシュレス決済しか受け付けていない店、逆に現金のみの店は、その旨を明記しないと入口で困らせることになります。予約制なのか、当日の飛び込みでも大丈夫なのかも同様です。
これらの多くは、属性の「お支払い」「サービス オプション」といったカテゴリで設定できます。設備の属性を見直すときに、あわせて確認しておきましょう。
属性で表せない条件は、写真・説明文・自社サイトで補う

写真は、条件情報のいちばん強い証拠になる
文章で「ベビーカーで入れます」と書くよりも、入口をベビーカーが通っている写真を1枚載せるほうが、はるかに速く確実に伝わります。
撮っておきたいのは、入口を正面から写した写真、段差やスロープがわかる写真、通路の幅がわかる店内写真、駐車場から入口までの経路の写真です。テラス席にペット連れのお客様がいる写真(許可を得たもの)も効果的です。
写真は文章と違って、読まなくても情報が届きます。条件が伝わりにくいと感じている店ほど、写真の追加が効きます。
説明文とサービス欄で、言葉として残す
Googleビジネスプロフィールの「ビジネスの説明」欄は、属性の選択肢にない条件を自分の言葉で書ける数少ない場所です。書き方のひな形は説明欄のテンプレート記事にまとめています。
冒頭に業種と特徴を書き、後半で「ペットはテラス席のみご同伴いただけます」「ベビーカーのままご入店いただけます」といった条件を並べる構成にすると、必要な人にきちんと届きます。
なお、以前は「質問と回答(Q&A)」機能に店側から想定質問を登録しておく方法がありましたが、この機能はGoogleが2025年12月に仕様変更を告知しており、新しい質問を投稿する導線はマップ側のAIによる回答へ置き換わりつつあります。関連するAPIの提供は2025年11月3日で終了しており、既存の質問へのオーナーからの回答は引き続きできるとされていますが、この機能を前提にした運用は今後見直しが必要です(詳しくはQ&A機能の変更と代替策の記事)。
いずれにしても、条件情報をQ&Aだけに置いておくのは危険です。説明文・属性・自社サイトの3か所に持たせておくのが、現実的で安全な形です。
自社サイトに「ご利用条件」のページを1枚作る
細かい条件をすべてGoogleビジネスプロフィールに収めるのは無理があります。文字数にも項目にも制限があるからです。
そこでおすすめしているのが、自社サイトに「ご利用について」「ご利用条件」といったページを1枚だけ作り、そこに条件をまとめて書いてしまう方法です。ペット、お子様連れ、バリアフリー、支払い方法、予約の要否を見出しで分けて並べるだけで構いません。
このページを作っておくと、問い合わせへの回答にURLを貼るだけで済むようになり、対応の手間も減ります。近年はAIが店舗情報を要約して回答する場面も増えているため、条件がテキストで整理されたページがあることは、そうした場面での正確さにもつながります。
条件情報でやりがちな失敗と、変わったときの更新

実際と違う条件を出すと、口コミで返ってくる
いちばん避けたいのが、掲載している条件と店の実態がずれている状態です。「ペット可」と書いてあったのに店内は不可だった、といったケースがこれにあたります。
このずれは、たいてい口コミという形で戻ってきます。しかも「書いてあったのに違った」という内容は、単なる不満よりも強い言葉で書かれやすく、他の見込み客にも読まれ続けます。
条件を広めに書いて集客しようとするのは、短期的にも長期的にも割に合いません。実態どおりに書き、条件を広げたいなら店の運用のほうを変える、という順序で考えてください。
「要相談」「お問い合わせください」で止めない
条件を書くのが難しいとき、つい「詳しくはお問い合わせください」と逃げたくなります。ただ、これは検討している人にとっては「わからない」と同じ意味です。
問い合わせという行動を挟ませた時点で、多くの人は離脱します。判断に必要な情報は、問い合わせなしで完結するところまで書き切るのが理想です。
どうしてもケースバイケースになる場合でも、「原則は◯◯です。△△の場合はご相談ください」という形にしてください。原則が書いてあれば、大半の人はその場で判断できます。
条件が変わったら、直す場所を決めておく
条件情報は一度書いて終わりではありません。設備を入れ替えた、運用ルールを変えた、季節でテラス席を閉めた、といった変化のたびに更新が必要です。
そこで、更新すべき場所をあらかじめリスト化しておくことをおすすめします。Googleビジネスプロフィールの属性、同じく説明文、自社サイトのご利用条件ページ、店頭の掲示、予約サイトやポータルの掲載情報。この5か所を並べたメモを作り、条件を変えたときに上から順に潰していきます。
多店舗を運営している場合は、店舗ごとに条件が違うことも多いため、店舗名と条件を並べた一覧表を1つ持っておくと管理が楽になります。誰が更新しても同じ内容になる状態を作っておくことが、情報のずれを防ぐいちばん確実な方法です。
よくある質問

Q1. 属性を設定しても、プロフィールに表示されません
反映には時間がかかることがあります。Googleは、編集内容の審査に通常10分ほど、場合によっては最大30日かかると説明しています。
また、属性によっては[いいえ]を選ぶとプロフィールに表示されない仕様のものもあります。一定期間を過ぎても反映されない場合は、編集が保留中のまま止まっていないかを確認してください。
Q2. ペット可にすると、苦手なお客様が離れてしまいませんか
その懸念があるからこそ、「どこまで可か」を分けて書くことをおすすめしています。テラス席のみ可、店内はカートに入れていれば可、といった線引きを示せば、ペット連れの方にも、そうでない方にも事前に判断してもらえます。
何も書かないと、どちらのお客様も不安なまま来店することになります。線引きを示すことは、どちらかを切り捨てることではありません。
Q3. 条件を書きすぎると、堅苦しい印象になりませんか
禁止事項の羅列にすると堅くなりますが、「◯◯していただければご利用いただけます」という形にすれば印象は変わります。
条件は歓迎の裏返しでもあります。誰に来てほしいかを示すメッセージとして書いてみてください。
Q4. 業種によっては、設定できる属性が少ないようです
一部の属性は、特定の地域・国・業種に限って変更できる仕様です。選べる項目が少ない業種では、説明文と写真、自社サイトの比重が相対的に大きくなります。
属性で埋まらない部分をどこで補うかを、あらかじめ決めておくとよいでしょう。
Q5. 条件を明記すると、Googleマップの順位は上がりますか
属性の設定が順位に直接どう影響するかを、Googleは公表していません。ただしGoogleは、特定の属性を追加するとその条件で検索された際に表示される可能性がある、と説明しています。
また、条件が明確な店は来店や口コミにつながりやすく、結果として評価が積み上がりやすい面もあります。順位のためというより、取りこぼしを防ぐための施策と考えるのが実態に近いでしょう。
自分の店が「いまどう見られているか」を確かめるところから
条件情報を整えても、それがGoogleマップ上でどう表示され、どのエリアの人に届いているかは、店の中からは見えません。
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