MEO対策というと、口コミ集めや写真の投稿を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、その前に必ず整えておきたい「土台」があります。
それが、店名(Name)・住所(Address)・電話番号(Phone)の頭文字を取った「NAP」の統一です。一見地味な作業ですが、Googleにお店を正しく認識してもらい、ローカル検索での評価を積み上げていくための出発点になります。
この記事では、NAPとは何か、表記がバラバラだと何が起きるのか、そして今日から進められる統一の手順を、MEOが初めての方にも分かるように順を追って解説します。なお、本記事は全日本SEO協会認定SEOコンサルタントの三田健司(Web制作・SEO/MEO支援に10年以上従事)が、現場での支援経験とGoogle公式ドキュメントをもとに執筆しています。
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NAPとは?MEO・ローカル集客の土台になる基本情報

NAPは「店名・住所・電話番号」の頭文字
NAP(ナップ)とは、Name(店名・ビジネス名)、Address(住所)、Phone(電話番号)の頭文字を取った言葉です。お店の基本情報そのものを指す、ローカルSEO・MEOの世界でよく使われる用語です。
この3つの情報は、Googleビジネスプロフィールだけでなく、自社ホームページ、食べログやホットペッパーなどのポータルサイト、SNSのプロフィール、地域の商工会サイトなど、ウェブ上のあらゆる場所に掲載されています。これらすべての場所で表記を揃えることを「NAPの統一(NAPの一貫性)」と呼びます。
「どこに載っている情報も同じお店だと一目で分かる状態」を作ること、と言い換えてもよいでしょう。まずはこの定義だけ押さえてください。
GoogleはウェブのあちこちからNAPを集めて「同じ店」を判断している
Googleは、ビジネスプロフィールに登録された情報だけでなく、ウェブ全体からお店に関する情報を収集しています。公式ヘルプでも、ウェブサイトやウェブ上の書き込み・評判からカテゴリなどの情報を検出していると説明されています。
そしてGoogle公式ヘルプによると、ローカル検索結果の表示順位は主に「関連性」「距離」「知名度」の組み合わせで決まります。このうち知名度は、ビジネスがどれだけ広く知られているかを示す要素で、ビジネスにリンクしているウェブサイトの数やレビューの数などの情報に基づいて決定されるとされています。
ここで重要なのが、ウェブ上の言及がきちんと「自分のお店のこと」としてGoogleに認識されるかどうかです。NAPが揃っていれば、別々のサイトに載った情報が同じお店の評判として結び付けられやすくなります。逆に表記がバラバラだと、せっかくの言及が別のお店の情報のように扱われてしまう可能性があるのです。
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Google公式ガイドラインも「一貫した名称」を求めている
NAPの統一は、単なるテクニックではなくGoogleのルールでもあります。Googleビジネスプロフィールのガイドラインでは、「実際のビジネスで一貫して使用し、認知されている(看板やビジネスレターなどで使用している)ブランド名を使用します」と明記されています。
また、検索で有利になることを狙って、ビジネス名に地域名やサービス名などの余計なキーワードを追加することは禁止されています。ガイドラインには、ビジネス名に不要な情報を含めるとビジネスプロフィールが停止される場合があると記載されているため、「〇〇市の美容室△△」のような登録は避けましょう。
電話番号についても、可能であれば総合受付センターではなく個々の拠点に直接つながる番号を使うことが推奨されています。看板・名刺・ホームページ・各種サイトで使っている正式な情報を、そのまま一貫して使うことが基本です。
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NAPがバラバラだと何が起きる?3つのデメリット

①Googleが「同じ店」と認識できず、評価が分散する
たとえば、Googleビジネスプロフィールには「カフェ・タナカ 駅前店」、自社サイトには「Cafe Tanaka」、ポータルサイトには「カフェタナカ」と登録されていたとします。人間が見れば同じお店だと分かりますが、機械的に処理するシステムにとっては判断が難しくなる場合があります。
その結果、本来なら1つのお店に集約されるはずのウェブ上の情報が、別々の存在としてバラバラに扱われるリスクが生まれます。積み上げてきた評価が分散してしまうのは、MEOにおいて大きな損失です。
②知名度(サイテーション)の評価を取りこぼす
ウェブ上でお店の名前や住所が言及されることを、ローカルSEOの世界では「サイテーション(citation:言及)」と呼びます。地域のグルメブログで紹介されたり、商店街のサイトに掲載されたりするのは、すべてサイテーションの一種です。
前述のとおり、Googleはローカル検索の「知名度」を、ウェブ上の情報も踏まえて評価するとしています。NAPが統一されていれば、こうした言及が自分のお店の知名度として積み上がりやすくなりますが、表記が揃っていないと、その紐付けの確実性が下がってしまうと考えられています。
言い換えると、NAPの不統一は「せっかく紹介してもらったのに、ポイントカードを別々に作ってしまっている」ような状態です。もったいない取りこぼしを防ぐためにも、表記の統一が大切になります。
③お客様が混乱し、来店・問い合わせの機会を失う
NAPの不統一は、Googleからの見え方だけの問題ではありません。もっと直接的に、お客様の行動に影響します。
たとえば、古いポータルサイトに移転前の住所が残っていれば、お客様は昔の場所に向かってしまうかもしれません。すでに使っていない電話番号が掲載されたままなら、予約の電話がつながらず、そのまま他のお店に流れてしまうこともあり得ます。
また、サイトごとに店名や住所が微妙に違うと、「この情報は本当に正しいのだろうか」という小さな不信感につながります。情報が揃っていること自体が、お客様への安心感の提供になるのです。
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NAP表記ゆれのよくあるパターンとセルフチェック

