年末年始は、一年のなかでもっとも「今日、開いていますか?」と調べられる時期です。
ところが多くの店舗では、この時期の営業時間の変更が後回しになりがちです。師走の現場は目の前の仕事で手一杯になり、気がつけば大晦日の夕方にスマートフォンから慌てて直す、という光景も珍しくありません。
Googleビジネスプロフィールには、こうした一時的な営業時間の変更を、前もってまとめて登録しておける仕組みが用意されています。うまく使えば、11月のうちに30分ほど手を動かしておくだけで、年末年始のあいだ中「開いているのか分からない」という取りこぼしを防げます。
この記事では、年末年始の営業時間をまとめて設定するための段取りを、判断の基準・実際の手順・つまずきやすい点の順に整理します。専門的な知識がなくても、この記事の順番どおりに進めれば一通り終わる内容にしています。
なぜ年末年始の営業時間は「まとめて」設定しておくべきなのか

「どうせ数日のことだから」と後回しにされやすい作業ですが、年末年始の情報整備は、一年のうちでもっとも費用対効果が高いタイミングのひとつです。理由を3つに分けて見ていきます。
年末年始は「開いているかどうか」で行き先が決まる
普段の買い物であれば、多少営業時間が曖昧でも「行けば開いているだろう」と考えてもらえます。しかし年末年始は事情が違い、多くの店が休んでいることを利用者側も知っているため、出かける前に必ず確かめようとします。
このとき最初に見られるのが、Googleマップや検索結果に表示される営業時間です。ここに何も書かれていなければ、利用者は「たぶん休みだろう」と判断して、次の候補へ移ってしまいます。
逆に「1月2日 10:00〜17:00」と具体的に出ていれば、それだけで来店の理由になります。年末年始は競合も情報更新を怠りがちなので、きちんと出しているだけで選ばれる確率が上がる、数少ない時期でもあります。
当日の手作業は、いちばん忙しい日に限って抜ける
「休みの前日に変更すればいい」という運用は、一見すると柔軟に思えます。ところが年末年始の直前は、棚卸し・大掃除・繁忙期対応などが重なり、店舗運営のなかでもっとも余裕がない時期です。
その状態で「毎日の営業時間を1日ずつ直す」という作業を抱えると、どこかで必ず抜けが出ます。しかも抜けるのは、たいてい1月2日や3日といった、初売りや初詣帰りの来店が期待できる日です。
前もってまとめて登録しておけば、休みの最中に店舗情報の管理画面を開く必要がなくなります。担当者が休暇に入っても情報が正しいまま動き続ける、という状態を作っておくことに意味があります。
情報の食い違いは、口コミと評価に跳ね返る
営業時間の設定漏れでいちばん怖いのは、機会損失そのものよりも、その後に残るものです。「地図では開いていることになっていたのに、行ったら閉まっていた」という体験は、低評価の口コミにつながりやすいことが知られています。
寒いなか家族で足を運んで、シャッターが閉まっていた。そうした体験をした人が星1をつけたとして、その評価は年が明けても消えずに残り続けます。
年末年始の営業時間設定は、集客のための施策であると同時に、評判を守るための守りの作業でもあります。数日分の入力で防げるリスクだと考えれば、優先度は自然と上がるはずです。
特別営業時間と臨時休業、年末年始はどちらを使うのか

設定作業に入る前に、ひとつだけ判断しておくことがあります。それは「特別営業時間」で処理するのか、「臨時休業」の扱いにするのか、という点です。
連続6日までは特別営業時間、7日以上は臨時休業
Googleビジネスプロフィールのヘルプでは、特別営業時間は「一時的な営業時間の変更」と「連続して最長6日間の休業」に使うものとされています。祝休日や特別イベントなど、通常の営業時間を書き換えずに例外だけを差し込みたい場合がこれにあたります。
一方で、連続して7日間以上休業する場合や、再開時期が未定の場合は、特別営業時間ではなく「臨時休業」のマークを付けるよう案内されています。改装工事やオフシーズンの長期休業を想定した機能です。
