「同じビルの2階にうちの店、1階に別の飲食店が入っている。Googleビジネスプロフィールは、それぞれ別々に登録していいのだろうか」。テナントビルや複合施設で店舗を営んでいる方から、よくいただくご質問です。
住所が同じというだけで、Googleに「重複したプロフィール」と見なされてしまうのではないか。そんな不安から、登録をためらったまま何年も放置されているケースも少なくありません。
結論からお伝えすると、同じ建物・同じ住所であっても、それぞれが独立した店舗として営業しているなら、別々のビジネスプロフィールを持つことは認められています。ただし、そのためには満たしておくべき条件があります。
この記事では、Googleの公式ガイドラインをもとに、別プロフィールが認められる条件、重複と判定されやすいパターン、住所欄や地図ピンの正しい設定、そして万一停止されてしまった時の対処までを、順を追って解説します。
同じ建物に複数の店舗があるとき、プロフィールは分けられるのか

結論:それぞれが独立した店舗なら、分けて登録できる
Googleが公開している「Googleに掲載するビジネス情報のガイドライン」には、1つのビジネスにつき作成できるプロフィールは1つだけという原則が示されています。同じ店を何度も登録することは、この原則に反します。
一方で、この原則は「1つの住所につき1つ」という意味ではありません。同じ住所に複数のビジネスが存在すること自体は、まったく問題ないのです。
実際、駅前の雑居ビルには飲食店・美容室・整体院・税理士事務所が同居していることがあります。これらはそれぞれ別の事業者であり、お客様から見ても明らかに別の店です。
こうしたケースでは、それぞれが自分のビジネスプロフィールを持つことができます。むしろ持っていないと、その建物を訪れたお客様に見つけてもらえません。
分けられるのは「別の店」であって「同じ店の別サービス」ではない
よくある誤解が、「サービスごとにプロフィールを作れば、それぞれのキーワードで上位に出せるのではないか」という考え方です。たとえば美容室が「カット専門」「カラー専門」「ヘッドスパ専門」と3つのプロフィールを作るような発想です。
これは明確なガイドライン違反です。提供方法やメニューが違うだけの同じビジネスに複数のプロフィールを作ることは認められていません。
Googleが判断しているのは、あくまで「実在する別のビジネスかどうか」です。看板・スタッフ・電話番号・お客様への対応が独立しているかどうかが問われます。
短期的に露出が増えたように見えても、重複プロフィールは後から統合されたり停止されたりします。積み上げた口コミごと失うリスクがあることは、頭に入れておいてください。
判断に迷ったら「お客様から見て別の店か」で考える
専門的な線引きに悩んだときは、お客様の目線に戻るのがいちばん確実です。「そのビルを訪れたお客様が、2つを別のお店だと認識するかどうか」を考えてみてください。
別々の看板が出ていて、別々のドアから入り、支払いも別々にする。ここまで揃っていれば、まず別の店です。
逆に、同じ受付を通り、同じスタッフが対応し、同じレジで会計するなら、それは1つの店の中の別メニューにすぎません。この場合はプロフィールを分けず、1つのプロフィールの中でサービス欄や写真を充実させるほうが結果につながります。
Googleが別々のプロフィールを認めている3つのケース

