「お客様から『ネットで調べたら、お店は閉店したと出ていた』と言われた」「AIに聞くと、営業時間が違う時間で案内されていた」。そんな経験をした店舗オーナーが、増えています。
AIによる検索の回答は、便利な反面、古い情報や似た名前の別のお店の情報を混ぜて答えてしまうことがあります。しかも、間違いに気づくのはお客様が先で、店側は後から知るケースが少なくありません。
この記事では、AIの回答に間違った店舗情報が出たときに、慌てず確認する手順、原因の切り分け方、情報源の直し方、AI側への報告の方法、そして再発を防ぐ運用までを順に解説します。
執筆は、全日本SEO協会認定のSEOコンサルタントで、中小企業のWeb制作やSEO・MEO支援に携わってきた三田健司です。AIに店舗情報を正しく読んでもらうための事前の整備はAIに店舗情報を正しく読ませる整え方の記事で扱っているため、こちらは「すでに間違いが出てしまった後」の確認と是正に絞ってお伝えします。
AIが店舗情報を間違える仕組みと、実際に起きていること

AIの回答は「複数の情報の寄せ集め」から作られる
Googleのヘルプでは、AIによる概要(AI Overviews)は生成AIの技術を使い、複数の情報源から情報をまとめて提示する機能だと説明されています。同じページには、不正確な情報や不適切な情報を提供することがあるとも明記されています。
つまり、AIの回答は店の公式情報をそのまま読み上げているわけではありません。ウェブ上にある複数の情報を組み合わせて文章にしているため、どこかの情報が古かったり食い違っていたりすると、誤った結論が混ざる余地があります。
海外の調査では、店舗情報の誤りはめずらしくないと報告されている
2026年の6月下旬から7月にかけて、AI可視性サービスを手がける調査会社Searchableが行った2つの調査が、Search Engine Journalなどで紹介されました。ロンドンの165社に対して13,365問を、ChatGPT・Gemini・Perplexityに質問したところ、93%の企業で、少なくとも1つの事実が欠けているか誤っていたと報告されています。
英国のハイストリート(商店街)の小売店を対象にした別の調査(7万2,000問超)では、64%の小売店で、AIが少なくとも1つの誤った事実を返したとされています。いずれもベンダーが実施した海外の調査であり、日本の店舗にそのまま当てはまるとは限りませんが、誤りが起こりうる頻度の目安として知っておく価値はあります。
誤りが出やすい項目は「営業時間・住所・営業状況」
同じ調査で目立った誤りは、郵便番号や住所の間違い、営業時間の誤り、実際には営業しているのに閉店したと答えるケース、提供していないサービスを案内するケースなどでした。いずれも、来店するかどうかの判断に直結する情報です。
来店客にとっては、営業時間や営業中かどうかは「行く・行かない」を決める最重要の情報です。そこが誤っていると、機会損失だけでなく、無駄足を踏ませたことへの不満が口コミに現れるおそれもあります。
報じられている誤表示の事例
2026年7月には、カナダ・オンタリオ州のベーカリー兼レストランについて、GoogleのAIによる概要が「7月31日に閉店する」と誤って案内したとCBCなどが報じました。実際には、同じ店名のイリノイ州のベーカリーの情報と混同されたとされています。
また、米オハイオ州ウィロビーの書店が、GoogleのAI要約で「永久閉店」と誤表示された事例も報じられています。オーナーは修正に数週間かかったと語ったと伝えられています。Google側は、質の高い情報がウェブ上に少ないと誤りが起こりやすいという趣旨の説明をしたと伝えられており、同名の店や情報の少ない小さな店ほど、混同や誤りが起こりやすい点には注意が必要です。
まず落ち着いて確認する|誤表示の見つけ方と記録の取り方

