「先月に比べて、Googleマップでの表示回数がガクッと減っている」。ビジネスプロフィールのパフォーマンス画面を開いて、そんな折れ線グラフを見つけたときの不安は、店舗を経営している方なら誰でも身に覚えがあると思います。
ただ、ここで慌てて写真を大量に追加したり、投稿の頻度を上げたりするのは得策ではありません。表示回数が減る原因はいくつもあり、なかにはお店側では何もしていないのに数字だけが動くケースも珍しくないからです。
この記事では、Googleビジネスプロフィールの表示回数が減ったときに、まず確認すべき3つの数字と、その読み解き方を順番に解説します。数字の意味を正しく理解したうえで原因を切り分けられるようになると、無駄な作業に時間を使わずに済むようになります。
筆者は全日本SEO協会認定SEOコンサルタントとして、店舗のWebサイト制作とSEO・MEO支援に長く携わってきました。実際の現場でよく見かける「勘違いによる焦り」も含めて、できるだけ具体的にお伝えします。
「表示回数が減った」と気づいたら、まず数字の意味を確かめる

原因を探す前に、そもそもその数字が何を数えているのかを確認しておきましょう。ここを勘違いしたまま分析を始めると、まったく見当違いの改善策にたどり着いてしまいます。
パフォーマンス画面で見られる指標の全体像
Googleビジネスプロフィールの「パフォーマンス」では、ユーザーがどのようにあなたのお店を見つけ、その後どんな行動を取ったのかを確認できます。Google公式ヘルプでは、インタラクション数・検索・閲覧数・ルート・通話数・ウェブサイトのクリック・メッセージ・予約などの指標が案内されています。
ただし、すべての指標がどのお店にも表示されるわけではありません。公式ヘルプにも「お客様のビジネスに関連する指標のみが表示されます」と明記されており、たとえばメニューや商品の指標は、その機能を使っている業種にしか出てきません。
また、パフォーマンスデータを見られるのはオーナー確認が済んでいるプロフィールだけです。オーナー確認が外れてしまうと、数字そのものが見られなくなるという点も覚えておいてください。
「表示回数」は延べ回数ではなく、ユニークユーザー数で数えられている
ここが最も誤解されやすいポイントです。パフォーマンス画面のグラフは「ビジネスプロフィールの表示回数」といった名前で表示されますが、Google公式ヘルプの「閲覧数」の説明を読むと、その中身は延べ表示回数ではありません。
公式ヘルプには「この指標では、プロフィールを閲覧したユニークユーザーの数がカウントされます」「ユーザーは1日1回のみカウントされます。同じ日に複数回アクセスした場合でも、1回としてカウントされます」と記載されています。
つまり、同じ人が1日に何度あなたのお店を見ても、数字は1しか増えません。この点を押さえておかないと、数字の解釈を大きく間違えてしまいます。
これはGoogleビジネスプロフィールAPIの仕様書でも同じ説明がされています。マップ・検索それぞれのデスクトップ/モバイル別の指標について、いずれも「同一ユーザーによる1日の複数回の表示は1回として集計する」と定義されています。
なお公式ヘルプには「この閲覧数は、ビジネスプロフィールやメール通知で確認できる表示回数よりも少ない場合があります」とも書かれています。プロフィール上に出る数字やGoogleからの通知メールの数字と、パフォーマンス画面の数字がずれることがあるのは、こうした集計方法の違いによるものです。
そのため、比較するときは必ず同じ画面・同じ指標の数字どうしで比べてください。違う場所の数字を並べて「減った」と判断すると、実態を見誤ります。
この前提を知っておくと、数字の見方が変わります。表示回数が10%減ったとき、それは「見られた回数が10%減った」のではなく「あなたのお店を見た人の数が10%減った」という意味になるからです。
オーガニック検索と広告の数字が合算されている
もうひとつ見落とされがちなのが、パフォーマンスデータに広告分が含まれている点です。公式ヘルプには「パフォーマンスデータには、オーガニック検索結果とGoogle広告の両方における表示回数、検索情報、ユーザーの行動が含まれます」と書かれています。
ローカル検索広告を出稿しているお店の場合、広告を止めた月は自然検索の状況が変わっていなくても表示回数が落ちます。逆に広告を増やせば数字は伸びるため、純粋なMEOの成果を見たいときは広告の出稿状況と合わせて確認する必要があります。
MEOの数字を読むときの前提や画面の基本的な見方については、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
▶ ビジネスプロフィールのインサイト(パフォーマンス)の見方
まず見る数字①:表示回数の内訳(マップと検索、スマホとパソコン)

