「ホームページにFAQ構造化データを入れたほうがいいと聞いたけれど、本当に必要なのだろうか」「AI検索に店の情報を正しく伝えるために、何かコードを足すべきなのか」。店舗オーナーや、自店のサイトを自分で管理している方から、こうした相談をいただくことが増えました。
最初にお伝えしたいのは、状況が大きく変わっているということです。Google公式の更新情報によると、FAQのリッチリザルト(検索結果に質問と回答が開閉式で出る表示)は、2026年5月7日以降、Google検索に表示されなくなりました。
この記事では、何が終わり、何が終わっていないのかを整理したうえで、店舗サイトが今やるべきことを、見える形のFAQ、AI検索への備え、基本情報のマークアップの順に解説します。専門用語はできるだけかみ砕いてご説明します。
執筆は、全日本SEO協会認定のSEOコンサルタントで、中小企業のWeb制作やSEO・MEO支援に携わってきた三田健司です。店舗サイトの基本情報の整え方はAIに店舗情報を正しく読ませる整え方の記事でも扱っていますので、あわせてお読みください。
2026年5月に何が変わったのか|FAQのリッチリザルト終了

FAQ構造化データとは何だったのか
FAQ構造化データ(FAQPage)とは、ページの中にある「よくある質問と回答」を、検索エンジンが読み取りやすい形式で記述するマークアップです。ページのコードにJSON-LDという書き方で埋め込むのが一般的でした。
以前のGoogle検索では、この記述が条件を満たすと、質問と回答が検索結果の下に開閉式で表示されることがありました。検索結果での面積が広がって目立つため、多くのサイトが導入した経緯があります。
2023年の制限と、2026年5月の終了
Googleは2023年に、FAQのリッチリザルトの表示対象を、政府機関や健康分野の権威あるサイトなどに絞りました。そのため、一般の店舗サイトでは、すでにこの表示が出にくい状況が続いていました。
そして、Google公式の更新情報によると、FAQのリッチリザルトは2026年5月7日以降、Google検索に表示されなくなっています。2026年6月15日には、公式ドキュメントのFAQ機能のページも削除されました。Search Consoleのレポートなどの対応も、2026年6月にかけて終了していくと報じられています。
マークアップを消さないといけないわけではない
報道によると、Googleは、すでにページへ入れてあるFAQのマークアップについて、削除してもよいが、残しておくこともできると説明しています。残しておくことで評価が下がるといった説明は、確認できた範囲では見当たりません。
ただし、残しても、Google検索での見え方が変わる効果は期待できません。入れても見た目は変わらず、消しても害はないという位置づけになったと理解しておくと、この先の判断が楽になります。
この記事の結論を先にお伝えします
結論から言うと、店舗サイトでFAQ構造化データの作り込みに時間をかける優先度は、高くありません。それよりも、お客様が実際に目にするページ上のFAQを、正確で分かりやすく整えるほうが、はるかに価値があります。
また、AI検索に載るために特別なマークアップは必要ないとGoogleが明言しています。詳しくは後半で、公式の記載を引用しながら整理します。
今あるFAQマークアップは残す?消す?店舗サイトの判断基準

まず「自社サイトに入っているか」を確認する
FAQ構造化データは、WordPressのプラグインやテーマの機能、制作会社の設計などによって、知らないうちに入っていることがあります。まずは、自社サイトのFAQページに実際に入っているかを調べてみましょう。
パソコンのブラウザでFAQページを開き、右クリックから「ページのソースを表示」を選びます。表示された画面で検索機能を使い、「FAQPage」という文字が見つかれば、マークアップが入っています。
残してよいケース
ページ上に実在するFAQがあり、そのままの内容がマークアップにも書かれている場合は、無理に消す必要はありません。答えの内容が最新で、定期的に見直されているなら、なおさら問題は少ないと言えます。
他の検索サービスや外部のツールが、この記述をどう扱うかは、各社の仕様次第です。それらについては確認できていないため、効果を期待して残すというより、「消す手間をかけない」という判断で十分です。
見直したほうがよいケース
ページに表示されていない質問や答えを、マークアップの中だけに入れている場合は、見直しをおすすめします。ページ上の内容とマークアップの内容がずれていると、誤解を招く原因になるからです。
検索結果の面積を広げる目的で、あまり意味のない質問を並べていた場合や、料金や営業時間が古いままになっている場合も同様です。お客様に見える内容と、裏側の記述を一致させることが、構造化データ全般に共通する基本です。
触る前に控えておきたいこと
ソースコードやプラグインの設定を変更する前には、必ずバックアップを取りましょう。制作会社に管理を任せている場合は、自分で触らず、依頼先に相談するのが安全です。
自分で編集する自信がない場合は、専門家にご相談ください。誤った編集でサイトの表示が崩れると、かえって機会損失につながります。
AI検索(AI Overviews・AIモード)に構造化データは必要か

