Googleビジネスプロフィールに登録した住所は間違っていない。それなのに、Googleマップで店名を検索すると、ピン(マーカー)が隣のビルや裏の道路の上を指している。
こうした「ピンのずれ」は、店舗の集客に地味ですが確実にダメージを与えます。お客様がナビの通りに進んだのに店が見つからず、そのまま別の店に流れてしまうからです。
やっかいなのは、オーナー側が「住所は正しく入力しているのだから問題ないはず」と思い込んでしまい、何年も気づかないまま放置されるケースが多いことです。ピンの位置は住所とは別のデータとして管理されているため、住所が正しくてもずれることがあります。
この記事では、ピンがずれる仕組みと原因、オーナー自身で直す具体的な手順、そして直しても元に戻ってしまうときの対処法まで、順を追って解説します。専門知識がなくても、今日からご自身で確認・修正できる内容にまとめました。
Googleマップの「ピンの位置がずれる」とはどういう状態か

住所は合っているのに、ピンだけ違う場所を指している
Googleビジネスプロフィールに登録されている情報のうち、「住所(テキスト)」と「地図上の位置(緯度・経度の座標)」は、実は別々のデータとして保持されています。私たちが管理画面で入力するのは住所の文字列ですが、地図に打たれるピンはそこから割り出された座標にもとづいて表示されます。
つまり、住所欄が一字一句正しくても、座標がずれていればピンは違う場所を指します。これが「住所は合っているのにピンだけおかしい」という状態の正体です。
Googleビジネスプロフィールのヘルプでも、住所とは別に「地図上にピンを設定する」操作が案内されています。住所を直したから地図も直るはず、という思い込みはいったん捨てて、ピンそのものを確認してください。
ピンのずれが起きやすい立地の特徴
ずれはどの店舗にも起こり得ますが、特に起きやすい立地には共通点があります。まず、雑居ビルや商業ビルのテナントとして入っている店舗です。
ビル全体で1つの住所を共有しているため、ビルの重心や正面玄関にピンが寄ってしまい、実際の入口とずれることがあります。地下や上層階の店舗では、そもそも「どこから入るのか」が地図の平面上では表現しきれません。
次に、番地が広い範囲に振られている地方の店舗や、新しく造成された区画です。同じ番地に複数の建物が並んでいると、座標が番地の中心付近に置かれ、店舗の実際の位置から数十メートル単位でずれます。
さらに、大通りに面していない店舗、私道の奥にある店舗、駐車場を挟んで建物が奥まっている店舗も要注意です。地図上では大通り側にピンが吸い寄せられ、来店客が入口を見つけられなくなります。
「少しのずれ」でも集客に効いてしまう理由
数十メートルのずれなら大した問題ではない、と感じるかもしれません。しかし、地図アプリを頼りに移動している人にとっては、この数十メートルが致命的になります。
ナビが「目的地に到着しました」と告げた場所に店がなければ、多くの人はまず自分の操作を疑い、次に店を疑い、最後に別の店を探し始めます。初めて来店しようとしていたお客様ほど、この段階で簡単に離脱します。
また、Googleマップの表示順位は主に「関連性・距離・視認性の高さ」という3つの要素にもとづくとGoogleは説明しています(アルゴリズムの詳細は公開されていません)。距離は検索した人の現在地と店舗の座標から計算されるため、座標がずれていれば距離の計算そのものが狂います。
本来なら「駅から徒歩3分の店」として上位に出るはずが、座標が数百メートル離れた場所にあるせいで、駅周辺の検索から漏れる。こうした取りこぼしは、順位表を眺めているだけでは原因に気づけません。
ピンのずれは「地味なトラブル」に見えて、来店導線と検索順位の両方を同時に削る問題です。詳しい順位の決まり方はGoogleマップの表示順位はどう決まる?3つの要素をやさしく解説で整理していますので、あわせてご覧ください。
ピンの位置がずれてしまう主な原因

住所から座標を割り出す処理の限界
住所の文字列から緯度・経度を割り出す処理は、地図サービスの世界で「ジオコーディング」と呼ばれます。日本の住所は「○丁目○番地○号」という区画ベースの表記で、欧米のように「通りの名前+番号」で一意に決まる仕組みではありません。
