「ホームページを作り直したいけれど、費用が気になる」「補助金を使えばMEO対策も安くできると聞いた」。店舗のオーナーや中小企業の経営者の方から、こうしたご相談をいただくことが増えています。
たしかに国や自治体の補助金には、販路開拓や業務のデジタル化を後押しするものがあり、条件が合えばホームページ制作などの費用の一部が補助されることがあります。ただし、制度ごとに対象になる経費や上限、申請の順番が細かく決められており、思い込みで動くと「補助の対象外だった」ということになりかねません。
この記事では、販促の補助金でホームページやMEO(Googleマップでの集客対策)の費用が対象になり得るのか、申請前に何をどの順番で確認すればよいのかを整理します。執筆は、全日本SEO協会認定のSEOコンサルタントとして、中小企業のWeb制作やSEO・MEOの支援に携わってきた三田健司です。
制度の内容は2026年10月時点で公表されている公募要領や解説をもとにしていますが、補助金は年度や公募回ごとに要件が変わります。申請の判断は、必ず最新の公募要領と、商工会・商工会議所や認定経営革新等支援機関などの専門家への確認をもとに行ってください。
補助金でHP・MEOを考える前に知っておきたい基本

具体的な制度の話に入る前に、補助金そのものの性質を押さえておきましょう。ここを誤解したまま進めると、資金計画や制作のスケジュールが崩れてしまいます。
特に「もらえるお金」というイメージだけで考えると、思わぬところでつまずきます。
補助金は「審査に通れば」受け取れるお金
補助金の多くは、申請すれば必ず受け取れるものではなく、事業計画書などをもとに審査が行われ、採択されたものだけが対象になります。公募回によって採択率は変わり、申請書の内容によっては不採択になることもあります。
そのため、補助金が出る前提で事業計画を組み立てないことが大切です。不採択でも実行するのか、採択された場合だけ実行するのかを、先に決めておくと判断がぶれません。
原則は後払いで、先に自己資金が必要
補助金は、事業を実施して費用を支払い、実績報告をして内容が確認された後に支払われる「後払い(精算払い)」が基本です。つまり、ホームページの制作費などは、いったん自分で全額を支払う必要があります。
採択から入金までには、長いと1年近くかかることもあります。手元の資金や、必要に応じて金融機関のつなぎ融資なども含めて、立て替えられるかどうかを最初に確認しておきましょう。
交付決定より前に発注・契約した費用は対象外
多くの補助金では、「交付決定」という正式な通知を受けた日以降に発注・契約・支払いをした費用だけが補助の対象になります。申請しただけ、採択の発表があっただけの段階で制作会社に発注してしまうと、その費用は補助を受けられません。
制作会社から「早く始めましょう」と言われても、交付決定の通知を受け取るまでは発注しないのが鉄則です。見積書の取得や打ち合わせは進めてよいかなど、どこまで準備してよいかは公募要領で確認してください。
「MEO対策」という名前で対象が決まるわけではない
補助金の公募要領には、経費の区分ごとに対象になるもの・ならないものが書かれています。ただ、「MEO対策」という言葉がそのまま載っているとは限らず、実際には「何の作業に、いくら払い、何が成果物として残るのか」という中身で判断されます。
たとえばGoogleビジネスプロフィール(GBP)の登録や運用そのものは無料で、補助の対象になる費用は発生しません。費用が発生するのは、写真撮影や店舗サイトの制作・改修、広告など、外部に依頼したり購入したりする部分です。
関連記事:Googleビジネスプロフィールの登録とオーナー確認の手順
小規模事業者持続化補助金でHP・MEO関連の費用はどう扱われるか