1つ目に確認するのは、減った表示回数の内訳です。合計だけを見ていても原因はわかりませんが、内訳に分けると景色が一気に変わります。
Googleマップ経由と、Google検索経由を分けて見る
ビジネスプロフィールの表示は、Googleマップの中で見られる場合と、Google検索の結果画面(ローカルパックやナレッジパネル)で見られる場合の2種類があります。この2つは同じ数字の中に合算されていますが、動く理由はまったく違います。
マップ経由が減っているなら、地図アプリ上での見つかりやすさ、つまり距離や関連性の評価が動いている可能性があります。検索経由が減っているなら、Web検索の結果画面でお店が出る場面が減った、あるいは検索結果のレイアウトが変わったことが疑われます。
どちらか片方だけが減っている場合、原因はかなり絞り込めます。両方が同じくらい減っているなら、お店側の情報や評価そのものに変化があった可能性が高まります。
パソコンとスマートフォンの違いにも目を向ける
APIの仕様上、表示回数は「マップ×デスクトップ」「マップ×モバイル」「検索×デスクトップ」「検索×モバイル」の4つに分けて記録されています。画面上でここまで細かく見られない場合もありますが、分けて考える視点は持っておくと役に立ちます。
飲食店や美容室のような「その場で探して行く」業種では、モバイルが全体の大半を占めるのが普通です。ここが落ちているなら来店に直結するため、優先度は高くなります。
逆にデスクトップだけが落ちている場合、来店数への影響は限定的なことが多くなります。数字の減少幅が同じでも、どの内訳が減ったかで打ち手の緊急度は変わります。
内訳の減り方から仮説を立てる
たとえば「モバイル×マップだけが3割減、他は横ばい」であれば、周辺で新しい競合が地図上に登場した、あるいは自店のカテゴリや位置情報の扱いが変わった、といった仮説が立てられます。「全部が均等に2割減」なら、季節要因や地域全体の検索需要の変化を疑うほうが自然です。
大切なのは、内訳を見て仮説を1つか2つに絞ることです。原因の候補を全部同時に潰そうとすると、何が効いたのか永遠にわからなくなります。
まず見る数字②:ユーザーの反応(通話・ルート・ウェブサイトのクリック)

2つ目は、表示された後にユーザーが取った行動の数です。ここが表示回数とセットで動いているかどうかで、事態の深刻さがまったく変わります。
表示は減ったのに、行動数が減っていないケース
通話数・ルート検索・ウェブサイトのクリックが横ばいなのに表示回数だけが落ちている場合、実質的な集客力は落ちていない可能性があります。表示だけが減って行動が減らないということは、そもそも来店につながりにくい層の表示が減っただけ、と考えられるからです。
この場合、あわてて何かを変える必要はありません。売上に直結する数字が守られているなら、まずは数週間そのまま様子を見るという判断も十分に合理的です。
表示も行動も同じ割合で減っているケース
表示回数が3割減り、通話もルートも3割減っている。これはお店が見つけてもらえる機会そのものが減っている状態で、放置すると売上に響きます。
この場合は原因の特定を急ぐ必要があります。後述する「よくある原因」を上から順に確認し、心当たりのあるものから潰していきましょう。
表示は横ばいなのに行動だけが減っているケース
意外と多いのがこのパターンです。見つけてはもらえているのに選ばれていない状態で、原因はプロフィールの中身にあります。
直近で低評価の口コミが増えていないか、写真が古いままになっていないか、営業時間が実態とずれていないかを確認してください。この場合の打ち手は「露出を増やすこと」ではなく「選ばれる理由を整えること」になります。
なお、ルート検索の数については、Googleが集計方法を見直しています。公式ヘルプによれば、複数回のタップ、ルート検索のキャンセル、スパムといった要素を考慮して、ユニークユーザー数の集計方法が変更されました。
そのため、過去の数字と単純に比較すると実態以上に減って見えることがあります。長期の比較をするときは、この点を頭の片隅に置いておいてください。
まず見る数字③:検索語句(どんな言葉で見つかっているか)