店名(Name)のよくある表記ゆれ
店名のゆれは、NAPの中でもっとも起こりやすいパターンです。ご自身のお店に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
| ゆれのパターン | 例 |
|---|---|
| カタカナ/英語表記の混在 | 「カフェ・タナカ」と「Cafe Tanaka」 |
| 中黒・スペースの有無 | 「カフェ・タナカ」と「カフェタナカ」 |
| 法人格の有無・略記 | 「株式会社タナカ」「(株)タナカ」「タナカ」 |
| 店舗名・支店名の有無 | 「タナカ薬局」と「タナカ薬局 駅前店」 |
| 旧店名のまま残っている | リニューアル前の店名が古い媒体に残存 |
複数店舗を運営している場合は、「屋号+支店名」の書き方をすべての店舗・媒体で揃えることも重要です。ある媒体では「駅前店」、別の媒体では「駅前支店」となっているようなケースは意外と多く見られます。
住所(Address)のよくある表記ゆれ
住所は、日本語特有の書き方の幅が大きいため、ゆれが生まれやすい項目です。代表的なパターンを挙げます。
| ゆれのパターン | 例 |
|---|---|
| 丁目・番地の書き方 | 「1丁目2番3号」と「1-2-3」 |
| ビル名・階数の有無 | 「〇〇ビル2F」まで書くか書かないか |
| 全角・半角の混在 | 「1−2−3」と「1-2-3」 |
| 移転前の旧住所 | 移転後も古い住所が各サイトに残存 |
細かな表記の違いについては、Googleもある程度は同じ住所として処理できると考えられます。ただし確実にそうなる保証はないため、自分で管理できる媒体は「1つの正式表記」に揃えておくのが安全です。
電話番号(Phone)のよくある表記ゆれ
電話番号のゆれで特に注意したいのは、ハイフンの有無のような見た目の違いよりも、「そもそも違う番号が載っている」ケースです。
- 固定電話と携帯電話が媒体によって混在している
- 予約サービス経由の転送用番号が掲載されている
- 解約済みの古い番号が残っている
- 本部の代表番号と店舗直通番号が混在している
Googleのガイドラインでは、個々のビジネス拠点に直接つながる電話番号を指定することが求められています。お店に直接つながる1つの番号を「正」として、各媒体を揃えていきましょう。
5分でできるセルフチェックの方法
まずは現状把握から始めましょう。Googleで「店名」「店名+地域名」「電話番号」「住所」をそれぞれ検索してみてください。
検索結果に出てきた自分のお店の掲載ページを上から順に開き、店名・住所・電話番号がどう書かれているかをメモしていきます。この時点で、「思っていた以上にいろいろなサイトに載っていて、表記もバラバラだった」と気づく方が少なくありません。
チェックした結果は、スプレッドシートなどに「媒体名/掲載URL/店名表記/住所表記/電話番号/修正要否」の形で一覧化しておくと、この後の修正作業がスムーズになります。
NAP統一の進め方5ステップ