確認するAIと、質問の仕方をそろえる
まず、お客様が使いそうな場面を想定して、主要なAIで自店について質問してみます。Googleの検索画面のAIによる概要、AIモード、ChatGPT、Geminiなど、使われやすいものを一通り試すのがよいでしょう。
質問は「店名+地域名」「店名+営業時間」「店名+閉店したか」のように、お客様が実際に入力しそうな言葉を使います。質問の仕方によって答えが変わることがあるため、何パターンか試して結果を並べておくと、誤りの傾向がつかめます。
スクリーンショットと日時を必ず残す
誤りを見つけたら、画面全体のスクリーンショットを撮り、確認した日時、使ったAI、入力した質問を記録しておきます。AIの回答は、同じ質問でも時間がたつと変わることがあるためです。
この記録は、後でAI側に報告するときや、修正の効果を確かめるときの比較材料になります。記録がないと、直ったのか、たまたま変わっただけなのかが判断できませんので、面倒でも最初に取っておくことをおすすめします。
回答が引用している情報源を確かめる
AIの回答には、参照元のリンクが示されることがあります。リンクが表示されている場合は、どのページの情報が使われているかを開いて確かめます。
参照元が自店のGoogleビジネスプロフィールなのか、自社サイトなのか、まったく別のサイトなのかが分かれば、直すべき場所がほぼ見えてきます。参照元が示されない場合でも、同じ内容が載っているページを検索して探してみてください。
「AIが間違っている」と決めつける前に、自店の情報も見直す
実は、AIが間違えたのではなく、自店の情報が古いままだったという場合が少なくありません。ビジネスプロフィールの営業時間が、数か月前のままになっていたというのは、支援の現場でもよく見かけるパターンです。
臨時休業の設定が残ったままになっていたり、移転前の住所が自社サイトに残っていたりすることもあります。AIを責める前に、まず自店の公式情報が最新かどうかを点検するのが、最短の近道です。
誤りの原因を切り分ける|情報源のどこがズレているか

ビジネスプロフィールの情報が古い・食い違っている
最初に疑うのは、Googleビジネスプロフィールの内容です。営業時間、特別営業時間、電話番号、住所、営業状況(営業中・一時休業・閉業)の5つを、現在の実態と照らして確認します。
特に、臨時休業や年末年始の設定を戻し忘れていないかは見落としやすい点です。営業時間の設定ルールは営業時間・臨時休業を正しく設定する方法の記事にまとめています。
自社サイトに古い情報が残っている
次に、自社サイトの情報を確認します。トップページだけでなく、アクセスのページ、会社概要、過去のお知らせ、フッターの表記など、店舗情報が書かれた場所をすべて洗い出します。
移転や営業時間の変更をお知らせとして載せたまま、ほかのページを直していないと、AIが古い方を拾うことがあります。ページごとに記載がバラバラな状態は、AIにとっても人にとっても混乱のもとです。
外部サイト・ポータルの掲載情報が古い
飲食店の予約サイトやグルメ系のポータル、地域のポータルサイト、SNSのプロフィール、地図アプリなど、外部にある掲載情報も参照元になります。過去に登録して放置しているサイトが、古い情報を出し続けている例は珍しくありません。
店名・住所・電話番号の表記の揺れは、NAP統一の記事で解説している考え方で確認できます。掲載先を一覧にして、どこが古いかを順に洗い出していきましょう。
同名・類似名の別のお店と混同されている
先ほどの事例のように、同じ店名や似た名前の別のお店の情報が混ざることもあります。この場合は、自店の情報だけを直しても、混同が続くことがあります。
自店のページに、地域名や業種、住所をはっきり書いておくこと、プロフィールの説明文や自社サイトの冒頭で、店名と所在地をセットで示しておくことが対策になります。名前だけでなく「どこの、何のお店か」を一緒に示すことが、混同を減らす基本です。
古い口コミや投稿の内容が影響している場合
口コミや投稿の中に「閉店した」「営業時間が変わった」といった古い内容が残っていると、AIが要約の材料として拾うことがあります。口コミは店側が内容を書き換えられないため、返信や最新情報の発信で補う形になります。
返信で「現在は通常どおり営業しています」と事実を伝えておくことは、人が読む場合にもAIが参照する場合にも役立ちます。ただし、返信の中で営業時間などの詳細を長々と書きすぎる必要はありません。
情報源を正しく直す|ビジネスプロフィール・自社サイト・外部掲載の順番

