「このお店、入っていいのかな」と、店の前で一瞬足を止めた経験は誰にでもあると思います。そのためらいの正体は、値段でも場所でもなく「中にどんな人がいるのか分からない」という一点であることが少なくありません。
Googleマップやビジネスプロフィールを見てから来店を決める人が当たり前になった今、店内の様子と同じくらい「誰が迎えてくれるのか」が判断材料になっています。裏を返せば、スタッフの見せ方を整えるだけで、同じ店・同じ価格でも来店のハードルは確実に下がります。
この記事では、Googleビジネスプロフィール(GBP)に用意されている「チームの写真」の使い方を軸に、業種ごとの見せ方の違い、撮影・掲載の実務ルール、自社サイトやSNSへのつなげ方までをまとめました。写真の撮影テクニックや枚数そのものは別記事で扱っているので、ここでは「人をどう見せるか」に絞ってお話しします。
なぜ「スタッフの見せ方」で店の入りやすさが変わるのか

来店をためらう最大の理由は「情報がない不安」
初めての店に入るとき、人は無意識にいくつもの不安を抱えています。「常連ばかりで浮かないか」「強く売り込まれないか」「自分のような客層で場違いではないか」といった、価格表には書いていない種類の不安です。
この不安は、店の外観写真やメニュー写真だけでは解消できません。不安の中身が「モノ」ではなく「人」に向いているため、人の情報がないかぎり埋まらない です。
だからこそ、スタッフが写っている写真は、他のどんな写真とも役割が違います。商品写真が「何が買えるか」を伝えるのに対し、スタッフ写真は「どんな空気の場所か」を伝えます。
顔が見えると「値踏みされる怖さ」が減る
美容室で「イメージと違う仕上がりになったらどうしよう」と感じるのも、整体で「強く押されて痛くないか」と身構えるのも、施術する人が分からないからです。担当者の顔と雰囲気が事前に分かっているだけで、こうした身構えはかなり和らぎます。
特に、女性ひとりでの来店、子ども連れ、高齢の方など、来店に慎重になりやすい層ほどこの効果は大きくなります。「静かそうな人だな」「話しやすそうだな」という手がかりが、予約ボタンを押す最後のひと押しになります。
ここで大切なのは、格好よく見せることではありません。実際に店に立っている人が、いつもの服装と表情で写っている ほうが、来店後のギャップが少なく、結果として満足度も上がります。
指名検索とリピートの入り口にもなる
スタッフの名前と顔が伝わっていると、口コミに「◯◯さんに担当してもらいました」と書かれるようになります。この状態は、店名だけでなく「店名+人名」で検索される入り口をつくります。
店名で直接検索される回数、いわゆる指名検索が増えると、地図検索での見つけられ方も安定していきます。指名検索を増やす考え方は指名検索を増やしてローカルでも強くなるで詳しく整理しています。
また、一度「担当してもらった人」が分かっている店は、次回の予約が圧倒的に取りやすくなります。人が見えることは、集客だけでなく再来店の設計そのものです。
Googleビジネスプロフィールの「チームの写真」を正しく使う

Googleが公式に用意している写真カテゴリを知る
Googleビジネスプロフィールのヘルプでは、ビジネス固有の写真の種類として「外観」「店内」「商品」「サービス」「食べ物や飲み物」「共有エリア」「客室」と並んで、「チームの写真」というカテゴリ が明示されています。つまり、スタッフを写すことはガイドラインの例外ではなく、Googleが公式に推奨している使い方です。
公式ヘルプでは、チームの写真について「施設の舞台裏を紹介するうえで重要」とされ、経営陣や従業員の写真を少なくとも3枚追加することが推奨されています。少しくだけた様子を見せて人となりを感じてもらう、という趣旨も明記されています。
あわせて「サービスの写真」でも、チームやスタッフが顧客にサービスを提供している場面を撮ることが推奨されています。人物が写った写真は、この2つのカテゴリにまたがって効いてくると考えてよいでしょう。
写真の技術要件を満たしているか確認する
せっかく撮っても、要件を外れていると表示されなかったり画質が荒れたりします。公式ヘルプが示している基準は次のとおりです。
- 形式:JPGまたはPNG
- サイズ:10KB〜5MB
- 推奨解像度:縦720ピクセル×横720ピクセル
- 最小解像度:縦250ピクセル×横250ピクセル
- 写真や動画を掲載するには、オーナー確認が完了している必要がある
最近のスマートフォンで普通に撮れば解像度は問題になりませんが、高画素のまま送ると5MBを超えてしまうこと があります。撮影後にサイズを確認し、必要なら軽く圧縮してからアップロードしてください。
なお、店舗が10か所以上ある場合は一括アップロード用のスプレッドシートが使えます。多店舗で運用している場合は、店舗ごとに手作業でアップロードするより先に、この仕組みを検討したほうが早く終わります。
やってはいけない加工とNG例
公式ヘルプは写真の品質について、ピントが合っていて十分な明るさがあること、そして大幅な加工や過度のフィルタ、AIの使用は避けること と明記しています。雰囲気をありのままに伝える画像を選ぶように、とも書かれています。
具体的には、店名やキャッチコピーを載せた文字入り画像、複数枚を並べたコラージュ、枠線を付けた加工などは避けたほうが無難です。これらは宣伝物であって、来店前に知りたい「実際の様子」ではないためです。
また、他人が撮影・作成した画像を無断で使うことはできません。フリー素材のモデル写真をスタッフとして掲載するのは、来店時のギャップを生むという意味でも逆効果です。
写真まわりの加工は、良かれと思ってやったことが規約違反になりやすい領域です。迷ったら「加工しない・そのまま載せる」を基本に置いてください。
どこから登録するのか(操作の流れ)
登録は、Google検索やGoogleマップで自分の店を検索し、オーナーとしてログインした状態で表示される管理メニューから行います。「写真を追加」を選び、写真の種類を指定してアップロードする流れです。
このとき 「チーム」や「サービス」など、種類を選んでからアップロードする ようにしてください。分類を指定せずに上げると、Googleが自動で判断するため、意図した場所に表示されないことがあります。
アップロード直後にすぐ反映されないこともありますが、多くは時間の経過とともに表示されます。数日たっても反映されない場合は、画質やファイルサイズが要件を満たしているかを先に確認しましょう。
業種別・スタッフの見せ方の正解は違う