この6日と7日の線引きが、年末年始の設定方法を決める最初の分岐点になります。詳しい違いは一時休業・閉業の正しい設定と、再開時の戻し方で整理していますので、長期休業を検討している場合はあわせてご確認ください。
年末年始が「6日に収まるか」を数えてみる
具体的な日付で数えてみると分かりやすくなります。たとえば2026年12月30日から2027年1月3日まで休むとすると、休業日は5日間なので、特別営業時間の範囲に収まります。
一方、12月29日から1月4日まで休むと7日間になり、ヘルプの案内では臨時休業の扱いになります。ここで注意したいのは、臨時休業マークが付くとプロフィール上に「臨時休業」という表示が出ることです。
この表示は、長期休業を正しく伝えるためには適切ですが、年に一度の年末年始休みで付けると「この店はもうやっていないのでは」という誤解を招きかねません。休業日数が7日前後になりそうなときは、初売り前に短縮営業日を1日挟めないか、休みの入りを1日ずらせないかといった運営側の調整も、あわせて検討する価値があります。
「決まった営業時間で営業している」になっていないと表示されない
見落とされがちな前提がひとつあります。ビジネスプロフィールに特別営業時間を表示させるには、営業時間の設定が「決まった営業時間で営業している」になっている必要がある、という点です。
「営業時間不定で営業している」を選んでいる店舗では、いくら特別営業時間を入力しても利用者側には出てきません。普段から営業時間を公開していない店舗ほど、この落とし穴にはまりやすくなります。
作業の最初に、通常の営業時間がきちんと設定されているかを確認しておきましょう。通常営業時間そのものの設定方法は営業時間・臨時休業の正しい設定で機会損失を防ぐで詳しく解説しています。
設定を始める前に決めておく4つのこと

管理画面を開いてから考え始めると、途中で手が止まります。先に紙かメモアプリで内容を固めておくと、実際の入力作業は10分程度で終わります。
①休業日と短縮営業日を1枚の表にする
まず、12月下旬から1月上旬までの日付を縦に並べて、それぞれ「通常どおり」「短縮」「休み」のどれかを書き込みます。大晦日だけ早じまい、三が日は休み、4日から通常営業、といった具合です。
このとき、通常営業に戻る日まで含めて表を作るのがコツです。「いつから通常どおりか」は、休みの日程と同じくらい調べられている情報です。
また、日曜・祝日が絡む年は曜日の並びによって判断が変わります。カレンダーを見ながら、実際の曜日と照らし合わせて確認しておきましょう。
②日付をまたぐ営業をどう書くかを決めておく
飲食店やバーなど、大晦日に深夜をまたいで営業する業種では、書き方に決まりがあります。ヘルプでは、1つの特別営業時間は24時間以内に収めるよう案内されています。
ヘルプでは、深夜0時をまたぎ、さらに翌日の正午を過ぎるまで続く営業時間については、日付で区切って複数の時間帯に分けるよう案内されています。たとえば大晦日の22時から元日の夕方まで通しで営業するなら、「12月31日 22:00〜00:00」と「1月1日 00:00〜17:00」の2件として登録する形です。
ここで注意が必要なのは、翌日に特別営業時間を入れると、その日の通常営業時間が表示されなくなるという挙動です。元日の夜も別枠で営業するのであれば、その時間帯も特別営業時間として改めて入力しておく必要があります。
③窓口ごとに時間が違うなら、その扱いも決める
店舗は休みでも電話受付だけは動かす、テイクアウトのみ営業する、といったケースもあります。時間帯によって提供するサービスが変わる場合には、特別営業時間ではなく「営業時間の詳細」という別の項目が用意されています。
ただし、年末年始のような短期間の例外であれば、無理に細かく分けずに、店舗としての営業時間を正しく出すことを優先したほうが混乱が少なくなります。追加の案内は、後述する投稿機能で補うのが現実的です。
電話がつながらない日がある場合は、その旨をひとこと添えておくだけでも問い合わせ対応の負担が減ります。「31日以降のお電話は1月4日以降に折り返します」といった一文で十分です。