最初に、ビジネスプロフィールを最新にする
AIの回答は、ウェブ上の複数の情報を材料にしています。その中でも、店側が直接管理できるビジネスプロフィールは、最初に整えるべき「基準となる情報」です。
営業時間、特別営業時間、電話番号、住所、営業状況を最新に修正します。修正がなかなか反映されないときは、編集が反映されない原因と対処法の記事の手順で確認してください。
次に、自社サイトの全ページの表記をそろえる
ビジネスプロフィールを直したら、自社サイトの店舗情報も同じ内容に統一します。ページごとに表記が違うと、どれが正しいのかがAIにも分からなくなります。
営業時間は「10:00〜19:00」のように表記の形式もそろえ、定休日の書き方も統一しておきましょう。お知らせの古い記事は、削除するか「この情報は〇年〇月時点のものです」と明記して、混乱を防ぎます。
外部の掲載先は、影響の大きい順に直す
外部サイトは数が多いため、すべてを一度に直そうとすると途方に暮れてしまいます。お客様がよく見る地図アプリ、予約サイト、地域のポータル、SNSの順に、影響の大きいものから優先的に修正していきましょう。
Googleマップ以外の地図サービスへの登録は、Apple・Yahoo!プレイスの登録の記事が参考になります。修正が済んだ掲載先は、一覧表に「修正日」を記録しておくと、後の点検が楽になります。
臨時休業・移転・営業時間変更の直後は、特に慎重に
臨時休業や移転、営業時間の変更といったイベントの前後は、誤情報が出やすいタイミングです。変更のたびに、ビジネスプロフィール、自社サイト、外部掲載を、一括で更新する習慣をつけましょう。
臨時休業の際の情報発信の手順は台風・大雪で急に臨時休業する時の発信手順の記事に詳しくまとめています。変更の「当日」に、すべての場所を同じ内容に更新することを、店内の決まりにしておくと安心です。
構造化データなど、機械が読みやすい形で示す
自社サイトを運営している場合は、店舗情報を機械が読み取りやすい形で示すことも有効です。Googleの検索セントラルでは、AIによる概要やAIモードに表示されるための特別な追加要件はなく、基本的な検索のベストプラクティスが前提だと説明されています。
そのため、構造化データを入れたからといって、AIの回答が必ず正しくなるわけではありません。ただし、情報が整理されているサイトは、誤読されにくくなる土台になります。設定の考え方はLocalBusiness構造化データの記事を参考にしてください。
AI側へのフィードバック|報告の方法と、期待してよい範囲

Googleの「AIによる概要」は、評価アイコンから報告できる
Googleのヘルプによると、AIによる概要の下部には評価のアイコンがあり、低評価のアイコンを選ぶと、問題の内容に最も近いカテゴリを選んで報告できます。不正確な内容があった場合は、このアイコンから具体的な内容を添えて送るのが基本です。
報告のときは、どの情報が、どう違うのかを具体的に書きます。「営業時間が〇時〜〇時と表示されているが、正しくは〇時〜〇時です」のように、正しい内容まで添えると、確認する側にも伝わりやすくなります。
ChatGPTやGeminiなど、ほかのAIにも報告の仕組みがある
ChatGPTやGeminiなどのAIサービスにも、回答に対する評価や不具合の報告の機能が用意されています。画面上の評価ボタンや、ヘルプにある報告の窓口から、誤りの内容を伝えることができます。
画面の名称や場所はサービスごと、またバージョンごとに変わるため、各サービスの最新のヘルプで確認してください。お客様の利用が多そうなAIから優先して、報告を行うのが現実的です。
報告しても、すぐ直るとは限らない
ここが大切な点ですが、報告をすれば必ず直る、あるいはすぐに直る、という保証はありません。実際、米国の書店の事例では、修正までに数週間かかったと報じられています。
AIの回答は、元になる情報が更新されて初めて変わる性質があります。報告は補助的な手段、本命は元の情報を正すことと考えて、並行して進めてください。
反映の確認は、記録と同じ質問で定期的に行う
修正と報告をしたら、最初に記録したのと同じ質問を、同じAIに投げて、答えが変わったかを確認します。確認の間隔は、数日おきから週に1回程度で十分です。
変化が出るまでの期間は、AIの種類や元の情報の状況によって異なり、一概には言えません。記録を日付つきで残しておけば、改善の様子も、変わらない場合の次の手も判断しやすくなります。
営業に実害が出ている場合や、法的な問題が疑われる場合
誤った閉店表示によって、実際に来店が大きく減っているなど、営業への影響が深刻な場合は、各サービスの正式な問い合わせ窓口の利用も検討しましょう。また、名誉やプライバシーの侵害にあたる内容が含まれる場合などは、法的な判断が必要になります。
こうした場面では、自己判断で進めずに、弁護士などの専門家にご相談ください。一方で、営業時間や住所の単純な誤りであれば、まず元の情報を直す対応で十分なことがほとんどです。
誤情報を再発させない運用|月次の点検ルーティン