①独立して営業している別事業(テナント同士)
もっとも分かりやすいのが、同じビルに入居している別会社・別事業者どうしのケースです。それぞれが自分の名前で契約し、自分の看板を掲げて営業しています。
この場合、店名・カテゴリ・電話番号・ウェブサイトがそれぞれ異なるのが自然な状態です。無理に何かを揃える必要はありません。
注意したいのは、ビル名を店名に入れてしまうことです。Googleのガイドラインでは、店名に所在情報や「〜内」といった収容情報を含めることを認めていません。
「〇〇クリニック(△△ビル3F)」ではなく「〇〇クリニック」と登録し、階数は住所欄に記載します。店名のルールについては店名にキーワードを入れてはいけない理由と正しい書き方で詳しく解説しています。
②大きな施設の中の「部門」
Googleは、企業・大学・病院・官公庁などの内部にある「部門」が、独立したプロフィールを持つことを認めています。公式ガイドラインでは、病院の皮膚科や、量販店の中のサービスセンターなどが例として挙げられています。
ただし、部門として認められるには条件があります。対外的に独立した組織として運営されていること、部門名が本体や他部門と異なること、そして本体や他部門と異なるカテゴリを持つことの3点です。
ガイドラインでは「こうした部門には通常、専用の顧客用入口があり、営業時間が本体と異なる場合もある」とも説明されています。専用入口があることは必須要件として書かれてはいませんが、独立性を示す分かりやすい材料になります。
営業時間が本体と違う場合は、それぞれのプロフィールに個別の営業時間を設定します。本体のプロフィールには本体の営業時間を入れます。
逆に、単なる売り場や商品コーナーは部門として認められません。「店内の〇〇コーナー」レベルのものを部門として登録しようとすると、重複として扱われます。
③同じ場所で働く個人事業主・専門家
医師、歯科医師、弁護士、税理士、不動産エージェントなど、自分の顧客を持つ専門家は「個人プロフェッショナル」として独自のプロフィールを持てます。1つの事務所に複数の専門家が在籍している場合に該当します。
この場合、組織としてのプロフィールと、専門家個人のプロフィールを別々に作ります。個人のプロフィール名には、組織名を入れず本人の氏名だけを使うのがルールです。
ただし、その場所に表に立つ専門家が1人しかいない場合は、組織と個人でプロフィールを分けないほうがよいとされています。「屋号:氏名」という形で1つにまとめる形が推奨されています。
なお、受付や事務のスタッフは個人プロフェッショナルにあたりません。1人が複数の専門分野ごとにプロフィールを作ることも認められていません。
重複と判定されやすいパターンと、その避け方

名前・カテゴリ・電話番号がそっくり
同一住所で重複を疑われる最大の要因は、情報が似すぎていることです。店名が数文字違うだけ、カテゴリが同じ、電話番号も同じ。この状態では、Googleに別の店だと伝わりません。
Googleのガイドラインでは、部門について「本体や他部門と異なる、そのビジネスをもっとも的確に表すカテゴリを選ぶこと」が求められています。同居する複数のプロフィールが同じカテゴリを名乗るのは、避けるべき状態です。
電話番号についても、公式は「可能であれば、コールセンターの代表番号ではなく個々の拠点の番号を使う」よう推奨しています。まったく同じ番号を2つのプロフィールに登録すると、同じ組織の重複だと判断されやすくなります。
サービスごとにプロフィールを分けてしまう
先に触れたとおり、これは典型的な違反パターンです。同じ店なのに「〇〇店 テイクアウト」「〇〇店 デリバリー」のように分けてしまう例が後を絶ちません。
提供方法の違いは、プロフィールを分ける理由になりません。属性設定やサービス欄、営業時間の「その他の営業時間」で表現するのが正しい方法です。
実体のない「部屋番号違い」で増やす
1つの区画しか借りていないのに、部屋番号を変えて複数のプロフィールを作る手法があります。これは存在しない住所を作り出す行為であり、確実にガイドライン違反です。
プロフィールに記載する部屋番号は、賃貸借契約書や自店の看板に書かれているものと一致している必要があります。実体のない番号を使うと、発覚した時点でプロフィールが停止されます。
また、郵送先住所を借りているだけで実際にはそこで業務をしていない、いわゆるバーチャルオフィスも掲載の対象外です。判断の分かれ目は契約形態ではなく、営業時間中にスタッフが在席しているかという実態にあります。
住所を出すかどうかの考え方は住所非公開・バーチャルオフィスのリスクと正しい設定で詳しく解説しています。
重複を避けるための5点セット
同じ建物に複数のプロフィールを置くなら、次の5つを別々に用意しておくと安全です。どれも「実在する別の店である」ことの裏づけになります。
- 店名:実際の看板どおり。ビル名や階数、キャッチコピーは入れない
- カテゴリ:本体・他店と重ならない、その店を的確に表すもの
- 電話番号:その店に直接つながる番号を用意する
- ウェブサイト:その店を説明するページ(ページ単位で分けてもよい)
- 常設の看板:入口や壁面に、店名が年間を通じて掲示されている状態
あわせて、店名・住所・電話番号の表記を自社サイトやポータルサイトでも揃えておきましょう。表記がバラつくと、同じ建物の別店舗と情報が混ざる原因になります。
住所欄・部屋番号・地図ピンの正しい設定