店舗や小さな会社がホームページなどの販促費に使える補助金として、まず名前が挙がるのが「小規模事業者持続化補助金」です。商工会・商工会議所の支援を受けながら経営計画を作り、販路開拓の取り組みにかかった費用の一部が補助される制度です。
ここでは、2026年に公表されている一般型・通常枠の第20回公募の内容をもとに、ホームページやMEOに関係しそうな部分を整理します。
補助率と上限額の目安
第20回の一般型・通常枠では、補助率は原則3分の2、補助上限額は50万円と案内されています。賃金引上げなどの特例を活用すると上限額が上乗せされる仕組みもあり、赤字事業者が賃金引上げ特例を使う場合は補助率が4分の3になるとされています。
たとえば対象経費が75万円で補助率が3分の2なら、計算上の補助額は50万円です。ただし残りの25万円と、立て替えの間の全額は自己負担になる点を忘れないでください。
ウェブサイト関連費は「上限30万円」で単独申請はできない
ホームページの制作や改修の費用は、「ウェブサイト関連費」という区分で扱われます。第20回では、この経費の補助金交付申請額の上限が30万円(税込)とされ、第19回までの「補助金交付申請額の4分の1(最大50万円)」という考え方から変更されたと複数の解説で紹介されています。
さらに、ウェブサイト関連費だけでは申請できず、チラシや看板、店舗改装など、ほかの経費と組み合わせる必要があります。「ホームページだけを補助金で作り直す」という使い方はできない、と理解しておきましょう。
対象になり得るもの、なりにくいもの
解説記事で紹介されている公募要領の内容では、販路開拓のためのウェブサイトの作成・更新や、サイトに載せる写真・動画の制作費などが対象例に挙がっています。SEO対策も、効果や作業内容が明確なものに限って対象例とされています。
一方で、ウェブサイトやシステムに関するコンサルティング・助言の費用、売上や件数に連動する成果報酬型の契約、補助事業期間内に公開・運用まで至らなかったサイトなどは対象外とされています。広告については、インターネット広告やSNS広告は「広報費」という別の区分で扱われ、こちらにも上限が設けられています。
MEO関連の費用は「中身」で確認する
先ほど触れたとおり、MEOという名前の費用区分があるわけではありません。たとえば店舗の写真撮影と、それを使った店舗サイトの改修であればウェブサイト関連費として検討できる可能性がありますが、「順位が上がったら払う」成果報酬型のMEO契約は対象外になる可能性が高いと考えられます。
内容があいまいな月額の「MEOコンサル」「運用サポート」も、作業内容や成果物を説明できなければ、実績報告の段階で認められないおそれがあります。見積書に作業項目と成果物を具体的に書いてもらうことが、判断を受けるうえでの前提になります。
第20回のスケジュールと申請に必要なもの
第20回の申請受付は2026年11月5日から12月15日の17時までで、商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書(様式4)」の発行受付は12月4日が締切と案内されています。申請は電子申請のみで、GビズIDプライムのアカウントが必要です。
GビズIDの取得や商工会・商工会議所との相談には時間がかかります。締切の直前ではなく、できるだけ早めに地域の商工会・商工会議所へ相談するようにしましょう。
関連記事:販促予算の配分|MEO・広告・ホームページの優先順位
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)でHPやMEOは対象になる?

もう一つよく話題に上るのが、IT導入補助金から名称が変わった「デジタル化・AI導入補助金」です。中小企業が業務の効率化やデジタル化のためにソフトウェアやクラウドサービスを導入する費用を補助する制度で、経済産業省・中小企業庁の事業として実施されています。
名前に「IT」や「デジタル」と付くため、ホームページ制作にも使えると思われがちですが、仕組みは持続化補助金と大きく異なります。
対象は事務局に登録されたITツールだけ
この補助金の対象は、原則として事務局にあらかじめ登録された「ITツール」の導入費用に限られます。申請も事業者が単独で行うのではなく、登録された「IT導入支援事業者」のサポートを受けながら進める仕組みです。
そのため、一般的な情報発信のためのホームページ制作費は、この補助金の対象にはなりにくいと考えておくのが現実的です。複数の解説でも、ホームページ制作単体は対象外になりやすいとされています。
予約・顧客管理などの業務ツールなら検討の余地がある
一方で、予約管理や顧客管理、会計、受発注など、業務のプロセスを効率化する登録ITツールであれば、導入費用やクラウドの利用料(一定期間分)が対象になり得ます。たとえば、店舗の予約システムやPOSレジの導入を検討しているなら、こちらの制度が合う可能性があります。
予約システムをGoogleビジネスプロフィールの予約ボタンとつなげれば、地図で見つけたお客様がそのまま予約できる流れも作れます。MEOそのものの費用ではありませんが、地図から来店までの流れを整える投資として考えることはできます。
スケジュールは締切回ごとに設定されている
デジタル化・AI導入補助金は、年間を通じて複数回の締切が設けられています。2026年10月時点の公表では、通常枠などの第6次締切が10月30日、第7次締切が12月1日と案内されています。
締切や枠の内容は変更されることがあるため、検討する場合は公式サイトの最新情報と、IT導入支援事業者からの説明をあわせて確認してください。
自治体の補助金や相談窓口の探し方