3つ目は、パフォーマンス画面の「検索」で確認できる検索語句です。数字の増減よりも、顔ぶれの変化に注目します。
指名検索とエリア検索、どちらが減ったのか
検索語句はおおまかに、店名で探される「指名検索」と、「地域名+業種」で探される「エリア検索」に分けられます。この2つは減る理由がまったく違います。
指名検索が減っているなら、お店の知名度や思い出してもらう機会が減っている状態です。チラシ・SNS・イベントなど、Google以外の接点が細っていないかを振り返る必要があります。
エリア検索が減っているなら、地図上での見つかりやすさが下がっているサインです。競合の動きやカテゴリ設定など、MEOの土台部分を見直す番になります。
更新タイミングに注意する(月初更新・最大5日の遅れ)
検索語句のデータには更新のクセがあります。
Google公式ヘルプには「[検索]指標は毎月月初に更新されます。表示されるまでに5日ほどかかることがあります」と明記されています。
つまり、月初の数日間に見た検索語句のデータは、まだ揃っていない可能性があります。月が変わった直後に「先月のキーワードが激減している」と焦る必要はなく、数日待ってから確認するのが正解です。
表示回数などの他の指標にも、多少の反映遅れがあります。異常に気づいたときは、直近数日だけを見て判断しないようにしてください。
キーワードの顔ぶれが入れ替わっていないか
上位の検索語句を先月分と並べて見比べてみてください。合計が同じでも、中身が入れ替わっていることがあります。
たとえば「ランチ」で拾えていたのに今月は消えている、といった変化は、そのキーワードでの掲載順位が落ちたサインです。逆に見慣れない言葉が上位に入ってきたなら、カテゴリやサービス欄の変更が影響しているかもしれません。
検索語句は自分で管理できるものではありませんが、どの言葉で出ているかを知ることで、次に整えるべき情報が見えてきます。狙うべきキーワードの決め方については、こちらもあわせてご覧ください。
表示回数が減る「よくある原因」を切り分ける

3つの数字を確認したら、次は原因の切り分けです。現場でよく遭遇する順に並べました。
原因1:季節・曜日・日数による自然な増減
最も多いのがこれです。2月は他の月より2〜3日短いですし、年末年始や大型連休を含む月は、業種によって数字が大きく振れます。
比較するなら前月ではなく前年同月が基本です。前年同月と比べて横ばいなら、それは季節要因であって異常ではありません。
原因2:営業時間・臨時休業の設定ミス
営業時間が実態と違っていたり、特別営業時間の設定が残ったままになっていると、営業していない時間帯として扱われ、検索結果に出にくくなることがあります。「営業中」で絞り込むユーザーからは完全に見えなくなります。
連休明けなどに数字が落ちた場合は、まずここを疑ってください。設定を1つ直すだけで戻ることもあります。
原因3:編集内容が保留・差し戻しになっている
プロフィールを編集した直後に数字が落ちた場合、その編集が審査中のまま反映されていない、あるいは差し戻されている可能性があります。情報が不完全な状態で止まっていると、表示機会が減ることがあります。
編集が反映されないときの確認手順はこちらにまとめています。
原因4:競合の新規出店・情報強化
近隣に同業種の店舗が増えれば、地図上の枠を奪い合うことになります。自店が何も変えていなくても、相対的に順位が下がって表示回数が減ることは普通に起こります。
競合が口コミを急に増やした、写真を大量に追加した、といった動きも影響します。定期的に周辺の同業を見ておくと、変化に気づきやすくなります。
原因5:Google側の仕様変更・アルゴリズムの変動
Googleは検索結果の見せ方や指標の集計方法を随時見直しています。ルート検索の集計方法が変更された例のように、計測ルールの変更が数字を動かすこともあります。
この場合、自店だけでなく同じ地域の同業も同時に動いていることが多いのが特徴です。順位変動との向き合い方は、こちらの記事で整理しています。
原因6:プロフィールの停止・重複・ピンのずれ
ガイドライン違反によるプロフィールの停止、重複したプロフィールの存在、地図上のピンの位置ずれは、いずれも表示回数を大きく下げます。特に停止は数字が一気にゼロ近くまで落ちるため、グラフの形ですぐわかります。
心当たりがなくても、店名にキーワードを詰め込んでいないか、住所の表記が実態と合っているかを一度確認しておくと安心です。
原因7:広告の停止や予算の縮小
前述のとおり、パフォーマンスデータには広告分も含まれます。ローカル検索広告を止めた月は、自然検索の状況が変わっていなくても数字が落ちます。
広告の出稿履歴と数字の推移を重ねてみて、落ち込みのタイミングが一致していないかを確認してください。一致しているなら、それが答えです。
原因が7つのどれにも当てはまらないと感じたときは、こちらの記事も参考になります。
慌てなくていいケースと、すぐ手を打つべきケースの見分け方