部屋番号や階数は「住所2」に入れる
Googleのガイドラインでは、部屋番号・階数・建物番号などを住所に含めてよいとされています。ただし入れる場所が決まっています。
物理的な住所を「住所1」に、郵便受けの番号や部屋番号は「住所2」に入力するのが公式に示された手順です。日本の管理画面では、番地までを1行目、ビル名と部屋番号を2行目に入れる形になります。
なお、遠隔地に置かれた私書箱や郵便受けを住所として使うことは認められていません。あくまで実際に営業している場所の住所が前提です。
住所欄にURLやキーワードなど、所在地に関係のない情報を入れることは禁止されています。「駅から徒歩3分」といった説明も住所欄には書きません。
なお、住所を修正しても即座には反映されず、審査待ちの状態になることがあります。何度も編集を繰り返さず、数日は様子を見てから判断してください。
地図ピンは自店の入口に合わせて微調整する
同じ建物に複数の店舗があると、地図上のピンが同じ場所に重なりがちです。お客様が「どっちの入口だろう」と迷う原因になります。
ビジネスプロフィールでは、地図上のピンを手動で動かして位置を指定できます。自店の入口が建物の裏側や横にあるなら、そこにピンを寄せておくと来店のハードルが下がります。
ピンがずれている場合の直し方は住所は正しいのにピンの位置がずれている時の直し方にまとめました。あわせて、外観写真で入口が分かるようにしておくと効果的です。
常設の看板がないと、住所を出す資格がない
見落とされがちですが、Googleは「住所を掲載するビジネスは、その住所に店名の常設看板を維持していること」を求めています。ビルの共用部の案内板だけでなく、自店の区画に恒常的な表示があることが望まれます。
特にシェアオフィス内の事務所については、明確な看板があり、営業時間中に自社スタッフが在席し、その場所でお客様を迎えられることが条件とされています。これを満たさない場合、住所を掲載する形での登録は認められません。
看板は、オーナー確認(ビデオ確認)の際にも実在の証拠として確認されることがあります。開業時に後回しにしがちですが、早めに用意しておくと後の手続きがスムーズです。
ケース別に見る同一建物のプロフィール設計

雑居ビルに別会社の店舗が入っている
もっとも標準的なパターンで、特別な配慮はほとんど不要です。それぞれが自分の店名・カテゴリ・電話番号でプロフィールを作れば問題ありません。
気をつけたいのは、住所2に入れる階数・部屋番号の書き方を統一しておくことです。「3F」「3階」「301号室」が媒体ごとにバラバラだと、情報の照合が難しくなります。
また、同じビルの別店舗と写真が混ざってしまうことがあります。外観写真は、自店の看板や入口が主役になるものを選んでください。
商業施設・ショッピングモールのテナント
モール内のテナントも、自店のプロフィールを持てます。このとき店名に施設名を含めないことがポイントです。
Googleのガイドラインは、「〇〇(△△ショッピングセンター内)」のような収容情報を店名に含めることを明確に禁じています。施設名は住所欄で表現します。
営業時間は、施設の営業時間ではなく自店の営業時間を入力します。施設が開いていても自店だけ定休日というケースは珍しくないためです。
同じ法人が同じ建物で2つの業態を運営している
1階がカフェ、2階がレンタルスペース。同じ会社が経営していても、業態が明確に分かれていれば別プロフィールにできます。
実際、Googleのガイドラインでは、ホテル内のレストランやカフェ、スーパー内の薬局といった「併設された別事業」について、それぞれが独自のプロフィールを持つべきだと示されています。その際、2つ目のプロフィールには必ず違う名前を使います。
ここで注意したいのは、これが「事業として分かれている場合」の話だという点です。1つの店が複数のサービスを持っているだけなら、プロフィールを分けず、1つのプロフィールに追加カテゴリを設定するのが正しい対応です。
カテゴリの選び方はビジネスプロフィールのカテゴリ選びで集客が変わるを参考にしてください。なお、自社が所有・運営していない同居ビジネスのカテゴリを、自店のプロフィールに設定してはいけません。
業態が分かれておらず「同じ店の2つのフロア」でしかない場合も、分けるべきではありません。ここは慎重に判断してください。
シェアオフィス・レンタルサロンに入居している
もっとも判断が難しいのがこのケースです。前述のとおり、シェアオフィス内の事務所は「明確な看板」「営業時間中の来客対応」「自社スタッフの常駐」がそろってはじめて掲載が認められます。
週に数日だけブースを借りている、看板を出せない、といった状態では条件を満たしません。この場合は住所を非公開にして、サービス提供地域を設定する形が現実的です。
無理に住所を出すより、対応できるエリアを設定して露出を確保するほうが結果的に近道です。条件が整った段階で、あらためて住所の掲載を検討すればかまいません。
重複扱いや停止になってしまった時の対処

