Googleマップでお店を探しているとき、気になった店を「保存」したことはないでしょうか。ブックマークのようなアイコンを押すと、そのお店が自分だけのリストに追加される機能です。
この「保存」は、店舗側から見るととても大きな意味を持ちます。今すぐは来店できないけれど、いつか行きたいと思ったお客様が、自ら意思表示をしてくれた瞬間だからです。
ところが保存は、口コミや電話のように目立つ指標ではありません。Googleビジネスプロフィールのパフォーマンス画面を開いても保存された回数はどこにも表示されないため、多くの店舗が意識しないまま見過ごしています。
この記事では、Googleマップの保存機能の仕組みを公式情報にもとづいて整理したうえで、保存されやすい店になるための具体的な工夫と、直接測れない保存を間接的に把握する方法までをまとめます。専門知識がなくても今日から手を動かせる内容だけを取り上げますので、順番に読み進めてみてください。
Googleマップの「保存」とは?まず仕組みを正しく知る

打ち手を考える前に、保存という機能が実際にどう動いているのかを押さえておきましょう。ここを誤解したまま施策を打つと、効果の出ない工夫に時間を使ってしまいます。
保存ボタンを押すと何が起きるのか
Googleマップで店舗の情報カードを開くと、ブックマーク型の「保存」ボタンが表示されます。これを押すと保存先のリストを選ぶ画面が出て、選んだリストにそのお店が追加されます。
Googleの公式ヘルプでも、パソコン版・スマートフォン版ともに「お店や場所をクリックするか検索し、保存をクリックしてリストを選択する」という手順が案内されています。操作は数秒で終わるため、お客様にとっては非常に軽いアクションです。
保存はGoogleアカウントにログインした状態で行われるため、機種変更をしてもパソコンに切り替えても、同じリストがずっと残り続けます。ここが、スクリーンショットやメモアプリでの記録と決定的に違う点です。
一度保存されれば、お客様の手元に半永久的に自分の店の情報が置かれることになります。チラシやクーポンのように捨てられることがない、という点でも価値のある接点です。
デフォルトで用意されているリストの種類
Googleマップには、最初からいくつかのリストが用意されています。公式ヘルプでは、アイコンを変更できない既定のリストとして「お気に入り」「行きたい場所(行ってみたい)」「スター付きの場所」「旅行プラン」などが挙げられています。
ただし、リストの名称や構成はパソコン版とスマートフォンアプリで異なる場合があります。ご自身の端末で確認すると、少し違う表記になっていることもあります。
使い分けは人それぞれですが、一般的には「行きたい場所」が検討中の候補、「お気に入り」が実際に気に入った店として使われる傾向があります。つまり同じ保存でも、どのリストに入るかで来店確度は変わってきます。
もちろん、お客様が自分で新しいリストを作ることもできます。「家族で行く店」「雨の日でも大丈夫な店」といった独自のテーマでまとめている人も少なくありません。
店舗側がコントロールできるのはリストの種類ではなく、「保存したい」と思わせるだけの情報を用意できているかどうかだけです。ここに集中するのが、現実的で効率のよい戦略になります。
保存した場所は誰に見えているのか
お客様が保存した場所は、原則としてその本人にしか見えません。公式ヘルプにも「保存済みの場所は、場所のリストを作成して共有しない限り、自分にしか表示されません」と明記されています。
一方で同じヘルプには、「Googleでは、ユーザーが保存した場所の情報を組み合わせ、匿名の状態で共有する場合があります」という記載もあります。個人が特定される形ではないものの、保存という行動自体はデータとしてGoogle側に蓄積されているということです。
店舗のオーナーとして「誰が自分の店を保存したか」を知る方法は用意されていません。ここは期待しすぎず、後ほど紹介する代替指標で判断していくことになります。
リストには件数の上限がある
意外と知られていませんが、保存済みリストには件数の上限があります。公式ヘルプによると、保存済みリストにはお店やスポットを最大3,000件まで登録でき、件数が多くなるとリスト内のお店やスポットが適切に表示されないことがある、とされています。
なお、この「適切に表示されないことがある」件数の目安は、日本語版ヘルプでは500件を超えた場合、英語版ヘルプでは3,000件を超えた場合と案内されており、記載に差があります。どちらにしても、リストが長くなるほど見づらくなるという傾向は変わりません。
つまり、熱心にお店を保存している人ほどリストが肥大化し、個々のお店は埋もれやすくなるということです。保存された瞬間の熱量は、時間が経つほど薄れていきます。
保存してもらうこと自体がゴールではなく、「保存したリストの中で思い出してもらえること」まで含めて設計する必要があります。この視点は、記事の後半で具体的な打ち手として整理します。
「保存」が店舗集客に効く3つの理由