そのため、号まで正確に特定できないケースでは、番地の代表点や区画の中心にピンが置かれます。これは誤入力でも不具合でもなく、住所データの精度の問題です。
Googleのヘルプでも、住所に番地がない場合や、システムが正しい住所を見つけられない場合には、地図上に自分でピンを立てられると明記されています。裏を返せば、機械任せでは限界がある前提の仕組みになっている、ということです。
複合ビル・雑居ビル・大型施設に入っている
ショッピングモールや駅ビル、雑居ビルのテナントは、建物全体としての座標が優先されやすい傾向があります。テナントが数十件入っていても、住所は同じ一つの建物のものだからです。
この場合、ピンが建物の中心に置かれること自体は必ずしも間違いではありません。問題は、来店客がその建物のどこから入り、何階の何番のテナントを目指せばよいかが伝わらないことです。
Googleは、他の施設の中に入っている店舗について、その情報をプロフィールに表示するようリクエストできると案内しています。ピンの微調整と並行して、建物名やフロア情報を住所欄に正しく入れることが重要になります。
第三者からの「修正の提案」で動かされてしまう
意外に知られていないのが、Googleマップは一般ユーザーからの情報修正を受け付けている、という点です。Googleアカウントを持っている人なら誰でも、店舗の場所や情報について「修正の提案」を送ることができます。
つまり、オーナーが何も触っていなくても、第三者の提案が承認されてピンが動いてしまうことがあります。悪意のあるケースは稀ですが、善意の勘違いや、近隣店舗との取り違えは十分に起こり得ます。
この仕組みがある以上、一度直したら終わりではありません。定期的に自分の目で確認する習慣が必要になります。
移転・住所変更のあとにピンが追いついていない
店舗を移転して住所を書き換えたのに、ピンだけが旧住所付近に残っている、というパターンもよくあります。住所とピンが別データである以上、片方だけ更新される状態はふつうに発生します。
移転直後は口コミやアクセス情報の引き継ぎに気を取られがちですが、地図上の位置は必ずセットで確認してください。移転時の全体的な手順は店舗移転時のGoogleビジネスプロフィール住所変更手順にまとめています。
また、旧住所のプロフィールが別データとして残ってしまい、新旧2つのピンが地図に並ぶこともあります。この場合はピンの調整ではなく統合の作業が必要になるため、重複したビジネスプロフィールの見つけ方と統合手順を先に確認してください。
自分でピンの位置を修正する手順

パソコンから修正する手順
オーナー確認が済んでいるプロフィールであれば、ピンの位置はご自身で動かせます。Googleビジネスプロフィールのヘルプで案内されている手順は次のとおりです。
- Googleにログインした状態で、自分のビジネスプロフィールを開きます。
- 「プロフィールを編集」から「所在地」を選びます。
- 「ビジネスの所在地」の横にある鉛筆マーク(編集)を選びます。
- ピンの位置を動かすために「調整」を選びます。
- ピンが自店の建物を指すように地図をドラッグして動かします。
- 「完了」を選び、続けて「保存」を選びます。
ここでのコツは、建物の中心ではなく、お客様が実際に入る「入口」に近い位置へ合わせることです。ナビの終点が入口の目の前になれば、迷う人は大きく減ります。
地図は最大まで拡大してから合わせてください。縮尺が小さいまま操作すると、見た目には合っていても実際には数十メートルずれたまま保存されてしまいます。
スマホのGoogleマップアプリから修正する手順
外出先や店頭からでも修正できます。スマートフォンのGoogleマップアプリを開き、画面右下の「ビジネス」をタップします。
そこから「プロフィールを編集」→「所在地」と進み、「ビジネスの所在地」の編集アイコンをタップすれば、パソコンと同じように住所とピンを編集できます。編集が終わったら忘れずに保存してください。