まず「なぜ重複と見なされたか」を切り分ける
同一住所のプロフィールが統合されたり停止されたりしたときは、原因の切り分けから始めます。多くは、名前・カテゴリ・電話番号のいずれかが他店と重なっていることが引き金です。
過去に自分や前任者が作ったプロフィールが残っていないかも確認してください。オーナー確認をしていない未管理のプロフィールが、地図上に残っていることがあります。
探し方と統合の手順は重複したビジネスプロフィールの見つけ方と統合手順にまとめています。まずは現状の棚卸しから始めるのが確実です。
統合・復旧をリクエストする流れ
誤って統合された、あるいは正当な別店舗なのに停止された場合は、Googleに再審査を申し立てることになります。この際に効いてくるのが、実在を示す資料です。
賃貸借契約書、看板の写真、営業許可証、公共料金の請求書など、その住所でその名前の事業が営まれていることを示す書類を準備しておきます。書類上の名称と、プロフィールの店名・住所が完全に一致していることが重要です。
審査の結果が出るまでには時間がかかることがあります。焦って何度も申請を出し直すより、資料を整えてから1回で通すほうが早いのが実情です。
再申請の前に整えておくこと
再申請の前に、他店と重なっている項目をすべて解消しておきます。特に電話番号の共有は、重複判定の大きな要因になりやすいところです。
看板の設置、専用の入口表示、自店専用のページの用意など、「別の店である」ことを外側から確認できる状態にしてから申請してください。
再申請時にビデオ確認を求められることもあります。その場で入口の看板から店内までを一続きで撮影できるよう、事前に動線を確認しておくと安心です。
よくある質問

Q. 同じ電話番号を使い回してもいいですか?
おすすめしません。Googleは可能な限り拠点ごとの番号を使うよう推奨しており、同じ番号の使い回しは重複判定の材料になりやすいためです。
回線を増やすのが難しい場合は、内線や転送を使って店舗ごとに異なる番号を用意する方法もあります。その場合も、掲載する番号は自店が直接管理できるものにしてください。
Q. ウェブサイトは同じドメインでも大丈夫ですか?
同じ法人が運営する2業態であれば、同一ドメイン内の別ページを指定する形で問題ありません。トップページではなく、その店舗を説明する専用ページを指定してください。
まったく別の事業者どうしであれば、当然それぞれ自社のサイトを指定します。他社のサイトを指定することはできません。
Q. 2階の店は1階の店より不利になりますか?
階数そのものが順位を直接決めるわけではありません。Googleの説明によれば、ローカル検索結果は主に関連性・距離・知名度に基づいて表示されます。
ただし、2階以上の店舗は入口が分かりにくく、来店のハードルが上がりやすいのは事実です。外観写真や説明文で入口を明示することが、実質的な差になります。
Q. 同じ住所に登録できる店舗数に上限はありますか?
件数の上限は公表されていません。実在する独立した事業であれば、その数だけプロフィールを持てます。
とはいえ、同一住所にプロフィールが集中すると審査が厳しくなる傾向はあります。1件ずつ、実在の証拠を整えたうえで登録を進めるのが安全です。
まとめ|同じ住所でも「別の店」と伝わるかがすべて

今日から見直したい5つのポイント
同じ建物に複数の店舗があること自体は、まったく問題ではありません。問題になるのは、Googleとお客様の両方に「別の店だ」と伝わっていない状態です。
最後に、今日から確認できるポイントを整理しておきます。
- 店名にビル名・階数・施設名を入れていないか
- 同居する他店とカテゴリが重なっていないか
- 電話番号を他店と共有していないか
- 部屋番号・階数を住所2に正しく入れているか
- 自店の入口に、常設の看板が出ているか
この5点がそろえば、同一住所でも安定して運用できます。順位や表示のされ方は、エリアによっても変わるため、定期的に確認しておくと安心です。
ご相談・お問い合わせ
「うちのケースは分けていいのか判断がつかない」「統合されてしまったが元に戻したい」といったご相談も承っています。同一住所の案件は個別事情が大きいため、状況をうかがったうえで進め方をご提案します。
なお、賃貸借契約や表示に関する法的な判断が必要な場合は、弁護士など専門家にご相談ください。この記事はMEO運用の観点からの解説です。
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