④誰がいつ設定し、誰が確認するかを決める
意外と抜けやすいのが、作業の担当と締め切りです。「年末までにやっておく」という決め方だと、たいてい年末に間に合いません。
おすすめは、11月中に入力を終え、12月上旬に別の人が表示を確認する、という二段構えです。入力した本人は思い込みで見てしまうため、確認は別の人が担当したほうが間違いを見つけやすくなります。
複数人でプロフィールを触る体制なら、作業の重なりにも注意が必要です。誰がいつ触るのかを先に決めておくだけで、同じ日を二重に編集してしまう事故は避けられます。
年末年始の営業時間をまとめて設定する手順

ここからは実際の操作です。1店舗の場合と、複数店舗をまとめて処理する場合に分けて説明します。
1店舗の場合:プロフィールを編集から特別営業時間へ
ビジネスプロフィールを開き、「プロフィールを編集」から「営業時間」を選びます。営業時間のセクションのなかに「特別営業時間」という項目があるので、その横の編集アイコンを選択します。
ここで日付を指定していきます。Google側から候補の日付が提示されることがあり、その内容で問題なければ確認するだけで済みますが、日本の年末年始のうち法律上の祝日は元日だけなので、12月30日や1月2日・3日は自分で「日付を追加」から入力する必要があります。
休む日は「休業」のチェックボックスをオンのままにし、営業する日はチェックを外して開始時間と終了時間を入れます。昼休憩などで時間帯を分けたい場合は、その他アイコンから「営業時間を追加」を選ぶと複数の時間帯を登録できます。
すべて入力し終えたら「保存」を選びます。保存した内容は、ビジネス情報の営業時間タブか、プロフィールを編集の特別営業時間のところで確認できます。
多店舗の場合:スプレッドシートで一括登録する
店舗数が多い場合、1件ずつ画面を開いていくのは現実的ではありません。一括アップロード用のスプレッドシートには「特別営業時間」の列があり、ここに日付と時間をまとめて書き込めます。
書式は「YYYY-MM-DD: HH:MM-HH:MM」で、終日休業する日は時間の代わりに「x」と入力します。複数の日付を入れるときはカンマで区切り、同じ日に2つの営業時間帯を設けるときも同様にカンマで並べます。
この方法で特に注意したいのが、空の列を作らないことです。見出しだけがあって中身が空の列をアップロードすると、その項目の既存情報がすべて削除されてしまいます。
特別営業時間だけを追加したいのであれば、店舗コードの列と特別営業時間の列だけのシートを作るのが安全です。一括管理の全体像は多店舗のプロフィールを一括管理・一括更新する方法で解説しています。
同じ流れで済ませておきたい3つの作業
管理画面を開いたついでに、あと3つだけ手を付けておくと効果が変わります。1つ目は、年末年始の営業予定を投稿機能で告知することです。
営業時間の欄は日付ごとの事実を伝える場所なので、「31日は30分早く閉めます」「2日から初売りです」といった補足は投稿のほうが向いています。投稿の種類ごとの使い分けは投稿の種類(最新情報・特典・イベント)の使い分けにまとめました。
2つ目は、自社のホームページやSNSの表記をそろえることです。地図側だけ直して、サイトのお知らせが去年のままという状態は、かえって不信感につながります。
3つ目は、年明けに設定を戻す予定をカレンダーに入れておくことです。特別営業時間は指定した日付にだけ適用されますが、入力内容に誤りがあった場合に気づくきっかけがないと、そのまま放置されがちです。
反映されない・見え方がおかしいときのチェックポイント

保存したのに思ったとおりに表示されない、という相談は毎年のように寄せられます。原因は限られているので、次の順番で確認してみてください。
「保留中」のまま止まっているとき
編集内容が審査中で、公開前の状態になっていることがあります。この場合は画面上に保留中である旨が表示されるので、まずはその表示の有無を確認します。