美容室・サロン:担当者で選ばれることを前提にする
美容室やネイルサロンは、店ではなく人で選ばれる代表的な業種です。スタイリストごとに得意な施術・雰囲気・在籍曜日まで伝わっていると、指名予約が入りやすくなります。
写真は、証明写真のような正面顔よりも、施術中の自然な表情 のほうが効果的です。ハサミを持っている、カウンセリングしている、といった動きのある一枚が「この人にお願いしたい」を後押しします。
スタッフごとのページを自社サイトに用意している場合は、そこで使っている写真とそろえておくと印象が一致します。予約サイト側のプロフィール写真も、あわせて更新しておきましょう。
飲食店:厨房とホール、両方の人柄を出す
飲食店では、料理写真が主役になるぶん、人の写真が後回しになりがちです。しかし「店主がどんな人か」は、特に個人店を選ぶときの大きな判断材料になります。
カウンター越しに調理している場面、ホールスタッフが配膳している場面など、営業中の空気が伝わる写真を数枚入れておくとよいでしょう。ひとりで営業している店なら、店主が店先に立っている一枚があるだけでも印象が変わります。
お客様の顔が写り込む場合は、必ず映らない角度で撮るか、事前に許可を取ってください。営業中の撮影は、他のお客様への配慮を最優先にします。
クリニック・整体・治療院:安心感を最優先にする
医療・治療系は、親しみやすさよりも「安心して任せられるか」が先に立ちます。白衣や施術着を着た清潔感のある写真、受付スタッフの穏やかな表情など、緊張をほぐす方向の見せ方が向いています。
注意したいのは、効果や治療成果を連想させる演出は避けること です。医療広告ガイドラインなど、業種特有の規制があるため、掲載内容の可否については所轄の窓口や専門家にご相談ください。
この記事は一般的なMEOの考え方をまとめたものであり、法的な判断を示すものではありません。医療・法律に関わる表示については、必ず専門家にご相談ください。
工務店・士業・訪問型:家に上がる人の顔を見せる
訪問型のビジネスでは、「知らない人が自宅に来る」という不安がそのまま依頼のブレーキになります。現場に入る職人や、相談を担当する人の顔が事前に分かっていることの価値は、店舗型よりむしろ大きいと言えます。
作業着姿の現場写真、打ち合わせをしている場面、資格証を持った担当者の写真などが有効です。士業であれば、事務所の応接スペースで話している一枚があるだけで、相談のハードルは下がります。
撮影と掲載の実務ルール(同意・顔出しNG・退職対応)