月に1回、「AIに聞いてみる日」をつくる
再発を防ぐ一番簡単な方法は、月に1回、自店について主要なAIに質問してみる日を決めることです。質問の文面は、初回に記録したものと同じにすると、変化が比べやすくなります。
あわせて、ビジネスプロフィールの営業時間や営業状況も月初に確認しましょう。情報の追い方については、GBPの仕様変更を見逃さない公式情報の追い方の記事も参考になります。
店舗情報を「1か所の正」から展開する
営業時間や住所などの基本情報は、どれか1か所を「正」と決めて、そこを直したら、ほかの場所へ展開する流れにします。たとえば、社内の共有シートを基準にして、ビジネスプロフィール、自社サイト、外部掲載を順に更新する、という形です。
複数の場所を別々に直していると、更新漏れが起きやすくなります。基準を1つに決めておけば、担当者が変わっても、何を直すべきかが分かります。
担当者と更新の記録を残す
誰が、いつ、何を更新したのかを記録しておくと、誤りが見つかったときに原因をたどりやすくなります。担当者が不在でも、他のスタッフが引き継げる状態にしておくことが大切です。
複数人で編集する場合の事故を防ぐ運用ルールは、別の記事でも扱っています。権限を持つ人を限定し、更新のたびに共有する習慣をつけるだけでも、食い違いは大きく減ります。
多店舗や同名の店がある場合の注意
多店舗展開している場合は、店舗ごとに情報が違うため、誤りの数も増えやすくなります。店舗ごとの住所と営業時間を一覧にして、定期的に点検できる仕組みが必要です。
同名のお店が近くや遠くにある場合は、店名の後ろに地域名を添えた表記の統一や、自社サイトの店舗ページの整備が有効です。名前だけでは区別がつかないことを前提に、場所を示す情報を厚めにしておきましょう。
お客様やスタッフにも「公式情報はここ」と伝える
店内の掲示や名刺、SNSのプロフィールなどで「最新の営業情報はこちら」と、公式の案内先を示しておくと、AIの回答を見たお客様が確認できる逃げ道になります。誤表示があっても、公式の案内先に誘導できれば、被害を小さくできます。
スタッフにも、お客様から「ネットでは〇〇と出ていた」と言われたときの対応を共有しておきましょう。指摘をもらったら、感謝して記録し、元の情報を確認するという流れを、店内の決まりにしておくと安心です。
よくある質問

Q1. AIの回答に間違いが出たら、まず何をすればいいですか?
最初にやることは、スクリーンショットと日時の記録、そして自店のビジネスプロフィールと自社サイトの情報が最新かどうかの確認です。AIが原因とは限らず、自店の情報が古いだけのこともあります。
そのうえで、元の情報を直し、Googleの評価アイコンなどから報告を行います。直るまでには時間がかかることがあるため、並行して点検を続けてください。
Q2. AIに報告すれば、必ず修正してもらえますか?
必ず修正される、または早く修正されるという保証はありません。報じられている事例でも、報告を重ねても修正に時間がかかったケースが紹介されています。
報告は補助的な手段と捉えて、元になる情報の訂正を優先しましょう。
Q3. ホームページを持っていない店でも対策できますか?
できます。ホームページがない場合でも、ビジネスプロフィールを最新に保ち、予約サイトやSNSなど外部の掲載情報をそろえるだけで、誤りが出る可能性を下げられます。
店名・住所・電話番号・営業時間の4つを、どこでも同じ表記にそろえることから始めてください。
Q4. 閉店していないのに「閉店した」と表示された時は、どう対応すべきですか?
ビジネスプロフィールの営業状況が「閉業」や「一時休業」になっていないかを、まず確認します。問題がなければ、AIへの報告と、自社サイトや外部掲載の情報の整備を進めます。
営業状況の設定は一時休業・閉業設定と再開手順の記事で確認できます。損失が大きい場合は、専門家へのご相談も検討してください。
Q5. 月にどのくらいの頻度で確認すれば十分ですか?
目安は月に1回です。臨時休業、移転、営業時間の変更があったときは、その直後にも確認を行います。
店の規模や、誤りが出たときの影響の大きさによっては、より短い間隔での確認が必要です。状況に合わせた運用の設計は、専門家にご相談ください。
まずは無料で、自店のGoogleマップでの見え方を確認しませんか
AIの回答を整える前に、まず自店がGoogleマップ上でどのように見えているのかを把握しておくことが大切です。access-meoでは、あなたのお店のGoogleマップ順位を無料でチェックできます。
現状を客観的に確認したうえで、店舗情報の整備や口コミの運用を一緒に整えていきましょう。