保存は、その場で売上になる行動ではありません。それでも店舗が重視すべき理由が、大きく3つあります。
理由1:今日来られないお客様を、来月のお客様に変えられる
ローカル検索には、今すぐ行きたい人と、あとで行きたい人が混ざっています。前者はルート検索や通話につながりますが、後者はその場では何も起きないまま離脱してしまいます。
保存は、この「あとで行きたい人」を取りこぼさないための受け皿です。保存されていれば、お客様が次に予定を立てるタイミングで、自分のリストの中から自然に再訪してもらえます。
広告のように継続して費用がかかるわけでもなく、期限もありません。数週間から数か月後に効いてくる、遅効性の資産だと考えるとイメージしやすいはずです。
来店に近い行動を増やす考え方は、「ルート検索」を増やして来店につなげる工夫でも解説しています。保存と合わせて読むと、検討段階から来店直前までの導線が見えてきます。
理由2:共有リストは口コミより強い紹介になる
Googleマップのリストは、非公開のまま使うだけでなく、リンクで共有したり、他の人を編集者として招待して一緒に育てたりできます。公式ヘルプでも、スマートフォンアプリではリスト作成時に「非公開」と「共有」を選べること、共有リストには共同編集者を招待できることが説明されています。
なお、パソコン版では作成後に「共有オプション」から公開範囲を切り替える流れになっており、操作場所が少し異なります。
さらに、他の人が作ったリストを自分の側で保存することもできます(パソコン版では「フォロー」と表示されます)。旅行や食事会の計画で「このリスト見て」と共有される場面を想像すると、その影響力がわかるはずです。
口コミが不特定多数への評価だとすれば、共有リストは信頼している相手からの名指しの推薦です。件数は少なくても、来店につながる確度は格段に高くなります。
理由3:検索の形が変わっても「自分のリスト」は残る
近年はAIによる要約や対話型の検索が広がり、検索結果の見え方は年々変化しています。先月まで上位に出ていたお店が、今月は別の形で表示されるということも珍しくありません。
しかし、お客様が自分の意思で保存したリストは、こうした表示ロジックの変動に左右されません。順位が外部要因で揺れても、保存されているお店は「指名で開かれるお店」として残り続けます。
順位改善と並行して保存を増やしておくことは、変動に強い集客基盤づくりでもあります。短期の順位だけを追いかけるより、はるかに気持ちの落ち着く取り組みになるはずです。
お客様が「保存」を押す瞬間を分解する

保存を増やしたいなら、まず「どういうときに押されるのか」を理解しておく必要があります。ここを外すと、見当違いの改善に労力を割いてしまいます。
保存は「行けない理由」があるときに押される
保存されるのはお店に興味を持った瞬間ではなく、興味があるのに今は行けないと気づいた瞬間です。営業時間外に見つけた、今日は別の予定がある、場所が少し遠い、といった状況が引き金になります。
だからこそ、営業時間や定休日、アクセス情報が曖昧なお店は、そもそも保存の判断すらしてもらえません。「行けるかどうか」が判断できて初めて、「今日は行けないから保存しておこう」に進むからです。
情報を隠さず、正確に、細かく出すこと。地味ですが、これが保存の前提条件になります。
写真が足りないお店は保存されにくい
リストに保存されたお店は、後から一覧で見返されます。そのとき手がかりになるのは店名と、サムネイルとして表示される写真です。
写真が少なかったり、外観だけで中の様子がわからなかったりすると、リストの中で埋もれてしまいます。逆に、印象に残る一枚があるだけで、数か月後に思い出してもらえる確率は上がります。
写真の考え方はビジネスプロフィールの写真で集客を伸ばすコツで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。何をどの順番で撮ればよいかが整理できます。
「保存する理由」を用意できているか
お客様は、なんとなく良さそうなお店を保存するわけではありません。「次に〇〇するときはここ」という具体的な用途が頭に浮かんだときに、はじめて保存ボタンを押します。
記念日に使える個室がある、雨の日でも駐車場から濡れずに入れる、子ども連れでも周りを気にせず食事できる。こうした用途がプロフィール上で伝わっているかを点検してみてください。
用途が明確なお店ほど、リストの中で「あのときのためのお店」として記憶に残ります。反対に、良いお店なのに用途が伝わっていないケースは驚くほど多いのが実情です。
保存されるお店になるための実践チェックリスト