国の補助金のほかに、都道府県や市区町村が独自に販路開拓やホームページ制作、デジタル化を支援する補助金を用意していることがあります。金額は国の制度より小さいことが多いものの、地域の事業者向けで条件が合いやすい場合もあります。
ただし、自治体の制度は年度ごとに内容が変わり、予算に達した時点で受付を終えることも少なくありません。
まずは国の支援情報サイトで調べる
中小企業庁が運営する「ミラサポplus」や、中小企業基盤整備機構の「J-Net21」では、国や自治体の支援制度を地域や目的で検索できます。「ホームページ」「販路開拓」「デジタル化」などの言葉と、お店のある都道府県・市区町村を組み合わせて探してみてください。
検索で見つかった制度は、必ず自治体の公式ページで最新の募集要項を確認します。まとめサイトの情報は更新が追いついていないことがあるため、そのまま信じないようにしましょう。
商工会・商工会議所は身近な相談先
地域の商工会・商工会議所は、持続化補助金の窓口になるだけでなく、自治体の補助金や融資制度の情報も持っています。会員でなくても相談できる場合があるので、一度問い合わせてみる価値はあります。
相談するときは、「何のために、何に、いくらくらい使いたいか」をメモにまとめて持っていくと話が早く進みます。ホームページ制作の見積書があれば、それも一緒に見てもらいましょう。
専門家に申請を手伝ってもらう場合の注意
事業計画書の作成を、認定経営革新等支援機関や中小企業診断士、行政書士などの専門家に相談する方法もあります。持続化補助金では、商工会・商工会議所以外の第三者から支援を受けた場合、その相手と支援金額を申請書に書く必要があるとされています。
また、申請の主体はあくまで事業者自身です。計画の中身を自分で説明できない状態で丸投げすると、採択後の実施や報告で困ることになります。
申請前に確認する7つの手順

ここからは、補助金でホームページやMEO関連の取り組みを検討するときに、実際に進める順番を整理します。この順番で確認すれば、「後から対象外だと分かった」という事態をかなり防げます。
焦って制作会社への発注から始めないことが、最大のポイントです。
手順1・2:目的を決め、使える制度を探す
最初に、「新しいお客様を増やしたい」「予約の手間を減らしたい」など、取り組みの目的をはっきりさせます。目的によって、持続化補助金のような販路開拓向けの制度が合うのか、デジタル化・AI導入補助金のような業務効率化向けの制度が合うのかが変わります。
目的が決まったら、国の制度と自治体の制度の両方を候補に挙げ、それぞれの最新の公募要領や募集要項を入手します。
手順3・4:対象経費と上限を確かめ、見積もりを取る
公募要領で、検討している費用がどの経費区分に当たるのか、上限や組み合わせのルールはどうなっているのかを確認します。そのうえで、制作会社などに作業項目と成果物が分かる見積書を作ってもらいます。
見積書に「MEO対策一式」のような書き方しかない場合は、写真撮影、ページ制作、設定作業など、項目ごとに分けてもらうようお願いしましょう。対象になるかどうかの判断がしやすくなります。
手順5:相談窓口に計画を見てもらう
見積書と取り組みの計画がそろったら、商工会・商工会議所や専門家に相談し、制度に合っているか、対象経費の考え方に無理がないかを確認してもらいます。持続化補助金の場合は、ここで事業支援計画書の発行を依頼する流れになります。
不明な点は、公募要領に書かれている事務局の問い合わせ窓口に確認するのが確実です。
手順6・7:交付決定を待ってから発注し、記録を残す
申請して採択され、交付決定の通知を受け取ってから、はじめて発注・契約に進みます。その後は、見積書・発注書・納品物・請求書・振込の記録など、実績報告に必要な書類を一つずつ保管していきます。
支払い方法にも決まりがあることが多く、現金払いや相殺は認められにくいとされています。報告のときに慌てないよう、最初に必要な書類の一覧を作っておくと安心です。
MEO関連の取り組みを計画に入れるときの考え方

補助金の対象になるかどうかとは別に、そもそもMEOのためにどこへお金をかけるべきかを整理しておくことも大切です。補助金があるからといって、必要のない制作や契約をしてしまっては本末転倒です。
私たちがMEOの支援をしてきた経験からも、効果の土台になるのは、お金をかけずにできる基本の積み重ねです。
無料でできることを先に済ませる
Googleビジネスプロフィールの情報を正確に埋める、営業時間を最新に保つ、写真を定期的に追加する、口コミに丁寧に返信する。こうした基本の運用には費用がかからず、補助金の有無とは関係なく今日から始められます。
外部に費用をかけるのは、自分たちでは難しい部分に絞るのが効率的です。たとえば、プロのカメラマンによる店内・料理の撮影や、スマートフォンで見やすい店舗サイトへの改修などが当てはまります。
地図とサイトをつなげて考える
Googleマップで見つけたお客様の多くは、プロフィールの「ウェブサイト」ボタンからお店のサイトを開き、メニューや料金、予約方法を確かめます。補助金を使って店舗サイトを作り直すなら、地図から来た人が知りたい情報にすぐたどり着けるかという視点で設計すると、MEOとの相乗効果が期待できます。
店名・住所・電話番号の表記をGBPとサイトでそろえることや、予約ページへの導線を分かりやすくすることも、制作時にあわせて確認しておきたい点です。
関連記事:店舗ホームページはMEO時代に必要か?GBPとの役割分担
成果を測る方法を先に決めておく
補助金の事業計画では、取り組みによってどのような成果を目指すのかを説明することが求められます。MEOであれば、GBPの「パフォーマンス」で見られる検索での表示回数や電話・ルート検索・ウェブサイトへのクリック数、Googleマップでの順位の推移などが、成果を確かめる材料になります。
取り組みを始める前の数字を記録しておくと、計画書の説得力が増し、実施後の振り返りもしやすくなります。ただし、どの指標もさまざまな要因で上下するため、順位や来店数の増加を約束できるものではない点は理解しておきましょう。
「補助金で実質無料」の営業に注意したいポイント