Google公式の答えは「必須ではない」
GoogleがSearch Centralで公開している、生成AI機能に関するガイド(2026年7月10日更新)には、構造化データは生成AI検索に必須ではなく、追加すべき特別なschema.orgマークアップもないと書かれています。AI向けに新しく機械可読のファイルやテキストファイル、Markdownなどを用意する必要もないとされています。
つまり、「FAQ構造化データを入れればAI検索で有利になる」という説明は、公式の見解とは合いません。AI検索のために特別なコードを足す必要はないと理解して問題ありません。
AIの回答に載るための条件は、通常の検索と同じ
同じガイドや「AI機能とウェブサイト」のページによると、AI Overviewsなどで参照元のリンクとして表示されるには、ページがインデックスされ、スニペット付きで検索に表示される資格があることが前提だとされています。つまり、通常のGoogle検索のルールがそのまま土台になっています。
具体的な推奨事項としては、クロールを許可すること、内部リンクを整えること、ページの使いやすさを高めること、重要な内容をテキストで載せること、必要に応じて画像や動画を添えることなどが挙げられています。
店舗サイトに置き換えると、何を整えればよいか
店舗サイトで言えば、営業時間、住所、電話番号、メニューや料金、予約方法、駐車場の有無といった基本情報を、画像ではなく文字でページに載せることが出発点です。これらが古いままだと、AIの回答にも古い情報が出てしまうおそれがあります。
整え方の詳細は、AIに店舗情報を正しく読ませる整え方と、AI検索・音声検索時代のローカル集客対策で解説しています。まずは情報の正確さから見直してみましょう。
AI機能からのアクセスは、どこで確認できるか
公式の案内では、AI機能を経由したアクセスは、Search Consoleのパフォーマンスレポートの「ウェブ」の検索タイプに含まれて集計されるとされています。AI経由だけを切り分けて見る機能について、確認できた範囲では案内がありません。
そのため、AI検索の効果を細かく測ろうとするより、サイト全体のクリックや表示回数、問い合わせ数の推移を、月に1度確認する運用のほうが現実的です。
店舗サイトでお客様に見せるFAQの作り方

質問は「実際に聞かれたこと」から集める
FAQの質問は、想像で作るのではなく、電話、メール、SNSのメッセージ、来店時の会話など、お客様から実際に聞かれたことを書き出して集めます。スタッフに「よく聞かれることは何か」を聞いてみると、意外な質問が出てくるものです。
質問を集める作業は、来店前のお客様の不安を洗い出す作業でもあります。不安を先回りして解消することが、問い合わせの減少と来店のしやすさにつながります。
答えは、最初の1〜2文で結論を言う
答えは、最初の1〜2文で結論を伝え、補足はその後に続けます。「予約は必要ですか?」という質問なら、「はい、土日は予約をおすすめしています」のように、まず答えを出しましょう。
結論が先にあると、お客様が短時間で内容を理解でき、AIが要点を拾いやすくなる効果も見込めます。1つの質問には1つの答えを意識して、質問の意図からずれた長い説明は避けてください。
どんな質問を載せるとよいか
業種を問わず載せやすい質問には、予約の要否、駐車場の有無、支払い方法、キャンセルの規定、子ども連れやペットの可否、所要時間、初めてでも利用できるか、といったものがあります。飲食店ならアレルギー対応、美容室なら施術時間や料金の目安など、業種ごとに必要な質問を足していきます。
ペットや子ども連れの可否のように、お客様が迷いやすい条件ほど、FAQに明記しておく価値が高くなります。「入れるかどうか」で迷わせないことが、来店のしやすさにつながります。
配置は「FAQページ」と「関連ページ」の両方に
FAQ専用のページを1つ用意しつつ、料金ページや予約ページなど、関連するページにも該当する質問と答えを載せておくと、迷わず情報にたどり着けます。お客様は、FAQページをわざわざ探すとは限らないためです。
FAQページへは、トップページやメニューからのリンクを必ず設置しましょう。どのページからでも、2回のクリックまでにたどり着ける構成が理想です。
古くならないための運用
FAQは作って終わりにすると、料金や営業時間が変わった時に、答えが古くなってしまいます。月に1度は見直す日を決め、変更があればすぐ更新する習慣をつけましょう。
Googleビジネスプロフィールの更新と同じタイミングで見直すと、漏れが減ります。週に1時間の運用の流れは、週1時間で続くMEO運用ルーティンを参考にしてください。
それでも構造化データを使うなら|店舗サイトで意味のあるマークアップ