店頭に立った状態でスマホから確認すると、「自分が今いる場所」と「ピンの位置」を見比べられるので、ずれの大きさが体感的に分かります。実際に店の前で作業するのが、いちばん正確で早い方法です。
反映までにどれくらいかかるか
Googleのヘルプによれば、プロフィールの変更が反映されるまでは通常10分ほどですが、場合によっては最大30日かかることがあるとされています。所在地のような重要な項目は、審査に時間がかかりやすい部類です。
保存した直後に反映されていなくても、慌てて何度も編集し直さないでください。短期間に修正を繰り返すと、かえって審査が長引いたり、変更が保留扱いになったりすることがあります。
まずは1週間ほど様子を見て、それでも変わらない場合に次の手を打つ、というくらいの構えが現実的です。
修正が反映されない・元に戻ってしまうときの対処

まず「審査待ち」か「差し戻し」かを見分ける
ピンを動かして保存したのに反映されない場合、状況は大きく2つに分かれます。一つはまだ審査中で、単に反映を待っている状態です。
もう一つは、Googleの自動審査によって変更が受け入れられず、元の座標に戻されている状態です。数日後にピンが元の場所に戻っているなら、後者を疑ってください。
Googleは編集内容の反映状況について説明するヘルプページを用意しており、保留中の編集がどう扱われるかを確認できます。まずは自分の変更がどちらの状態にあるのかを把握することが、次の一手を決める前提になります。
位置を裏づける情報を増やす
自動審査に差し戻されるのは、Googleが持っている他のデータと矛盾していると判断された場合です。逆に言えば、「そこに店がある」と機械が判断できる材料を増やせば、修正が通りやすくなります。
具体的には、店の外観、看板、入口が写った写真をプロフィールに追加することが有効です。周囲の建物や道路が一緒に写っている写真だと、位置関係が伝わりやすくなります。
あわせて、住所欄に建物名・階数・部屋番号を省略せずに入れてください。「○○ビル2階」といった情報は、地図上のピンだけでは表現できない部分を補ってくれます。
自社サイトやポータルサイトに掲載している住所表記が、プロフィールと食い違っていないかも確認しましょう。Web上の表記が揃っているほど、Googleは位置情報を信頼しやすくなります。詳しくはNAP統一とは?店名・住所・電話番号を揃えるべき理由と手順で解説しています。
それでも直らないときはサポートに問い合わせる
写真や住所表記を整えても改善しない場合は、Googleビジネスプロフィールのサポート窓口に問い合わせるという選択肢があります。ヘルプページの下部にある問い合わせ導線から連絡できます。
問い合わせる際は、「正しい位置がどこか」を第三者が確認できる形で伝えるのがポイントです。店舗の外観写真、名刺やパンフレット、公共料金の請求書など、住所を裏づける資料を用意しておくと話が早く進みます。
なお、対応の速さや結果はケースによって変わります。必ず希望どおりに直るとは限らない点は、あらかじめ理解しておいてください。
ストリートビューの見え方もあわせて確認する
意外な副作用として、ピンの位置はストリートビューの見え方にも影響します。Googleのヘルプでは、ビジネスの地図ピンを編集することで、より正確なストリートビュー画像に紐づけられると案内されています。
ピンがずれていると、プロフィールから開いたストリートビューに隣のビルや空き地が映り、来店前のお客様を不安にさせます。ピンを直したら、実際にストリートビューを開いて自店の外観が映っているかまで確認してください。
もし表示される画像が古すぎる場合は、Googleに古い画像の報告を行うこともできます。ただし更新の時期は約束されていないため、自店で撮影した写真を充実させるほうが確実です。
ピンのずれを未然に防ぐ・早く気づくための運用

月1回、店名で検索して目視チェックする
もっとも簡単で確実な予防策は、月に1回、自分の店名でGoogleマップを検索してピンの位置を目で見ることです。所要時間は1分もかかりません。
第三者の修正提案でピンが動く可能性がある以上、定期チェックは「念のため」ではなく必要な運用です。営業時間や写真の確認とまとめて、月初のルーティンに組み込んでしまいましょう。