ここからは、実際に何をすればよいのかを手順として整理します。上から順に着手すれば、無理なく進められる構成にしています。
ステップ1:基本情報を隙間なく埋める
店名、住所、電話番号、営業時間、定休日、カテゴリ、属性。ここに空欄があると、お客様は判断を保留してそのまま離脱してしまいます。
特に忘れられがちなのが、祝日や年末年始などの「特別営業時間」です。営業しているのに「休業中」と表示されている状態は、保存どころか来店機会そのものを失います。
月に一度でよいので、プロフィールを上から下まで通しで見直す時間を作ってください。5分あれば終わる作業ですが、効果は確実にあります。
ステップ2:写真と動画で「行った後」を想像させる
外観、内観、席、駐車場、メニューや商品、スタッフ。この6種類が揃っていると、来店後のイメージが一気に具体的になります。
特に駐車場と入口の写真は、初めて訪れる人の不安を大きく減らします。短い動画を加えると、静止画では伝わりにくい店内の広さや雰囲気も伝えられます。
撮影は高価な機材でなくてもかまいません。明るい時間帯にスマートフォンで撮るだけでも、写真が数枚しかない状態からは大きく前進します。
ステップ3:最新情報の投稿で「今」を見せる
保存を迷っている人にとって、更新が止まっているお店は不安材料になります。最後の投稿が半年前だと、今も営業しているのかどうかすら疑われてしまいます。
週に1回でも投稿があれば、それだけで「今も動いているお店」という安心感が生まれます。季節メニュー、入荷情報、キャンペーンなど、身近な話題で十分です。
投稿の作り方は最新情報(投稿機能)で来店を後押しする使い方でまとめています。ネタ切れを防ぐ考え方も紹介しています。
ステップ4:店頭とSNSで「保存」を直接お願いする
口コミと同じで、保存も声をかけたほうが増えます。会計時に「またお越しの際は、Googleマップで保存しておくと便利ですよ」と一言添えるだけで構いません。
SNSで店舗情報を発信するときも、Googleマップのリンクを添えて「気になったら保存しておいてください」と書き添えると効果的です。押しつけがましくならない言い回しを心がけましょう。
なお、対価と引き換えに大量に保存させるような不自然な誘導は、サービス本来の趣旨から外れるため避けてください。あくまでお客様の利便性としてご案内するのが安全です。
ステップ5:共有リストに載る機会をつくる
地域の観光協会、商工会、地元メディア、地域で発信している個人などが「エリアのおすすめリスト」を作ることがあります。そうしたリストに入ると、一度に複数の人へ届きます。
直接お願いするのが難しくても、お店の特徴が一目でわかる状態にしておけば、リストを作る側から見つけてもらえる可能性が上がります。地道な取り組みですが、掲載してもらえたときの効果は大きいです。
ステップ6:リストの中で埋もれない工夫をする
前述のとおり、保存済みリストは件数が増えるほど見づらくなります。保存してもらった後も、思い出してもらうきっかけが必要です。
具体的には、季節ごとの投稿、写真の入れ替え、口コミへの返信などで、プロフィールを常に新しい状態に保つことです。保存は「一度きりの獲得」ではなく、「継続して思い出してもらうための入口」だと捉えてください。
保存数は測れる?計測の現実と代わりに見る指標