ステップ1:正式なNAP表記を1つ決めて文書化する
最初にやるべきことは、修正作業ではなく「基準づくり」です。店名・住所・電話番号それぞれについて、今後すべての媒体で使う正式表記を1つ決めます。
店名は、看板や名刺・レシートなどで実際に使っている名称に合わせるのが原則です。Googleのガイドラインでも、実際のビジネスで一貫して使用し顧客に認知されている名称を使うこととされています。
決めた表記は、メモ帳でも社内マニュアルでも構わないので必ず文書化しましょう。「コピペで使える正式NAP」を1か所に置いておくことが、将来のゆれを防ぐ一番の対策になります。
ステップ2:掲載されている媒体をすべて棚卸しする
次に、先ほどのセルフチェックで見つけた媒体も含めて、お店の情報が載っている場所を一覧化します。代表的な媒体は次のとおりです。
- Googleビジネスプロフィール
- 自社ホームページ(会社概要・アクセス・フッターなど)
- SNS(Instagram・X・Facebook・LINE公式アカウントなど)
- 業種別ポータル(食べログ、ホットペッパー、EPARKなど)
- 地図・情報サービス(Yahoo!プレイス、Apple マップ、エキテンなど)
- 商工会議所・自治体・商店街などの地域サイト
自社で編集できる媒体と、運営会社への依頼が必要な媒体に分けておくと、後の作業配分がしやすくなります。無料登録した記憶のないポータルに情報が載っていることもあるため、この棚卸しは丁寧に行いましょう。
ステップ3:Googleビジネスプロフィールと自社サイトを最優先で揃える
修正は、影響の大きいところから着手します。最優先はGoogleビジネスプロフィールと自社ホームページの2つです。
Googleビジネスプロフィールは、ローカル検索でお客様が最初に目にする情報です。ステップ1で決めた正式表記どおりになっているか、店名・住所・電話番号に加えて、営業時間やカテゴリもあわせて確認しておきましょう。
自社サイトでは、フッター・会社概要ページ・アクセスページ・お問い合わせページなど、NAPが登場する場所をすべて洗い出して統一します。サイト内でも表記がページごとに違っている、というのはよくある落とし穴です。
ステップ4:ポータルサイト・地図サービス・SNSを順に修正する
続いて、それ以外の媒体を修正していきます。自分で編集できるものは、棚卸しリストの上から順に正式表記へ直していきましょう。
自分で編集できない媒体(まとめサイトや古い紹介記事など)は、運営者への修正依頼を検討します。すべてを完璧に直すのは現実的ではないため、検索結果の上位に出てくる媒体やお客様がよく見る媒体から優先的に対応するのがおすすめです。
この作業は一気にやろうとすると挫折しがちです。「今週はポータル2つ」「来週はSNS」のように分割して、着実に進めていきましょう。
ステップ5:定期チェックを仕組み化する
NAP統一は、一度やって終わりではありません。新しいポータルへの掲載、メディアでの紹介、スタッフによるSNS更新など、時間の経過とともに新しいゆれが生まれていきます。
目安として、半年に1回程度は「店名」「電話番号」で検索して掲載状況を見直すことをおすすめします。移転や電話番号の変更があったときは、最優先でGoogleビジネスプロフィールと主要媒体を更新してください。
余裕があれば、自社サイトに構造化データ(LocalBusinessスキーマ)でNAPを記述しておくのも有効です。検索エンジンがお店の情報を機械的に読み取りやすくなり、情報の紐付けをさらに後押しできます。
よくある質問(FAQ)

Q1. ハイフンの有無や全角・半角まで完全に揃えるべきですか?
細かな表記の違いは、Google側である程度吸収されると考えられており、過度に神経質になる必要はありません。ただし、揃えられるものを揃えておいて損はないため、自社で管理できる媒体は正式表記に統一しておくのがおすすめです。
Q2. 移転しました。古い住所の掲載はどうすればよいですか?
まずGoogleビジネスプロフィールと自社サイトを新住所に更新し、その後、棚卸しリストに沿って各媒体を修正していきます。自分で編集できない媒体には、問い合わせフォームなどから修正を依頼しましょう。
移転後しばらくは、旧住所を見て来店するお客様もいます。Googleビジネスプロフィールの「最新情報」機能や自社サイトのお知らせで、移転の告知を続けておくと親切です。
Q3. NAPを統一したら、順位はどれくらいで上がりますか?
NAP統一は「これをやれば必ず順位が上がる」という即効薬ではなく、評価を正しく受け取るための土台整備です。効果の出方や期間はお店の状況や競合環境によって異なるため、一概には言えません。
ただし、土台が崩れたままでは他の施策の効果も受け取りにくくなります。口コミ集めや投稿などの施策と並行して、早い段階で済ませておくことをおすすめします。
Q4. 店名に地域名やサービス名を足して登録してもよいですか?
おすすめできません。Googleビジネスプロフィールのガイドラインでは、実際に使用している正式なビジネス名以外の情報(地域名・サービス内容・キャッチコピーなど)をビジネス名に含めることは禁止されています。
違反するとプロフィールが停止される場合があると明記されています。伝えたい情報は、説明文やカテゴリ、投稿など適切な項目で伝えましょう。
Q5. 媒体が多すぎて手が回りません。どこから始めるべきですか?
優先順位は、①Googleビジネスプロフィール、②自社サイト、③お客様の利用が多いポータル・SNS、の順が基本です。まずはこの3か所だけでも揃えれば、大きな効果が期待できます。
残りの媒体は、定期チェックのタイミングで少しずつ直していけば問題ありません。完璧を目指すより、重要なところから確実に進めることが大切です。
NAP統一・MEOでお困りの方へ
NAPの統一は、地味ですがMEOの効果を左右する大切な土台づくりです。「どの媒体にどう載っているのか把握しきれない」「Googleマップでの見え方を定期的にチェックしたい」という方も多いのではないでしょうか。
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