ここまでの内容を、判断の基準としてまとめておきます。数字が減ったからといって、すべてが問題というわけではありません。
比較の仕方を間違えていないか
前月比だけを見て判断するのは危険です。月ごとの日数の違い、土日の本数の違い、連休の有無で、同じ実力でも数字は簡単に1割前後動きます。
前年同月比と、直近3か月の傾向線。この2つで見るのが基本です。
1か月だけの上下で一喜一憂しないようにしてください。数か月の線で見ると、本当に下降しているのかどうかがはっきりします。
数字が小さいほど、変動は大きく見える
月間の表示回数が300回のお店で30回減ると10%減ですが、これは1日あたり1人の違いでしかありません。母数が小さいうちは、こうした揺らぎが日常的に起こります。
パーセンテージだけでなく、実数でどれくらい減ったのかを必ず確認してください。実数で見ると「たいしたことがなかった」と気づくケースは少なくありません。
順位は1地点ではなく「面」で確認する
表示回数が減った背景に順位の変化があるかを確かめたいとき、自分のスマホで1回検索しただけでは判断できません。Googleマップの検索結果は検索した場所によって変わるため、店の前で調べれば上位に出るのが普通だからです。
商圏内の複数の地点で確認して初めて、どのエリアで弱くなったのかが見えてきます。順位の正しい測り方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ Googleマップ順位の正しい測り方(検索する場所で変わる理由)
すぐ手を打つべきサインのまとめ
次のいずれかに当てはまるなら、様子見ではなく対応を優先してください。表示回数が数日でゼロ近くまで落ちた、前年同月比でも3割以上減っている、表示も通話もルートもそろって減り続けている、という3つです。
逆に、前年同月比では横ばい、行動数は減っていない、内訳の一部だけが動いている、という状態であれば、まずは1か月分のデータが揃うのを待ってから判断しても遅くありません。
表示回数を戻す・伸ばすために今日からできること

原因の切り分けが済んだら、あとは地道な積み上げです。特別な裏技はありませんが、効果が出やすい順に並べました。
情報の穴を埋める
カテゴリ、属性、サービス、説明文、営業時間。空欄のまま放置されている項目がないかを一通り確認してください。
Googleは検索語句とプロフィールの情報を照らし合わせて表示を決めています。情報が欠けていると、その分だけ拾われる機会が減ってしまいます。
特にメインカテゴリの選択は影響が大きい項目です。実態に合っていないカテゴリを選んでいないか、この機会に見直しておきましょう。
写真と投稿の更新を止めない
写真が古いままだと、見つけてもらえても選ばれにくくなります。最新の店内・商品・スタッフの写真を月に数枚でも追加していくと、プロフィール全体の印象が変わります。
最新情報の投稿も同様です。毎日でなくてかまいませんので、週に1回程度の更新を習慣にしてください。
口コミを増やし、返信を続ける
口コミの件数と内容は、ユーザーの意思決定に直接影響します。無理に依頼する必要はありませんが、会計時や来店後のメールなど、自然に伝えられる場面を仕組みとして用意しておくと安定して集まります。
返信も忘れずに続けてください。返信のある店は、読み手に「ちゃんと運営されている店」という印象を与えます。
数字を毎月同じ形で記録する
異常に早く気づくためには、平常時の数字を知っておくことが欠かせません。表示回数、通話数、ルート、ウェブサイトのクリックの4つだけでかまいませんので、毎月同じ日に記録する習慣をつけてください。
3か月分たまれば、自店の平常値が見えてきます。平常値がわかっていれば、次に数字が動いたとき迷わずに済みます。
よくある質問(FAQ)

Q. 表示回数が減ったら、順位も下がっているということですか?
必ずしもそうとは限りません。順位が変わらなくても、その地域での検索需要そのものが減れば表示回数は下がります。
順位の変化を確かめたい場合は、商圏内の複数地点で実際に検索して確認する必要があります。表示回数の増減だけで順位を判断することはできません。
Q. 画面に出ている「表示回数」は、何人が見た数字ですか?
Google公式ヘルプの説明では、この指標はユニークユーザー数を数えており、同じユーザーは1日1回のみカウントされます。同じ人が1日に何度見ても1としてカウントされる仕組みです。
ただし、マップと検索、パソコンとスマートフォンといった別々の場面で見られた場合は、それぞれ集計されます。「延べ何回表示されたか」を示す数字ではない、と理解しておいてください。
Q. 検索語句のデータが先月分しか出てきません
公式ヘルプによると、検索指標は毎月月初に更新され、表示されるまでに5日ほどかかることがあります。月が変わった直後は、まだデータが揃っていない可能性があります。
数日待ってから改めて確認してみてください。それでも表示されない場合は、期間の設定を見直すか、オーナー確認の状態を確認しましょう。
Q. 数字が減ったので、すぐに業者に依頼したほうがいいですか?
まずはこの記事の3つの数字を確認し、季節要因や設定ミスといった自分で対処できる原因を除外してからでも遅くありません。原因がわからないまま依頼すると、何に対してお金を払っているのかが見えにくくなります。
切り分けた結果、競合の増加や商圏全体の変化が原因だとわかった場合は、専門家に相談する価値があります。その際も、手元に数字の記録があると話が早く進みます。
MEOのお悩み、お気軽にご相談ください
「数字は見ているけれど、これが良い状態なのか悪い状態なのか判断がつかない」というご相談を、店舗オーナー様からよくいただきます。表示回数が減った原因の切り分けは、慣れていないと判断に迷う場面が多い作業です。
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