ここが多くの店舗オーナーがつまずくところです。結論を先にお伝えすると、保存数を直接測る方法は用意されていません。
パフォーマンス画面に「保存数」の項目はない
Googleビジネスプロフィールのパフォーマンス画面には、保存された回数を示す指標がありません。オーナー確認済みのプロフィールでも同じです。
公式ヘルプが挙げている指標は、インタラクション数、検索(検索語句)、閲覧数、ルート、通話数、ウェブサイトのクリック、メッセージ、予約、商品、メニュー、特典などです。この一覧に「保存」は含まれていません。
つまり、保存数そのものを追いかけようとしても手段がないということです。ここで時間を使うより、相関しそうな指標を見るほうが現実的です。
代わりに見るべき3つの指標
1つ目は「閲覧数」です。プロフィールを見た人が増えているのに、通話やルート検索が伸びていない場合、その差分の中に保存が含まれている可能性があります。
2つ目は「ルート」と「通話数」の推移です。保存から実際の来店までには時間差があるため、施策の数週間から数か月後に遅れて伸びることがあります。
3つ目は「店名での検索の増加」です。パフォーマンスの検索語句で自店の名前が増えていれば、リストに残っている人が動き始めたサインと考えられます。
各指標の見方そのものはビジネスプロフィールのインサイト(パフォーマンス)の見方で解説しています。数字の読み方に自信がない方は、先にこちらを確認してください。
「そもそも見つけてもらえているか」を先に確かめる
保存を増やす工夫は、プロフィールが表示されていることが大前提です。地図の検索結果はエリアによって順位が変わるため、お店の周りでどこまで表示されているかを把握しておく必要があります。
Googleの公式ヘルプでは、ローカル検索結果は主に「関連性」「距離」「知名度」に基づいて表示されると説明されています。ただしアルゴリズムの詳細は公開されておらず、検索する場所によって結果も変わるため、1地点だけを見ても実態はつかめません。
測り方の考え方はGoogleマップ順位の正しい測り方で整理しています。表示されていない場所では、そもそも保存という選択肢すら発生しません。
順位の可視化と保存対策は、セットで進めるのが効率的です。どのエリアで見えていないのかがわかれば、打ち手の優先順位も自然に決まります。
よくある質問(FAQ)

Q. 保存されると検索順位は上がりますか?
Googleの公式ヘルプでは、ローカル検索結果は主に「関連性」「距離」「知名度」に基づいて表示されると説明されており、保存数についての言及はありません。影響しないと明言されているわけでもありませんので、順位対策としてではなく、来店機会を逃さないための施策と考えるのが適切です。
Q. 自分の店が何回保存されたか調べる方法はありますか?
オーナー側から保存された回数を確認する手段は提供されていません。パフォーマンスの指標一覧にも含まれていないため、閲覧数やルート検索数など関連する指標で間接的に判断することになります。
Q. お客様に保存をお願いしても問題ありませんか?
保存はお客様自身の利便性のための機能なので、使い方をご案内すること自体に問題はありません。ただし、対価と引き換えに大量に保存させるような不自然な行為は避けてください。
Q. 保存してくれたお客様に通知やメッセージは送れますか?
送れません。保存は非公開の行動であり、店舗側から個別に働きかける仕組みは用意されていません。最新情報の投稿など、公開の場での発信が唯一の接点になります。
Q. 何件くらい保存されれば十分なのでしょうか?
目安となる公開データはありません。件数を追うよりも、保存につながる情報が揃っているか、リストの中で思い出してもらえる状態かを点検するほうが実務的です。
まとめ|「保存」は次の来店の予約席

Googleマップの「保存」は、今日は来られないお客様が自ら残してくれた、次の来店の予約席のようなものです。数字として見えないぶん軽視されがちですが、検討中のお客様をつなぎとめる数少ない手段でもあります。
やるべきことは特別なものではありません。基本情報を埋め、写真と動画を揃え、投稿で「今」を見せ、店頭で一言お願いする。この積み重ねが、保存されるお店とされないお店を分けます。
そして忘れてはいけないのが、そもそも地図上で見つけてもらえているかという前提条件です。表示されていないエリアでは、保存はもちろん何ひとつ起こりません。
Googleマップでの見え方に不安があればご相談ください
「うちの店は、周辺エリアでちゃんと表示されているのだろうか」と気になった方は、一度ご相談ください。株式会社アクセス・リンク代表の三田健司が、全日本SEO協会認定SEOコンサルタントとして、Web制作とSEO・MEO支援の実務経験をもとにお応えします。
順位の可視化から、プロフィールの整備、投稿や口コミ運用の型づくりまで、店舗の状況に合わせてご提案します。まずは今のGoogleマップでの見え方を確かめるところから始めてみてください。