撮影前に必ず取っておく「同意」
スタッフの写真をインターネット上に公開することは、本人の肖像に関わる話です。口頭で「撮るね」と言っただけで済ませず、掲載先・掲載目的・掲載期間・削除の申し出方法 を先に共有してください。
小さな店であっても、簡単な同意書を1枚用意しておくと後々の行き違いを防げます。書式が難しければ、掲載先と削除依頼の連絡先を書いたメモに署名をもらうだけでも、何もないよりはるかに安全です。
なお、法的な有効性や書式については、事情によって扱いが変わります。心配な場合は弁護士や社会保険労務士など専門家にご相談ください。
顔出ししたくないスタッフをどう扱うか
全員が顔を出せるとは限りません。無理に説得すると職場の空気が悪くなりますし、そもそも同意のない掲載はしてはいけません。
その場合は、手元だけを写す、後ろ姿にする、少し引いた距離で店内の一部として写す、といった方法があります。顔が分からなくても「人がいる店だ」という情報は伝わる ため、これでも十分に効果があります。
顔出しできる人が1人でもいれば、その人を中心に据えるのが現実的です。全員そろった集合写真を1枚だけ入れておくのも、負担が少なく効果的な折衷案になります。
退職・異動があったときの入れ替えルール
スタッフ写真の一番の落とし穴は、辞めた人の写真が残り続けることです。指名で来店したのに担当者がいない、という事態は、口コミの評価を直接下げます。
退職の連絡を受けたら、最終出勤日に写真の削除までを1セットで行う と決めておきましょう。GBPの写真、自社サイトのスタッフ紹介、SNSの固定投稿の3か所をチェックリストにしておくと漏れません。
あわせて、アカウントの権限まわりも同じタイミングで見直すのが安全です。担当者交代時の権限整理は担当者の退職・業者変更時にGBPを安全に引き継ぐにまとめています。
名前・役職・経歴はどこまで書くか
写真に添える情報は、多ければよいというものではありません。来店を判断する材料として役立つのは、呼び名、担当している内容、在籍している曜日や時間帯のあたりまでです。
フルネームや詳細な経歴を出すかどうかは、本人の意向を優先して決めるべき部分 です。とくに個人が特定されやすい小規模な店では、下の名前だけ、あるいはニックネームにとどめる判断も十分にあり得ます。
一方で、資格が信頼に直結する業種では、保有資格や経験年数を明記したほうが選ばれやすくなります。自店の顧客が何を不安に思っているかを基準に、載せる項目を決めてください。
サイト・SNS・口コミとつなげて効果を出す

自社サイトのスタッフ紹介ページとそろえる
GBPに載せられる情報量には限りがあります。経歴、得意分野、資格、休みの曜日といった詳しい情報は、自社サイトのスタッフ紹介ページに置くのが自然です。
大切なのは、GBPとサイトで同じ写真・同じ表記を使う ことです。GBPでは笑顔なのにサイトでは硬い証明写真、という状態だと、同じ人だと気づいてもらえません。
プロフィールの「ウェブサイト」リンクをスタッフ紹介ページに向ける必要はありませんが、トップページからすぐたどり着ける位置に置いておくと迷わせずに済みます。
口コミで名前を出してもらえる状態をつくる
名札を付ける、会計時に名刺サイズのカードを渡す、といった小さな工夫で、口コミに担当者名が書かれる確率は上がります。名前が書かれた口コミは、次の来店者にとって最も信頼できるスタッフ紹介になります。
もし名前入りの口コミが届いたら、返信のなかで本人からお礼を伝えるとさらに効果的です。「担当した◯◯です」と一言添えるだけで、読んだ人にスタッフの存在が伝わります。
ただし、口コミの依頼は無理強いにならない範囲にとどめてください。特典を条件にする形は規約上のリスクがあるため避けます。
効果をどう確かめるか
スタッフ写真を入れたからといって、翌週に予約が倍になることはありません。見るべきは、プロフィールの閲覧数や写真の表示回数、そして通話・ルート検索・ウェブサイトクリックといった行動の数です。
写真を追加した日を記録しておき、その前後4週間で比較するのが現実的なやり方です。1〜2週間では判断できないことがほとんどな ので、季節要因も一緒に見ておきましょう。
写真の枚数と更新の頻度をどう決めるかはGoogleビジネスプロフィールの写真は何枚必要?更新頻度の目安、撮影そのもののコツはスマホでできる店舗写真の撮り方(明るさ・構図・枚数)で詳しく解説しています。
写真戦略の全体像から見直したい場合は、ビジネスプロフィールの写真で集客を伸ばすコツから順に整えていくとスムーズです。
よくある質問

Q. スタッフ写真は何枚くらい載せればよいですか
Google公式ヘルプでは、チームの写真について経営陣や従業員の写真を少なくとも3枚追加することが推奨されています。まずは3枚を目安にし、余裕があれば集合写真と個別写真を組み合わせるとよいでしょう。
Q. アルバイトスタッフの写真も載せてよいですか
本人の同意があれば問題ありません。ただし短期間で入れ替わることが多い場合は、個人が特定できる写真より、集合写真や後ろ姿を中心にしたほうが管理は楽になります。
Q. スタッフ写真を載せると順位は上がりますか
写真を載せたことが直接的に順位を上げると公式に示されているわけではありません。ただし、プロフィールが充実して閲覧やクリックなどの反応が増えることは、結果として見つけられやすさに寄与すると考えられます。
Q. 生成AIで作ったスタッフ風の画像は使えますか
避けてください。公式ヘルプは、大幅な加工や過度のフィルタ、AIの使用を避け、雰囲気をありのままに伝える画像を選ぶよう求めています。実在しない人物の掲載は、来店時のギャップという意味でも逆効果です。
Q. 顔出しできるスタッフが誰もいない場合は
無理に顔を出す必要はありません。手元や後ろ姿、働いている場面を引きで撮るだけでも「人がいる店」であることは伝わります。
スタッフの見せ方を含めて、店舗の見え方を整理したい方へ
スタッフ写真は、地図検索での見つけられ方を整えるうえでの一部にすぎません。カテゴリ設定、口コミ、順位のばらつきまで含めて全体を点検したい場合は、お気軽にご相談ください。
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