審査には時間がかかることがあるため、年末ぎりぎりに入力すると間に合わない可能性があります。余裕をもって11月中に登録しておくべき理由は、この待ち時間にもあります。
保留が長引く場合の対処は編集した内容が反映されない・保留中のままの時の対処で詳しく扱っています。
通常の営業時間が消えてしまったように見えるとき
特別営業時間を入れた日は、その日の通常営業時間の代わりに特別営業時間が表示されます。つまり、うっかり短い時間帯だけを登録すると、本来営業しているはずの時間が出なくなります。
深夜営業を分割して入力したときに起きやすい現象です。前の項目で触れたとおり、翌日も通常どおり営業するなら、その分の時間帯を追加で入力し直す必要があります。
入力後は必ず、利用者から見える画面で1日ずつ確認してください。管理画面の一覧ではなく、実際の検索結果やマップ上で見るのがおすすめです。
正しく入れたのに、古い情報が出続けるとき
スマートフォンのアプリやブラウザに、以前の表示が残っている場合があります。別の端末や、ログインしていない状態のブラウザで開き直してみると、最新の表示を確認できることがあります。
それでも古いままなら、そもそも編集した対象が別のプロフィールだった、という可能性も考えられます。重複したプロフィールが存在していると、自分が編集していないほうが検索結果に出続けることがあります。
なお、営業時間を更新すると、プロフィール上に更新を知らせるメッセージや、モバイルの「更新」タブに変更を伝える投稿が表示されることがあります。内容を補足したい場合は、その投稿を編集して詳しい情報を追加できます。
よくある質問

Q. いつごろ設定するのがよいですか
11月中の登録をおすすめしています。年末年始の予定を調べ始める人が増えるのは12月に入ってからですが、審査や確認の時間を考えると、その前に済ませておくと安心です。
先に登録しておいても、指定した日付以外の表示には影響しません。早く入れたことによる不都合は基本的に発生しないため、思い立ったときに進めてしまうのが確実です。
Q. 元日だけ休む場合も、わざわざ設定が必要ですか
必要です。むしろ、通常の営業時間と変わらない祝休日についても、念のため設定しておくことがヘルプで推奨されています。
設定しておくことで、表示されている営業時間が確かなものだと利用者に伝わるためです。「祝日だから閉まっているかもしれない」という迷いを取り除けること自体に価値があります。
Q. 登録した特別営業時間は、あとで自動的に消えますか
特別営業時間は指定した日付にだけ適用される仕組みなので、その日を過ぎれば通常の営業時間に戻ります。翌年の同じ日付に自動で引き継がれることもありません。
そのため、毎年この時期に同じ作業が必要になります。前年に作った日付と時間の表を残しておくと、翌年は日付を入れ替えるだけで済むので、社内の資料として保管しておくとよいでしょう。
Q. 年末年始の休みが7日を超えるときはどうすればよいですか
ヘルプの案内に沿うなら、連続7日以上の休業には臨時休業マークを使います。ただし表示上のデメリットもあるため、休業日程そのものを見直せないかを先に検討することをおすすめします。
途中に短縮営業の日を1日入れる、電話受付だけ稼働する日を設ける、といった調整ができれば、連続日数を6日以内に抑えられる場合があります。どうしても長期休業になる場合は、再開日を投稿で明示しておくと誤解を防げます。
年末年始の設定や店舗集客でお困りの方へ
「設定はしてみたけれど、これで合っているのか自信がない」「そもそも自分の店が地図でどう見られているのか分からない」という場合は、一度ご相談ください。株式会社アクセス・リンクでは、Googleビジネスプロフィールの初期設定から日々の運用、ホームページとの連携まで、店舗の状況にあわせてお手伝いしています。
お問い合わせはこちらのフォームから承っています。なお、営業日程の告知に関して法令上の判断が必要になる場合や、契約・表示に関わる個別の判断が必要な場合は、専門家にご相談ください。