補助金の時期になると、「補助金を使えばホームページが実質無料で作れます」「MEO対策も補助金の対象です」といった営業を受けることがあります。中には誠実に申請を支援してくれる会社もありますが、説明が不十分なまま契約を急がせるケースもあるため、注意が必要です。
次のようなポイントに当てはまる場合は、契約前に一度立ち止まって確認しましょう。
採択や補助額を約束する説明
補助金は審査で決まるため、どの会社であっても採択を約束することはできません。「必ず通る」「全額戻ってくる」といった説明は、制度の仕組みと合っていません。
また、補助率は3分の2などの割合で決まり、上限もあります。自己負担がまったくないという説明は、基本的にあり得ないと考えてください。
交付決定前の契約や、成果報酬の契約を勧められる
「枠が埋まる前に今すぐ契約を」と、交付決定前の発注を勧められた場合は要注意です。先ほど説明したとおり、交付決定前に契約した費用は補助の対象外になる可能性が高くなります。
MEOの成果報酬型の契約も、補助金の対象外とされる区分に当たるおそれがあります。契約の形態と補助金のルールが合っているかは、商工会・商工会議所や事務局に確認しましょう。
業者選びは補助金と切り離して考える
補助金が使えるかどうかより大切なのは、その会社がどのような作業をして、何を納品し、どのように成果を確かめるのかを具体的に説明してくれるかどうかです。補助金の有無で業者を選ぶと、本来の目的から外れた契約になりがちです。
費用の相場や契約形態の違いを知っておくと、提案内容を比べやすくなります。
関連記事:MEO対策の費用相場と料金体系|成果報酬型の注意点
補助金とHP・MEO対策でよくある質問(FAQ)

Q1. MEO対策の月額費用を補助金で払えますか?
一般的な月額のMEO運用代行は、作業内容や成果物が明確でない場合や、成果報酬型の場合に対象外とされる可能性があります。対象になり得るかどうかは契約の中身と公募要領の規定で判断されるため、申請前に商工会・商工会議所や事務局に確認してください。
Q2. ホームページの制作費だけで持続化補助金に申請できますか?
第20回の公募では、ウェブサイト関連費だけでの申請はできず、ほかの経費と組み合わせる必要があると案内されています。チラシや看板など、販路開拓の計画全体の中にホームページを位置づけることが前提です。
Q3. すでに作ったホームページの費用は対象になりますか?
原則として、交付決定より前に発注・契約・支払いをした費用は対象になりません。これから取り組む内容について、交付決定を受けてから発注する必要があります。
Q4. Googleビジネスプロフィールの登録に費用はかかりますか?
Googleビジネスプロフィールの登録や基本的な運用は無料です。費用がかかるのは、写真撮影や店舗サイトの制作、広告など、外部に依頼したり購入したりする部分です。
Q5. 補助金の申請は誰に相談すればよいですか?
持続化補助金であれば、地域の商工会・商工会議所が最初の相談先になります。自治体の補助金は各自治体の担当窓口、計画づくりの支援は認定経営革新等支援機関や中小企業診断士などの専門家に相談するとよいでしょう。
Q6. 補助金が不採択だったらどうすればいいですか?
次の公募回に向けて計画を見直して再申請する方法のほか、自己資金で優先度の高い部分から段階的に取り組む方法もあります。GBPの整備や口コミへの返信など、費用のかからない基本の運用は、補助金の結果を待たずに進められます。
補助金は「目的に合えば使う」くらいの距離感で
補助金は、条件が合えばホームページの改修や販促の負担を軽くしてくれる心強い制度です。一方で、対象経費や上限、交付決定前の発注禁止など細かなルールがあり、MEOという名前だけで対象かどうかは決まりません。
まずはGBPの整備など費用のかからない基本を進めながら、使える制度を最新の公募要領で確かめ、商工会・商工会議所や専門家に相談したうえで判断してください。
access-meoでは、お店の周りの複数地点でGoogleマップの順位を無料でチェックできます。取り組みの前と後で地図での見え方を記録しておきたいときや、MEOの進め方でお悩みのときも、お気軽にご相談ください。