チェックする際は、必ず地図を最大まで拡大してください。縮尺が粗いままだと、数十メートルのずれは見た目には分かりません。
実際に自分でルート検索を試す
ピンの見た目が合っていても、ナビの案内が正しいとは限りません。最寄り駅や幹線道路から自店までのルート検索を実際に試し、案内される道順が現実的かを確かめてください。
車で来店するお客様が多い店舗なら、駐車場の入口側にピンを寄せる判断もあり得ます。実際に運転して確かめると、「この曲がり角で案内が終わると入口が見えない」といった問題が見つかります。
Googleは、経路案内が誤っている場合にそれを報告する仕組みも用意しています。この報告はパソコンから行う必要があるため、ピンを直しても道順がおかしいままなら、パソコンのGoogleマップから報告を検討してください。
エリアごとの見え方を定点で記録しておく
ピンのずれは、順位の異常として先に表れることがあります。特定の方角のエリアだけ急に順位が落ちた、駅前からの検索でだけ見つからない、といった症状です。
Googleマップの順位は検索した場所によって変わるため、1地点だけを見ていると異変に気づけません。周辺エリアを面で計測して記録しておくと、座標のずれが起きた時期を後から特定できます。
順位を正しく測る考え方については、Googleマップ順位の正しい測り方|検索場所で変わる理由で詳しく解説しています。もしプロフィール自体が地図から消えている場合は、ピンの問題ではない可能性が高いので、Googleマップから店舗が消えた?原因と復旧の手順を解説を先に確認してください。
Googleマップのピン位置についてよくある質問

オーナー確認をしていなくてもピンは直せますか
オーナー確認をしていない場合、管理画面からの編集はできません。一般ユーザーとしての「修正の提案」を送る形になり、反映されるかどうかはGoogleの審査次第です。
店舗として継続的に運用するなら、まずオーナー確認を済ませることをおすすめします。確認が済めば、ピンだけでなく営業時間や写真もすべて自分でコントロールできるようになります。
「調整」のボタンが見当たりません
管理画面のデザインは随時更新されるため、ボタンの位置や名称が変わることがあります。「プロフィールを編集」から「所在地」に進み、住所の編集画面のなかを探してみてください。
それでも見つからない場合は、スマートフォンのGoogleマップアプリ側から試すと表示されることがあります。パソコンとアプリで画面構成が異なるためです。
ピンを直したら順位はすぐ上がりますか
必ず上がるとは言えません。ピンのずれが順位低下の主因だった場合は改善が見込めますが、順位は関連性や視認性の高さなど複数の要素で決まります。
ただし、座標が正しくなることで距離の計算が適正化されるのは確かです。順位の話を抜きにしても、来店客が迷わなくなる効果だけで直す価値があります。
ビル内のテナントですが、ピンを入口に寄せてもよいですか
実際にお客様が入る入口に寄せるのは合理的な調整です。ただし、隣の建物の上に置くなど、実態と異なる位置に動かすのはガイドライン違反にあたる恐れがあります。
あくまで自店の敷地・建物の範囲内で、来店しやすい位置に合わせるという考え方にとどめてください。やりがちな違反例はGoogleビジネスプロフィール違反|停止を防ぐNG例と対処法で確認できます。
直したのにまた戻ってしまいます
自動審査による差し戻しか、第三者の修正提案が承認された可能性があります。写真や住所表記など、位置を裏づける情報を増やしたうえで、あらためて修正してみてください。
複数回繰り返しても戻る場合は、サポートへの問い合わせに切り替えるのが現実的です。無理に短期間で編集を繰り返すのは避けましょう。
まずは自店が地図でどう見えているかを確かめませんか
ピンの位置は、オーナー自身が見に行かない限り誰も教えてくれません。そして、ずれていた期間に取りこぼしたお客様は、あとから取り戻すことができません。
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