FAQよりも「お店の基本情報」のマークアップ
構造化データを使うなら、FAQよりも、店名、住所、電話番号、営業時間といった「お店の基本情報」を記述するLocalBusinessなどのほうが、店舗サイトとの相性は良好です。検索エンジンがお店の情報を機械的に読み取りやすくなるためです。
ただし、記述したからといって、検索結果の見え方や順位が変わることを約束するものではありません。設定の手順や考え方は、LocalBusiness構造化データの設定手順で詳しく解説しています。
入れる時の原則は「見えている情報と一致させる」
構造化データに書く内容は、ページ上に実際に表示されている内容と一致させるのが原則です。ページに載っていない営業時間や、現在は取り扱いのない商品を、マークアップの中だけに記述してはいけません。
店名、住所、電話番号の表記は、サイト、Googleビジネスプロフィール、各種の掲載先で揃えておきましょう。全角・半角やビル名の有無といった小さな違いも、一度見直しておくと安心です。
実装の方法と、書き方の確認
WordPressであれば、テーマやSEO系のプラグインに、店舗情報の構造化データを出力する機能が備わっていることがあります。まずは、今使っている環境にその機能があるかを確認してください。
書いた内容に誤りがないかは、Schema.orgが提供するSchema Markup Validatorなどの検証ツールで確認できます。なお、検索結果で見え方が変わる機能の対応状況はツールによって異なり、FAQのように対象外になる項目もあるため、結果の見方は専門家に確認すると安心です。
やりすぎないための優先順位
構造化データは、サイトの基本情報が正確で、ページ内容が整っていることが前提です。情報が古いままのサイトに記述だけを足しても、成果にはつながりません。
先に整えるのは、ページに見える情報の正確さです。そのうえで、余力があれば基本情報のマークアップを足す、という順番で進めましょう。
Googleビジネスプロフィール側の「質問と回答」廃止との関係

Googleマップの「質問と回答」は廃止されている
Googleマップ上のビジネスプロフィールにあった「質問と回答」の機能は、従来の形ではすでに終了しています。経緯と今後の対策は、質問と回答の廃止と今後の対策の記事で整理していますので、あわせてご確認ください。
この廃止により、よくある質問への答えを、Googleマップ上で店側がコントロールする手段は減りました。だからこそ、自社サイトのFAQの役割が大きくなっています。
サイトのFAQとプロフィールの情報を連動させる
サイトのFAQで答えている内容は、Googleビジネスプロフィールの説明、属性、予約リンクなどにも、できる範囲で反映しておきましょう。たとえば、「駐車場あり」「予約可」「ペット可」といった項目は、属性として設定できる場合があります。
属性は設定漏れが起きやすい項目なので、定期的に見直しましょう。サイトとプロフィールで言っていることが食い違わないよう、同じタイミングで更新してください。
よく聞かれる質問は、最新情報の投稿でも伝えられる
Googleビジネスプロフィールの投稿機能を使えば、季節ごとの変更点や、よく聞かれる質問への答えを、短い文章で発信できます。投稿は、サイトを訪れる前の段階でお客様に届く接点になります。
投稿は、写真と短い文章で手軽に始められます。FAQの内容を小分けにして、投稿のネタとして使い回すのも一つの方法です。
よくある質問

Q1. FAQ構造化データは、今から新しく入れるべきですか?
Google検索のFAQリッチリザルトは終了しているため、新しく入れても検索結果の見え方は変わりません。作業の手間を考えると、店舗サイトでは優先度を低くして問題ありません。
その時間を、ページ上のFAQの内容を正確にすることや、営業時間・料金の更新に充てるほうが、お客様にとっての価値は高くなります。
Q2. すでに入れているFAQ構造化データは、消す必要がありますか?
報道によると、Googleは、すでに入れてあるマークアップを削除してもよいし、残しておくこともできると説明しています。内容がページ上のFAQと一致していて、最新に保たれているなら、そのままで構いません。
ページに表示されていない内容が書かれている場合や、古い情報が残っている場合は、見直しをおすすめします。自分での編集が不安な場合は、制作会社や専門家にご相談ください。
Q3. AI検索に載るために必要なマークアップはありますか?
Googleの公式ガイドでは、生成AI検索のために追加すべき特別なschema.orgマークアップはなく、構造化データは必須ではないと説明されています。AI向けの専用ファイルを用意する必要もないとされています。
重要なのは、ページがインデックスされていること、内容が正確で役立つこと、重要な情報が文字で載っていることです。基本に立ち返って整えることが、結果的にAI検索への備えにもなります。
Q4. 確認ツールでFAQが「対象外」や「未対応」と出ましたが、問題ですか?
FAQのリッチリザルトが終了したため、Googleの確認ツールでFAQが対応項目として扱われなくなる場合があります。これはサイトの不具合というより、ツール側の対応状況が変わったためと考えられます。
ツールの表示だけで判断せず、ページのソースを直接確認したり、専門家に見てもらったりすると確実です。
Q5. サイトのFAQは、何問くらい載せればよいですか?
決まった数はありません。実際にお客様から聞かれることを集め、答えられる内容を、正確に載せるのが基本です。
無理に数を増やすと、内容が薄くなり、更新も大変になります。まずは5〜10問程度から始め、問い合わせが多い質問を足していくのが続けやすい進め方です。
まずは無料で、自店のGoogleマップでの見え方を確認しませんか
サイトのFAQを整える前に、まず自店がGoogleマップ上でどのように見えているのかを把握しておくことが大切です。access-meoでは、あなたのお店のGoogleマップ順位を無料でチェックできます。
現状を客観的に確認したうえで、サイトの情報とGoogleビジネスプロフィールを、一緒に整えていきましょう。
